【書評】宗教間対話の記録
 解説:本房 歩(ライター)

『牧師が語る仏法の師』(ローレンス・E・カーター著/広田明美訳)

全米で評価された書籍

 本書は2つの意味で、読者にとって有益なものをもたらすだろう。
 第1は、マーチン・ルーサー・キング・ジュニアが真にめざしていたものは何だったのかということへの、洞察と理解である。
 第2は、創価学会の世界宗教化とは、どのようなプロセスと展開を経ていくのかということへの想像力である。
 本書の原題は『A Baptist Preacher’s Buddhist Teacher』(バプティスト牧師の仏法の師匠)。
 2018年11月に米国のミドルウェイ・プレスから出版された同書は、キリスト教のもっともすぐれた書籍を選出するイルミネーション・アワードの「回想録」部門で、2019年の金賞に輝いた(「聖教ニュース」2019年4月22日)。
 著者のローレンス・E・カーターは、キリスト教バプティスト派の牧師であり、マーチン・ルーサー・キング・ジュニアの母校モアハウス大学にある「キング国際チャペル」の所長である。 続きを読む

【書評】好評連載がオールカラーで書籍化
 解説:本房 歩(ライター)

『世界の名画との語らい』(聖教新聞外信部編)

聖教新聞外信部の挑戦

 新聞のクオリティーは、その「文化欄」を見れば分かるとしばしば言われる。
 本書は『聖教新聞』12面に2018年3月から現在も連載されている「世界の名画との語らい」をまとめたもの。
 言うまでもなく『聖教新聞』は創価学会の機関紙であるが、日本では読売、朝日につぐ発行部数を有する、大きな影響力を持った日刊の全国紙でもある。
 ただ、一般的に新聞の美術記事は学芸部か文化部が担当するのに対し、この「世界の名画との語らい」がユニークなのは、外信部が担っていることだ。 続きを読む

【書評】初めて明かす自伝的エッセイ
 解説:田原総一朗(ジャーナリスト)

『孤独の意味も、女であることの味わいも』(三浦瑠麗著)

 どんなことでも率直に話し合える。安心して討論もできる。三浦瑠麗という人物を、私は女性として信頼している。裏切る、ということのない数少ない人物だと捉えている。
 それにしても、これは凄まじい書であった。
 ここまで、自分と夫との関係、そして母親と娘との関係を具体的に書くとは、私にはとてもできないことである。 続きを読む

【書評】待つのではなくて、葛藤してみる
 解説:韓英恵(女優)

『「女子」という呪い』(雨宮処凛著)

 父親が韓国育ちの日韓家庭で育った私はまさしく、「女は家庭、男は仕事」で育った。

 私の父にはフェミニズムの言葉はなく、家族の中で父親が一番えらく権利を持つという考え方の人だった。 続きを読む

【書評】認知症と人間との関わりに新たな光を照らす
 解説:茂木健一郎(脳科学者)

『脳科学者の母が、認知症になる』(恩蔵絢子著)

 脳科学において、認知症は重要な研究テーマである。その発症のメカニズム、進行を止める方法、脳の回路が受ける影響などに関心が集まる。高齢化社会において、認知症を理解することは、脳科学の最も大切な課題の一つと言ってよい。

 とはいえ、脳科学者である本書の著者にとっても、自分の母親が認知症になるというのは、予想していなかったことだろう。戸惑い。不安。対策の模索。自分の家族が認知症になったときの感情の揺れや、気持ちの動きは、脳を研究する科学者であっても一般の人々と変わらない。 続きを読む