イタリア共和国がSGIと協約締結
このほどイタリア共和国がイタリアSGI(創価学会インタナショナル)との間でインテーサ(宗教協約)を締結した。2015年6月27日、同国のレンツィ首相がフィレンツェにあるSGIのイタリア文化会館に足を運び、フィレンツェのナルデッラ市長ら来賓が見守るなか調印式がおこなわれた。
協約はイタリア共和国憲法第8条に基づき、信教の自由の擁護を前提として、影響力のある宗教団体との間に交わすもので、教育・研究機関の設立など諸権利が認められる。これまで12教団しか認められておらず、14年間にわたる厳正な審査を経て、イタリアSGIがその一員に迎えられることとなった。
このことは、今やヨーロッパ社会でSGIがどのように認識されているかを雄弁に物語るものだと思う。2014年12月にフランスで放送された公共テレビ局「フランス2」の人気番組「テレマタン」は、イタリアSGIの発展ぶりを客観的に伝え、〝今やヨーロッパ最大の仏教寺院〟として同SGIのミラノ文化会館を紹介していた。
創価学会の創立は1930年(昭和5年)。本年の11月18日で85年の節目を刻む。戦時下で大弾圧を受け、一旦は壊滅状態になっていることを考えれば、実質は戦後の70年間でここまでの発展をとげたことになる。
今ではSGIとして世界192カ国・地域に広がっている。南米大陸最南端の町にも、北極圏の大地にも、大西洋の島にも、中東の都市にも、メンバーが活動する名実ともに世界最大の在家仏教運動である。歴史家アーノルド・トインビーは1972年の時点で「創価学会は、すでに世界的出来事である」(英語版『人間革命』序文)と綴った。
試練と挑戦の連続だった85年間
この創価学会の歩みは、そのまま〝宗教はだれのためにあるのか〟という人類史への問いかけでもあった。
宗教の聖なる権威に人間がひれ伏すのではない。人間を尊敬し、人間の幸福を目的とし、人間そのものを向上させていく〝人間のための宗教〟である。これは、いわば人類の宗教観の大転換であった。
日本にあっては、人々が数百年も浸りきってきた葬式仏教の打破であり、民衆を社会の当事者へと自立させる運動となった。
それだけに、この85年間は幾世紀もの歴史を圧縮したような試練と挑戦の連続だった。
手前味噌になって恐縮だが、このたび筆者が上梓することになった新刊『宗教はだれのものか 世界広布新時代への飛翔』は、この85年の歴史を一気に俯瞰しようと試みたものである。
かつてない民衆運動の勃興に対して、どのような者たちがどのような危惧を抱き、いかなる圧迫を加えてきたのか。創価三代の指導者、なかんずく池田大作・第3代会長(SGI会長)が、いかにしてそれらと戦い、新たな時代を切り開いてきたのか。
戦前・戦後の出来事から、池田会長就任以降の多角的な発展。恩師から託された事業をすべて実現し、いよいよ世界宗教へ成熟を遂げようとする池田会長の挑戦と、それを阻み寺檀制度の従属関係へ逆行させようとする聖職者たち。会長の対話に胸襟を開く各国指導者の姿。学会の発展に危機感を覚えて謀略をめぐらす者たち。そして、今日の世界の知性たちのSGI会長への認識。
創価学会に関する書籍は膨大にあるが、一冊でその試練と挑戦の歴史を詳細に把握できるのが本書の特徴である。
タイトルとしては2002年刊(その後、06年に改訂版)の著作に準ずるが、構成も内容も時系列にまったく一新し、直近の出来事まで収録した。
通読していただくと、学会が大きな試練に直面するごとに、池田SGI会長がそれをいかに追い風へと転じ、大きく前途を開いてきたかがよくわかると思う。
巻末には年表も掲載した。学会入門の一書として、また師弟共戦の学習教材として、さまざまに活用いただければと願う。
【目次】
第1章◎SGIの誕生
仏意仏勅の教団
民衆の城
逆風
世界との対話
疑心暗鬼
第2章◎獅子身中の虫
反逆者の策謀
謀略
正義の旗
第3章◎広布の山を登れ
信ずべき青年とともに
世界平和への潮流
師弟の息吹
嫉妬
C作戦
ゴルバチョフ会談
第4章◎三類の強敵
決行
魔物の正体
魂の独立記念日
法主の素顔
「破壊」と「普請道楽」
新しい扉
欺瞞の野合
「デマ報道」を断罪
第5章◎人間のための宗教
放たれた獅子
地球文明の創造へ
主な参考文献
年表