韓国でもっとも有名なアートは何だろうか?
僕は韓国・ソウルの在韓日本大使館の前に据えられた「少女像」だとおもう。韓国人はもちろん、日本人の多くが知っている。その姿は、欧米にも伝わった。
このようなアートを、韓国では、民衆美術(ミンジュン・アート)と呼んでいる。それは――
一九八〇年代、韓国の反独裁民主化運動と呼応して生まれた美術運動であり、独裁政権の継続および急速な産業化・社会構造の変化によって顕在化した政治的抑圧と社会的矛盾を、「歴史の主体は民衆である」という立場から表現しようとしたリアリズム美術(『韓国の民衆芸術』より)
つまり、民衆美術とは、極めて政治と関わりの深いアートなのだ。そのせいか、韓国国内でも長くアートとしては冷遇されてきた。正当に評価をされるようになったのは、1990年代になって民主政権が誕生してからだという。 続きを読む