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【書評】生命に対する祈りであり、賛歌
 解説:茂木健一郎(脳科学者)

『春の消息』(柳 美里・佐藤弘夫 著 写真 宍戸清孝)

 人は出会い、そして別れる。この世との、そして愛しき人々との最後の別れが「死」である。

 人間は2度死ぬという。1度は生命が尽きた時。そして、2度目はその人を思い出す人がいなくなってしまった時。

『春の消息』を読みながら、そんな出会いと別れのふしぎさ、生命のかけがえのなさについて考えていた。 続きを読む

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【書評】インテリジェンスの巨匠が世界を読み解く
 解説:金惠京(日本大学危機管理学部准教授)

『独裁の宴──世界の歪みを読み解く』(手嶋龍一/佐藤 優 著)

 本書は2017年の国内外の動向について、インテリジェンスの巨匠と称される佐藤優氏と手嶋龍一氏が「独裁」という切り口を軸に行った対談をまとめた好著である。昨年はトランプ大統領の就任、北朝鮮によるミサイル実験・核実験など、国際的な危機を誘発させる事象が相次いだ。 続きを読む

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【書評】資本主義から〝価値主義〟の時代へ
 解説:松田 明(フリーライター)

『お金2.0』(佐藤航陽著)

お金にはならない価値

 2017年11月に刊行されるや、ベストセラーとして注目を集めている一冊。
 著者の佐藤航陽(さとう・かつあき)氏は1986年生まれ。早稲田大学在学中だった06年に株式会社メタップスを創業。15年には東証マザーズに上場し、年商100億円を上回るグローバル企業に成長させた。 続きを読む

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【書評】「こざかしさ」の対極にある生の希望
 解説:湯浅 誠(社会活動家/法政大学教授)

『ありったけの春』(茂木健一郎 著)

 5歳にあこがれる54歳。この本から受けるのは、茂木さんのそんな本質だ。

 初々しさや純真さへの郷愁(ノスタルジー)もあるが、それだけではない。肩書も役職もなく、その刹那に没頭する裸一貫の「今、ここ」に対する敬意と慈しみが、そのあこがれを支えている。大人にとっても自立とはそのようなものだし、そのようであるべきだという考えが、そのあこがれを支えている。 続きを読む

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【書評】冷静な筆致で綴られたルポルタージュ
 解説:松田 明(フリーライター)

『トランプ時代のアメリカを歩く』(聖教新聞外信部 編)

想定外の大統領選挙

 私たちは単なる想定外の〝悪夢〟を見ているのか。それとも、冷静に対峙すべき〝新しい時代の課題〟と向き合わされているのか。
 2016年11月8日。米国はもとより日本を含む諸外国のメディアの大勢は、史上初の女性大統領が米国に誕生することを確信し、その瞬間を固唾をのんで見守っていた。
聖教新聞外信部副部長の光澤昭義記者も、民主党ヒラリー陣営の集まるニューヨークのジェイコブ・ジャビッツ・コンベンション・センターで、その時を待っていた1人である。
 だが、開票が進むにつれ、場内は異様な空気に包まれた。ホワイトハウスの第45代の主人となったのは、共和党のドナルド・トランプだった。 続きを読む