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連載エッセー「本の楽園」 第12回 ノーブック・ノーライフ(町の本屋篇)

作家
村上 政彦

 このコラムは、本好きによる、本好きのための読み物だ。これまで編集者、出版社について書いてきた。このあたりで書店について触れないわけにはいかない。「町の本屋」のことを語ろう。

 子供の頃、僕が暮らしていた家の近くに、S書房はあった。表に漫画や雑誌を置いて、奥の10坪ほどの狭いフロアに、文学や実用書など活字の本を並べている。レジにいるのは、主だったり、その奥さんだったりする。 続きを読む