東日本大震災」タグアーカイブ

【コラム】「逆境」こそが生命に新たな価値を開かせる――生物学の知見と、大乗仏教が説く「変毒為薬」の智慧

ライター
青山樹人

なぜ生物は動くようになれたのか

 生物学者・福岡伸一さんの著作は、どれも引き込まれるような名文と哲学的な視点で根強い人気を博している。そのなかの1冊、『動的平衡2 生命は自由になれるのか』(木楽舎)に、植物が動物に変わった瞬間の話が出てくる。この場合の〝動物〟というのは、<食べ物を探査し、追い求め、獲得する>(同書)ために自ら行動する生物である。 続きを読む

あらゆるいのちを守り育む「ふるさとの森」を全国に広げたい

横浜国立大学名誉教授/植物生態学者
宮脇 昭

<シリーズ>自然保護と生物多様性を考える(1)――近年、異常気象を原因とした激甚災害が多発している。相次ぐ災害に、森を防災や環境保全の中心に生かそうとの声が高まりつつある。宮脇昭氏に、森が人の暮らしに果たす役割を聞いた。 続きを読む

共生の思想に基づくアジア・アイデンティティの確立を

麗澤大学教授/歴史家
松本健一

 領土問題や歴史認識で展望を描けない日本外交。社会不安から一部若者によるヘイトスピーチも広がる。対立と分断を乗り越えていく共生の思想を松本氏に聞いた。

お互いの共通点を探る

 私は2006年に『日・中・韓のナショナリズム 東アジア共同体への道』(第三文明社刊)を執筆しました。同書の冒頭で私は、「世界経済のグローバル化は国家間の対立解消には向かわず、自国の権益を守ろうとするがゆえに、かえって内向き志向を強めてナショナリズムが険しさを増していく」とナショナリズムのもつ危険性を指摘しました。 続きを読む

個人化が進む今だからこそ、中間集団の持つ可能性に期待

学習院大学非常勤講師
新 雅史

国家と個人の中間に存在する中間集団。その可能性と重要性が、個人化が進むなかで注目されている。

中間集団が注目された歴史的背景

「中間集団」の存在は「希望ある社会」の創造を目指す私たちにとって、非常に大きな役割を果たすと私は考えています。 続きを読む

【コラム】1万年のレッスン――〝ニッポン〟が秘める価値

ライター
青山樹人

世界を驚かせた日本人の姿

 ノーベル平和賞を受賞したケニアのワンガリ・マータイさんは、日本で覚えた「もったいない」という言葉を、環境保護の智慧を含んだキーワード「Mottainai」として世界に発信した。
 2009年のラマダン(イスラムの断食)期間中にサウジアラビアで放映された『ハワーティル(改善)』というテレビ番組は、たちまち同国の人々を釘付けにし、シリア、ヨルダン、エジプト、イラクなど周辺のアラブ諸国でも反響を呼んだそうだ。
 この番組は、学校で生徒たちが掃除をする、時間を正確に守る、順番に並ぶ、落ちていた財布を交番に届けるといった日本人の振る舞いを、驚きをもって紹介しながら、自分たちの社会も日本を模範に〝改善〟していこうという内容だ。 続きを読む