民主主義」タグアーカイブ

著者インタビュー『日本人はなぜ存在するか』

愛知県立大学日本文化学部歴史文化学科准教授
與那覇 潤

 著書『日本人はなぜ存在するか』で示した再帰性の観点が、ナショナリズムが台頭しつつある今の日本になぜ必要なのか。與那覇氏に話を聞いた。

――著書『日本人はなぜ存在するか』のテーマである「再帰性」の考え方はなぜ必要なのでしょうか。

 再帰性とは、「われわれは単に現実に存在するものを認識しているというより、逆に認識を通じて現実を作り出している」という視点のことです。わかりやすいように、まずは個人と世界の関係で例を出せば、夕焼けが赤く見えるのは太陽自体が赤いからなのか、私の網膜にそれを「赤く見る」性質があるからなのか。後者の観点を取るのが再帰性の立場です。 続きを読む

対談企画シリーズ「『若者という希望』に未来を託そう」(第2回)

京都造形芸術大学教授
寺脇 研

「福島の今」から日本の未来を見すえる

第2回対談者 開沼 博(社会学者)

 未来を開くのは青年の熱と力──。教育者で京都造形芸術大学教授の寺脇研さんによる対談シリーズの第2回です。社会で活躍する「ゆとり世代」などの若者世代と語り合い、希望の未来を描き出します。今回のお相手は、気鋭の社会学者・開沼博さんです。 続きを読む

今、なぜ「ナショナリズムの復権」なのか

東日本国際大学准教授
先崎彰容

著者自らが語る〝ナショナリズム復権〟の本質とは――。

死生観、倫理学にまとわる問い

 拙著『ナショナリズムの復権』(ちくま新書、2013年6月発刊)を出してから、反響は、筆者の予想を大きく超えるものであった。書評が出て、講演依頼が来て、最後にはテレビの出演依頼まできた。それは完全に「予想外」の出来事であった。 続きを読む

多様性を承認する「トポス」と宗教が果たす役割

北海道大学大学院法学研究科准教授
中島岳志

多様性が担保される社会のかたちとはどのようなものか。

民主主義における「多数者の専制」

 フランスの思想家トクヴィルは『アメリカのデモクラシー』という本で、デモクラシー(民主主義)にとっていちばん重要なのは国家と個人の間のアソシエーション(中間的組織)だと強調しました。労働組合や社会団体、宗教団体といったアソシエーションへの参加を通じて、自分とは違う他者の考え方を尊重し、合意形成していくパブリック・マインド(公について考える気持ち)が醸成されていくのです。 続きを読む