「日本維新の会」公式ホームページより
「電車の本数を減らせ」と同じ
急速に勢力拡大を図る日本維新の会。全国紙の大阪本社に在籍するベテラン記者は、「今の維新はほんまに強いで。クロースアップ・マジックの名人なんや」と語った。クロースアップ・マジックとは、観客のすぐ目の前で見せる手品のことだ。
たとえば維新の代名詞ともなっている「身を切る改革」。
維新は、「まず議員が身を切る改革を実践し覚悟を示す」として、議員定数の削減、議員報酬の削減を掲げる。馬場代表は最近、国会でも衆参を合併して一院制にして議員を半分にするとまで語っている。
ここで描かれている〝物語〟は、旧来の政治が政治家自身の既得権益を守っていて、庶民がムダな負担を強いられているというものだ。「古い政治」に対して維新が「新しい民意」で挑むという図である。
少子高齢化で現役世代の社会保障費の負担が大きな課題になり、あるいはコスパやタイパがトレンドになるなか、まずは政治家や政党自身が〝わが身を切れ〟というメッセージは有権者の心情に響きやすい。
しかし、日本の国会議員の数は欧州諸国と比べてもかなり少ない。しかも議員定数削減や報酬カットで得られる財源は、大阪市でも年間2億円程度。全国でも数十億円にとどまるだろう。浮く財源は国民1人あたり年間で何十円か。定数や報酬を減らしたからといって減税ができるような話ではない。 続きを読む