第74回 正修止観章㉞
[3]「2. 広く解す」㉜
(9)十乗観法を明かす㉑
⑥破法遍(2)
(4)従仮入空の破法遍①
では、最初の従仮入空の破法遍の段について説明する。この段も「先に見仮従り空に入り、次に思仮従り空に入り、後に四門もて料簡す」(第三文明選書『摩訶止観』(Ⅱ)、660頁)とあるように、さらに三段に分かれる。仮を見仮と思仮に分けていることがわかる。 続きを読む
⑥破法遍(2)
(4)従仮入空の破法遍①
では、最初の従仮入空の破法遍の段について説明する。この段も「先に見仮従り空に入り、次に思仮従り空に入り、後に四門もて料簡す」(第三文明選書『摩訶止観』(Ⅱ)、660頁)とあるように、さらに三段に分かれる。仮を見仮と思仮に分けていることがわかる。 続きを読む
⑥破法遍(1)
今回は、十乗観法の第四「破法遍」について紹介する。「破法遍」の段は巻第五下から巻第六下まであり、実に一巻半分の長いものである。それだけに、この段の科文は非常に複雑煩瑣であるので、ここでは便宜的な科文(完全には体系的でない)を設け、読者の便に供する。これでもやや複雑であるが、以下の通りである。なお、科文に付した番号は、「破法遍」のみに当てはまる番号であり、『摩訶止観』全体に適用する番号ではない。もし『摩訶止観』全体の番号とする場合は、番号の前に、「5.7.2.8.1.2.1.1.1.1.4.」を付けなければならない。( )の番号は、『大正新脩大蔵経』巻第四十六巻の頁・段・行である。 続きを読む
⑤善巧安心(3)
(2)別して安心を明かす②
④信行の安心のための八種の方法
次に、信行の人の心を法性に安んじる八種の方法について説明している。八種の方法とは、止と観にそれぞれ四悉檀があり、合わせて八種となる。テキストの引用は省略し、内容について簡略に説明する。
②禅定が不足して心が散乱している者に対して、巧みな方便、さまざまないわれ、比喩によって、広く止をほめたたえ、その善根を生じることを、便宜にしたがって(随便宜=為人悉檀)止によって心を安んじることと名づける。 続きを読む
⑤善巧安心(2)
(2)別して安心を明かす①
ここから、別して安心を明かす段である。では、止観によって心を法性に安んじることがうまくいかない場合はどうすればよいのであろうか。『摩訶止観』には、「若し倶に安んずることを得ずば、当に復た云何んがすべき」(第三文明選書『摩訶止観』(Ⅱ)、608頁)と、問題提起をしている。うまく行かない様子については、「復た之れを止(とど)むと雖も、馳すること颺炎(かげろう)よりも疾(と)く、復た之れを観ずと雖も、闇(くら)きこと漆・墨に逾(こ)えたり」(同前)と述べている。私たちの心が御しがたいことを踏まえて、心を静止させようとしても、吹き上がる炎よりも早く走り去り、これを観察しようとしても、漆と墨よりも暗闇であるので観察できないと述べている。
次に、具体的に心を安んじる方法について、他人に教えること(教他)と自分で行なうこと(自行)の二種に分ける。はじめに、前者の他人に教えることについては、さらに聖人の師が教える場合と凡夫の師が教える場合の二種に分けている。 続きを読む
⑤善巧安心(1)
今回は、十乗観法の第三「善巧安心」(巧安止観)について紹介する。詳しく表現すると「善巧安心止観」となる。ただし、「善巧安心」は『摩訶止観』に六回出、「巧安止観」は一回出るが、「善巧安心止観」は『摩訶止観』には出ず、宋代以降の天台文献に出る(※1)。
『摩訶止観』には、「善巧安心」の段の冒頭に、その定義について、
三に善巧安心とは、善く止観を以て法性に安んずるなり。上に深く不思議境の淵奥(えんおう)、微密(みみつ)なるに達し、博(ひろ)く慈悲を運びて、亘蓋(こうがい)すること此の若し。須らく行じて願を塡(み)つべし。行は即ち止観なり。(第三文明選書『摩訶止観』(Ⅱ)、606頁)
と述べている。つまり、補って表現すると、「巧みに止観によって[心を]法性に安んじる」ことである。不思議境が奥深く秘密であることを深く理解し(十乗観法の第一の観不思議境に相当)、広く慈悲を動かしてくまなく衆生を覆いかばうのである(十乗観法の第二の起慈悲心に相当)。この衆生を守るという誓願を止観という修行によって実現する必要があるのである。
湛然(たんねん)によれば、善巧安心の段について、総じて安心を明かす段と別して安心を明かす段の二段に分けている。 続きを読む