書評『ガラパゴス政党 日本共産党の100年』――緻密な検証で追うタブー集

ライター
本房歩

社会党の近親憎悪

 なぜ著者がこの本を書くに至ったのか。
 その理由が端的に「エピローグ」のなかに記されていた。
 著者は早稲田大学に入学した当時、自分の学部の自治会を仕切っていた「民青」の意味さえよく理解していなかった〝典型的なノンポリ学生〟だったと述懐している。
 ちなみに「民青」とは「日本民主青年同盟」の略であり、日本共産党の下部組織である。
 卒業後、編集プロダクション勤務などを経て、当時の社会党機関紙『社会新報』の記者になった。

 編集部には、政党機関紙『赤旗』が置かれていたが、熱心に読んだ記憶はない。ただし社会党の中でしばしば感じたのは、同党内の強烈な共産党アレルギーで、近親憎悪に似た感情が渦巻いていた。(本書)

 1996年末に民主党の結成で社会党は分裂。著者はフリーランスになった。 続きを読む

特集① 創価学会創立90周年――日蓮仏法の精神を受け継ぐ

ライター
青山樹人

創価教育学会の誕生

 創価学会は日蓮大聖人(1222~1282年)の仏法を実践する在家の教団である。本年2020年は、いよいよ創立90周年を迎える。
 1930年(昭和5年)に日本で誕生し、今やSGIとして192カ国・地域にまで広がる世界最大の仏教団体に発展した。
 そして、それは単なる教勢の拡大にとどまらず、宗教やイデオロギーの差異を超えて、各国の第1級の知性から尊敬と共感を受け、連帯を求められる、世界的な人間主義の民衆ネットワークとして知られるようになった。
 創立当時の名称は、創価教育学会。
 初代会長の牧口常三郎は、教育者として市井で活躍し、同時に『人生地理学』(1903年)を著した地理学者として、同時代の新渡戸稲造や柳田国男といった人物からも高い評価を受けていた。 続きを読む

連載エッセー「本の楽園」 第92回 tanbunとは

作家
村上政彦

 今回の本は、『kaze no tanbun 特別ではない一日』である。キーワードは、「tanbun」だろう。日本語表記にするなら、おそらく「短文」。これを、どのように解釈するかが、まず、ポイントになる。
 短い文章――短篇小説、エッセイなど、普通に思い浮かべるのは、そのあたりだろうか。編者は、西崎憲。福岡の出版社・書肆侃侃房(しょしかんかんぼう)から発刊された文芸誌『たべるのがおそい』の編集長を務めた人物だ。
 もともと作曲から出発し、翻訳をするようになり、のちに小説や短歌を書くようになった。『たべるのがおそい』が話題になったのは、掲載作から芥川賞の候補作が選ばれたことが大きい。 続きを読む

連載エッセー「本の楽園」 第91回 瓦礫の未来

作家
村上政彦

 子供のころ、いくつか憧れた仕事があった。まず、船乗りと建築家だ。広い海に出て世界をめぐるのは、何とも愉快な仕事におもえた。それから自分の好きなように道路を引き、橋を架け、ビルを建てるのも、同じように愉快におもえた。
 ところが、僕にはできないと分かった。僕には、色弱という生まれつきの眼の異常がある。赤や黄色やはっきりとした色の見分けはつくのだが、微妙な色の違いがわからないのだ。
 船乗りは通信に手旗信号を使う。その色の見分けがつかないといけない。建築家は電気の配線などを指示する。やはり、その色の見分けがつかないといけない。僕にはそれができないのである。
 このことを知ったとき、子供なりにショックだった。母親に不満を述べた。そうしたら、彼女は、ふん、と鼻先で笑って、産んでもらっただけありがたいとおもえ、とうそぶいた。僕は驚いて言葉を失った。 続きを読む

新型コロナウイルス特集⑧――国民が見ているのは「実現力」

ライター
松田 明

内閣支持率が上昇に転じる

 安倍首相が緊急事態宣言の延長を発表してから最初の世論調査が各社から出た。
 当初、5月6日までとしていた期間を延長せざるを得なくなったことについて、安倍首相は5月4日の会見で国民に「お詫び」を表明した。
 この「延長」決定については、JNNの月例の世論調査(5月9日~10日)で、

評価する  81%
評価しない 14%
答えない・わからない 5%

と、8割が評価。また内閣支持率については、

支持する  47・3%(+4・1)
支持しない 50・8%(-1・9)

と、支持率が上昇。日本経済新聞や産経新聞の調査でも、同じように支持率が上がり不支持率が下がっている。 続きを読む