書評『八王子と福祉のまちづくり』――〝共生社会〟のヒントをさぐる

ライター
本房 歩

住民を巻き込んだまちづくり

 東京都で唯一の中核都市である八王子市は、かつては甲州街道最大の宿場町「八王子宿」として栄え、近代の初めには関東各地で生産された絹糸や絹織物などを横浜に移送する流通拠点として重要な位置を占めた。
 また、この半世紀あまりは大学のキャンパス移転や新設開学が続き、21の大学・短期大学・高専を擁して、約10万人の学生が集う学園都市としても知られている。

 平成に入った頃から、住宅地の郊外への進展、それに伴う大型ショッピング施設の郊外での開業など郊外地域の発展により、八王子駅周辺の大型商業施設が相次いで閉店するなど、中心部の「空洞化」が問題になった。
 しかし、その後の新しい都市計画によって中心市街地に若いファミリー層が暮らす集合住宅が増え、商業施設も充実して、現在では「居住者向けの街」として住民を巻き込んだ中心市街地の活性化が進んでいる。(「八王子市中心市街地活性化基本計画」参照) 続きを読む

『摩訶止観』入門

創価大学大学院教授・公益財団法人東洋哲学研究所副所長
菅野博史

第110回 正修止観章 70

[3]「2. 広く解す」68

(11)病患境②

 (2)別釈①

 別釈は、「病を観ずるに五と為す。一に病の相を明かし、二に病の起こる因縁、三に治法を明かし、四に損益(そんやく)、五に止観を明かす」(第三文明選書『摩訶止観』(Ⅲ)、近刊、頁未定。大正46、106b13~14)とあるように、五段に分かれる。順に紹介する。 続きを読む

連載「広布の未来図」を考える―第13回 包摂し活かすのが「中道」

ライター
青山樹人

「分断と対立」に揺れ動く世界

――2026年も年頭から国内外の政治に目まぐるしい動きが続いています。まず1月3日(現地時間)未明、トランプ大統領の命令を受けた米軍が、南米ベネズエラの首都カラカスを含む複数の拠点を爆撃。同時に特殊部隊(デルタフォース)による急襲作戦を実行して、ニコラス・マドゥロ大統領夫妻を拘束して米国内へ移送しました。

青山樹人 「自由」と「民主主義」「法の支配」「基本的人権」などを価値観としていたのが米国です。その米国が他の主権国家に武力攻撃を加えて国家元首を拘束連行しました。
 議会の承認さえ得ていなかったことについて、トランプ大統領は合衆国憲法第2条に基づく権限(最高司令官としての権限)だと主張していますが、議会からは民主党を中心に「宣戦布告の権限を持つ議会を軽視しており、違憲である」との批判が噴出しています。

 いずれにしても、これではロシアによるウクライナ侵攻をはじめ、大国が〝力による現状変更〟を試みようとすることに正当性を与えてしまうと懸念されています。 続きを読む

中道改革連合に望むこと――「打倒!」の選挙は嫌われる

ライター
松田 明

国民の理解が得られない解散

 解散から投票まで16日という〝戦後最短〟の衆議院選挙が公示となった。
 首相が自民党首脳にさえ伝えずに電撃解散に打って出たことで、図らずも野党側でも中道改革連合という新党が結党された。

 与党側は「政権の枠組みが変わったのだから、その信任を問う選挙だ」と主張する。しかし、物価高騰対策が喫緊の課題になっているのに、通常国会も開かず、新年度予算の年度内成立を犠牲にしての解散総選挙は、あまりにも代償が大きい。 続きを読む