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【書評】今の時代へのふくよかな期待と夢に充ちた「予感の書」
 解説:茂木健一郎(脳科学者)

『そして、暮らしは共同体になる。』(佐々木俊尚著)

 季節が変わり、例えば春になる時、その兆しは、さまざまなところに表れる。空気のやわらかさだったり、膨らんでいく木の芽だったり、あるいは鳥のさえずり。そのようなシグナルを受け取って、私たちは時が移ろい行くのを知る。

『そして、暮らしは共同体になる。』は、ジャーナリストの佐々木俊尚さんが、私たちの生活のあり方、考え方が変化していくその兆しを、食べること、住まうこと、つながることなどさまざまな分野における兆候からとらえた本である。 続きを読む

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【書評】人に無限の可能性があることを気づかせる一書
 解説:姜尚中(東京大学名誉教授)

『最高の結果を引き出す質問力』(茂木健一郎著 )

 本書を読み進むうちに閃いたのは、夏目漱石の名作、『三四郎』の中の台詞である。「熊本より東京は広い。東京より日本は広い。日本より……日本より頭の中の方が広いでせう。……囚われちゃ駄目だ」。台詞の主は、昼行灯のように茫漠としていながら、悠揚迫らない風情の広田先生である。 続きを読む

miuraruri

【書評】トランプ現象の見事な現状分析――将来予測に答える
 解説:安田洋祐(大阪大学大学院准教授)

『「トランプ時代」の新世界秩序』(三浦瑠麗著)

 大胆な言動や政策が注目を集め、連日メディアで大きく報道されている米国のトランプ新大統領。一見すると予測不可能にも思えるトランプ政権の先行きを占うためには、どうすれば良いのでしょうか。大手メディアや識者による解説では、常識的な価値観にもとづいて「あの政策は間違っている」「理想はこうあるべきだ」とする、是非論・べき論ばかりが目立ちます。 続きを読む

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【書評】日本社会の動向を決する公明党と創価学会
 解説:松田 明(ライター)

『佐藤優の「公明党」論』(佐藤優)

公明党と他党の本質的な違い

 今や日々の新聞、テレビ等の報道で「公明党」の3文字の登場しない日はない。むろん公明党が政権与党の連立パートナーだからではあるが、それでもわずか10年前には考えられなかったことだ。
 国政ならずとも東京都議会を見ていてもわかるように、つまりそれだけ、公明党がどのように判断し、対応するかが、日本社会の動向を決するうえで無視できない影響力を持つようになっているのである。 続きを読む

06224

「反戦出版」書評シリーズ① 『男たちのヒロシマ』
 解説:柳原滋雄(ジャーナリスト)

男たちのヒロシマ――ついに沈黙は破られた(創価学会広島平和委員会編)

直接体験をもつ最後の世代が沈黙を破る

 全80巻の反戦出版シリーズ(1974~85年に刊行)で知られる創価学会が近年、新たな平和出版活動を重ねている。以前の反戦シリーズは、同青年部がまとめたもので〝戦争を知らない世代へ〟が副題となっていた。
 2014年に新たに上梓された『男たちのヒロシマ~ついに沈黙は破られた』(第三文明社刊)は、表題のとおり、男性による証言集だ。 続きを読む