【書評】日韓関係の見取り図がここにある
 解説:茂木健一郎(脳科学者)

『柔らかな海峡―日本・韓国 和解への道』(金惠京著)

 日本と韓国は、歴史的にも縁が深い隣国として、これからの時代に協調し、穏やかに響きあっていかなければならない。そのことは、大げさな思想として語らなくても、生活実感に基づいた、ごく当たり前の、結論であるように思われる。 続きを読む

日本とフィリピンの「共生の世紀」を見つめて――書評『マリンロードの曙』
 解説:松田 明(ライター)

『マリンロードの曙』(ホセ・V・アブエバ/池田大作著)

両親を日本軍に惨殺されたアブエバ氏

 ホセ・V・アブエバ氏は、ニューヨーク市立大学、イェール大学等の客員教授を経て、東京の国連大学本部に勤務。帰国後は国立フィリピン大学総長として手腕を振るい、退官してカラヤアン大学を創立、初代学長に就任した。同国の憲法改正諮問委員会委員長を務めるなど、文字どおりフィリピンを代表する知性の1人である。 続きを読む

詩人・岩崎航の初エッセイ集――書評『日付の大きいカレンダー』
 解説:青山樹人(ライター)

『岩崎航エッセイ集 日付の大きいカレンダー』(岩崎航)

1万部を超えた詩集

 書店の世界で話題になっている詩集がある。岩崎航の綴った『点滴ポール 生き抜くという旗印』(ナナロク社)。2013年夏に出版されるや、1世紀超の歴史を有する『三田文学』が創刊以来初の巻頭カラーページで岩崎を紹介し、詩人・谷川俊太郎は岩崎の住む仙台まで駆けつけて彼と共にトークイベントをおこなった。 続きを読む

キリスト教徒と僧侶による、歯に衣着せぬ対談――書評『創価学会を語る』
 解説:松田 明(ライター)

『創価学会を語る』(佐藤 優/松岡幹夫 著)

世界で伸長する創価学会

 この国では「宗教」がきちんと議論されることがない。それは、社会が成熟によってデリケートなことがらをスルーしているからではなく、宗教や信仰について真摯に考えるだけの成熟にいまだ至っていないからである。 続きを読む

未来を担う若き世代にこそ読んでほしい一書――書評『新たなグローバル社会の指標』
 解説:青山樹人(ライター)

『新たなグローバル社会の指標――平和と経済と教育を語る』(劉遵義/池田大作 著)

名門・香港中文大学第6代学長との対話

 対談者の一方である劉遵義(りゅう・じゅんぎ)氏は香港中文大学の第6代学長(2004~2010)を務めた。1944年、中国貴州省生まれ。香港で初等教育を受けたあと米国スタンフォード大学に学び、カリフォルニア大学バークレー校で博士号を取得。スタンフォード大学アジア太平洋研究センター長などを歴任した。経済発展と経済成長、中国を含む東アジア経済を専門とする経済学の泰斗である。1997年のアジア通貨危機を早くから予測し、警鐘を鳴らしていたことでも知られている。 続きを読む