俺はニック・ビレーン。酒に救われ、競馬に慰められている、腹に贅肉のついた55歳の中年男。LA公認の私立探偵だ。ある日、オフィスにとびきりスタイルのいい、セクシーな女性が現われた。「死の貴婦人」(レイデイ・デス)を名乗る彼女は、セリーヌを探して欲しい、と依頼してきた。セリーヌだって? とうに死んだ作家じゃないか。しかし彼女は、セリーヌは生きている、街の書店に姿を見せたという。依頼とあれば仕方がない。1時間6ドルの報酬で請け負った。 続きを読む
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連載エッセー「本の楽園」 第9回 人生を〝着崩す〟 ブコウスキーの詩
若いころジーンズを加工したことがある。履いたまま風呂に入って、そのまま乾かすと、体にフィットする。それを漂白剤でブリーチしたり、軽石で擦ったりして、わざとダメージを与えるのだ。当時は、それがスタイリッシュだった。いまでは店頭でダメージを施したジーンズが売られている。
こういう衣服の着方は、〝着崩す〟という。ブコウスキーの人生を見ていると、この“着崩す”という言葉がぴったりの気がする。 続きを読む