書評『最新版 宗教はだれのものか 世界広布新時代への飛翔』――創価三代の闘争を一冊で学ぶ
 解説:青山樹人(ライター)

『最新版 宗教はだれのものか 世界広布新時代への飛翔』(青山樹人著)

イタリア共和国がSGIと協約締結

 このほどイタリア共和国がイタリアSGI(創価学会インタナショナル)との間でインテーサ(宗教協約)を締結した。2015年6月27日、同国のレンツィ首相がフィレンツェにあるSGIのイタリア文化会館に足を運び、フィレンツェのナルデッラ市長ら来賓が見守るなか調印式がおこなわれた。 続きを読む

国交正常化の原点を丹念に見直す―書評『扉はふたたび開かれる 検証日中友好と創価学会』
 解説:青山樹人(ライター)

『扉はふたたび開かれる 検証日中友好と創価学会』(信太謙三/監修・編著者、時事通信出版局/編者)

宗教家ゆえに黙殺されてきた功績

 行き詰まったら原点に帰れ、である。
 2015年1月から7月までの訪日外国人は、はやくも1100万人を超えた。中国人が最も多く275万人余で、前年の同じ時期より2倍以上に増えている。
 日中関係は観光や経済を中心にかつてないほど深まっている。一方でこの数年、政治的な次元では幾度も「国交正常化以来最悪」という形容詞で語られる危機が続いてきた。 続きを読む

良識的な中間層の声を、いかに政治に反映させるか――【書評】『21世紀の自由論』(佐々木俊尚著)
 解説:青山樹人(ライター)

『21世紀の自由論:「優しいリアリズム」の時代へ』(佐々木俊尚著)

ヨーロッパの普遍主義の終り

 話題の一書である。
 著者の佐々木俊尚氏については、今さら多くを説明するまでもないだろう。毎日新聞記者からフリージャーナリストに転じ、ITと社会の相互作用と変容をテーマに多彩な言論活動を続けてこられた。『レイヤー化する世界』(NHK出版新書)、『キュレーションの時代』(ちくま新書)など、今という時代の姿を見事に言語化してみせた著作は読んだ人も多いはずだ。 続きを読む

【書評】芸術に触れる喜び、生きる喜びがここにある
 解説:町田 康(小説家)

『東京藝大物語』(茂木健一郎著)

 うどん屋になろうと思っている人とうどん屋とではどちらがよりうどん屋か。というと、そりゃ当然、うどん屋の方がうどん屋でしょう、と思う。けれども、うどん屋になろうと思っている人とうどん屋とではどちらがよりうどんを追求しているか。 続きを読む

【書評】夫婦の理想的な関係とは――考えるヒントとなる一書
 解説:佐々木俊尚(ジャーナリスト)

『主夫と生活』(マイク・マグレデイ著/伊丹十三訳)

 ニューヨークの新聞社に勤務している40歳の著名コラムニストがある日、仕事をすべて辞めてしまって専業主夫(ハウスハズバンド)になった。それから1年間の、主夫生活の苦闘と発見をつづった非常に面白いノンフィクションである。

 実はこの本が書かれたのは、1975年のことだ。83年になって、映画監督で俳優、名エッセイストでもあった故伊丹十三が翻訳し、日本語版が刊行された。本書はその復刻版である。 続きを読む