広布の未来図」タグアーカイブ

連載「広布の未来図」を考える――第4回 宗教者の政治参加

ライター
青山樹人

戦後、多くの教団が政界進出

――今回は「政治と宗教」について、多くの人が抱いている疑問などにも触れながら、ていねいに考えていきたいと思います。
 まず、日本では多くの人が、宗教団体が政治に接近することに警戒心を持っているように思います。なかには、「憲法違反」だと思い込んでいる人もいます。

青山樹人 おっしゃるとおりですね。「政治」も「宗教」も、一般的には話題から避けることが多い。だから、よけいに不信感や不安感が強まるのかもしれません。
 私はこういう問題こそ、友人や家族と折に触れて語り合うことが必要だと思っています。その場合も、なにか説得しようとか、論破しようとかいうような姿勢ではなく、〝一緒に考えていく〟態度が大切だと思います。

 民主主義の社会というのは、異なる思想信条、価値観、信仰などを持った人々が共存していこうとする社会です。これが大前提ですよね。
 もし特定の思想信条や価値観、信仰が排除抑圧されてしまうのであれば、それはもはや独裁国家、権威主義国家になってしまいますから。 続きを読む

連載「広布の未来図」を考える――第3回 宗教を判断する尺度

ライター
青山樹人

――「政治と宗教」への人々の懐疑や批判的な声が続いています。そのうえで前回は、むしろこれをコミュニケーションのチャンスと捉えるべきだという話が出ました。

青山樹人 これは、とても大事な視点だと思います。むろん、誰でも自分が一番大切にしているものを土足で踏みにじられれば、黙っていられませんよね。その心情は当然でしょう。
 また、幾百万人の信仰に関わる悪意のデマに対しては、やはり黙していてはいけない。

 池田先生は『新・人間革命』で、日蓮大聖人が常に電光石火の言論戦に徹していた姿に触れ、

 黙っていれば、噓の闇が広がる。その邪悪を破る光こそ、正義の言論である。(第8巻「清流」の章)

 「一」 の暴言、中傷を聞いたならば、「十」の正論を語り抜く。(同)

と綴られています。
 まして現代はSNSの時代です。誤情報や悪意のデマが瞬時に広がる。だからこそ「電光石火」のスピードで、真実の情報を繰り返し発信していく必要があります。 続きを読む

連載「広布の未来図」を考える――第2回 公権力と信仰の関係

ライター
青山樹人

解散命令請求を認めた東京地裁

――2025年3月25日、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の不法行為をめぐって、東京地裁は国(文部科学省)が出していた「宗教法人法に基づく解散命令請求」を認める判決を下しました。

青山樹人 国側が解散命令請求の対象事実としたのは、同教団が遅くとも1980年頃から長期間・継続的に、不安や困惑、自由な意思決定に制限を加えるなどして、霊感商法や高額献金などをおこない、家族を含む多数の生活の平穏を害したというものです。

――これまで解散命令請求が出された教団は、オウム真理教(1995年請求)と明覚寺(1999年請求)の2件だけでした。
 言うまでもなく、オウム真理教は坂本弁護士一家殺害事件や公証人役場事務長の殺害事件、松本サリン事件、地下鉄サリン事件など、犯罪史上でもまれに見る数多くの凶悪犯罪を実行しました。
 明覚寺の事件とは、それ以前から霊視商法が社会問題化していた宗教法人が、新たに休眠状態の宗教法人を買収して正体を隠し、「水子の霊が憑いている」などと脅迫して多額の供養を集めていたものです。15人が詐欺罪で逮捕・起訴され、最高幹部は懲役6年の実刑判決を受けました。

青山 この2件は、いずれも刑事事件であり、教団の最高幹部らが逮捕されていました。一方、今回の旧統一教会は民法上の不法行為が理由とされたものです。 続きを読む

連載「広布の未来図」を考える――第1回 AIの発達と信仰

ライター
青山樹人

豊かな思索のヒントをめざして

――本年(2025年)は、創価学会創立95周年の年となります。創立100周年の2030年まであと5年。
 一方で、いわゆる「2025年問題」と呼ばれるように、いよいよ国民の5人に1人が75歳以上の後期高齢者となる時代を迎えます。社会保障制度の不均衡や労働人口の減少など、日本社会はさまざまな問題に直面しています。

 こういった社会構造の変化のなか、創価学会もまたこれまでとは異なる多くの課題に向き合い、新たな発想や取り組みに挑戦しようとしています。
 大事なことは、新しい課題について1人1人が思索を深め、豊かな議論を重ねていくことではないかと思います。ただ、そもそもの〝糸口〟がなかなか見えないという声も聞かれます。

 そこで、読者からの要望もあり、これからの時代に現場の第一線に立つ創価学会員の1人1人が、思索を深めていくヒントになるような記事を不定期で随時連載していけないかと考えました。
 青山樹人さんは四半世紀にわたって、『新版 宗教はだれのものか』(鳳書院)など、主に学会と池田先生のこれまでの歴史を綴ってこられました。同書は青年リーダーたちの研鑽にも活用されているようです。
 この企画でも、編集部と一緒に、できるだけ忌憚のない率直な議論を、読者に提供できればと思っています。 続きを読む