長嶺将真物語~沖縄空手の興亡 第12回 空手の琉球処分(下)

ジャーナリスト
柳原滋雄

長嶺が方針転換した背景

 今から40年前の1981年8月、沖縄空手界は2つに分裂した。
 この年、空手が初めて国体の正式種目となり、滋賀国体(夏季)で組手と型の競技が行われた(同年9月)。6年後の87年にはその国体が沖縄に回ってくる。空手発祥の地・沖縄で開催される国体において、地元沖縄からだれも選手が出場しないという事態は、県政に関わる者からすればありえない選択だった。
 当時の県知事は西銘順治(にしめ・じゅんじ 1921-2001)。保守系で1期目の半ば。90年に革新系の大田昌秀(1925-2017)に敗れるまで、西銘は3期12年を務める。87年の沖縄海邦国体を開催する責任者となったのもこの西銘だった。 続きを読む

なぜ立憲民主は伸びないのか——社会党化した野党第一党

ライター
松田 明

〝敵失〟のなかで迎えた党大会

 さる1月31日、立憲民主党はオンラインで「2021年定期大会」を開催した(「立憲民主党」HP ニュース1月31日)
 昨年9月、同党はかつて〝ケンカ別れ〟して犬猿の仲であった国民民主党とふたたび合流。150人を超す大所帯にこぎつけることができた。
 11月以降、新型コロナウイルスの感染拡大があきらかに第3波を迎えると、当初は高かった菅内閣の支持率が急降下。
 Go To トラベルキャンペーンの全国一時停止を発表した夜に、菅首相や自民党の二階幹事長らが銀座のステーキ屋で多人数の会食をしていたことが発覚すると、12月下旬には内閣不支持の数字が支持を上回った。 続きを読む

連載エッセー「本の楽園」 第106回 ニートの覚悟

作家
村上政彦

 今の世の中は生きづらすぎる。自分がわかいときはものはなかったが、こんなに窮屈じゃなかった。
 人にはそれぞれ、自分に合った履き物がある。
 なのに、今は既製品の靴に、無理に足を押し込んで履いている。
 だから、歩いているうちにすぐ足が痛くなる。それじゃダメだ。
 靴に足を合わせるんじゃなく、足に靴を合わせなきゃいけない。
 昔わらじを自分で編んだように、自分に合わせた履き物を作る。
 そうすれば、足は傷つかず、どこまでも歩いていける。
 自分専用のわらじをじっくり作る、そのための時間と場所が必要だ

 これは和歌山県の山中にニートやひきこもりの居場所をつくったNPO法人『共生舎』の代表・山本さんの言葉だ。 続きを読む

特集㉒ 〝法滅〟の法主——黒い歴史を背負った日開と日顕

ライター
青山樹人

嫉妬を募らせた阿部日顕

 1980年代の池田SGI会長の仏法者としての世界的な活動を、苦々しい思いで見ていた人物がいた。日蓮正宗法主(当時)の阿部日顕である。
 自宗の信徒の代表が世界に貢献し、賞賛されている。本来ならもっとも喜び讃え、もっとも感謝しなければならないのが日顕の立場だ。
 しかし、日顕は何も嬉しくない。
 自分は〝御法主上人猊下〟であり、SGI会長は信徒だ――。だが、SGI会長と世界の1000万の学会員は深く強い絆で結ばれている。皆がSGI会長を敬愛している。
 自分にあるのは盗み取った〝法主〟の権威だけである。その権威すら、宗内から地位不存在の訴訟を起こされ、当然ながら、反論もまったくおぼつかない。 続きを読む

シリーズ:東日本大震災10年目~「防災・減災社会」構築への視点 第4回 つながる語り部たち(下)~コロナ禍を超えて~

フリーライター
峠 淳次

近代人にとってこの災害が耐えがたいのは、それに対抗して『する』ことがないということではないだろうか。

 新型コロナウイルス禍に関して、劇作家の山崎正和氏が昨年(2020年)夏の逝去の直前、雑誌『中央公論』7月号に寄せた論考の中の一節である。事実、悪疫の世界的流行(パンデミック)という異質の災害下、私たちは「外出しないこと」「集まらないこと」を心掛けるばかりで、「行動『する』こと」「何かを『する』こと」を罪意識にも似た思いで控えている。こうした事態に、「現場で活動『する』」「生の声で伝承『する』」「人々と直(じか)に接触『する』」ことを真髄とする東日本大震災の被災地の語り部たちは、どう立ち向かってきたのだろうか。苦闘する語り部たちの姿を福島の地に追った。
(冒頭アイキャッチ画像:口演する青木代表=「富岡町3・11を語る会」提供) 続きを読む