「政権選択」の総選挙
第48回衆議院選挙が、10月10日公示された。
小選挙区と比例代表を合わせた総定数は、前回から10減の465議席で戦後最少。
2012年末から政権を担ってきた自公連立政権が引き続き日本の国政を担うのか、国民が再びの政権交代を選ぶのか、文字どおり〝政権選択〟の選挙となる。
今回は、解散風が吹き、小池知事が新党を立ち上げたとたんに、新代表が就任したばかりの野党第一党・民進党が突如として事実上の〝解党〟を発表。
にわかに複数の新党が誕生したわけだが、野党各党は〝安倍一強を終わらせる〟と訴えるものの、では自公政権ではないもう一つの選択肢の政権像がどういうものなのか、国民にはさっぱりわからない。
2012年末の政権交代から4年10ヵ月間。民主党政権から自公連立政権に代わって日本はどう変化したのか、まずはデータで検証したい。
正社員の求人が2倍に
なによりも目に見えて変化したのが「経済」である。
名目GDP(国内総生産)は493兆円(2012年10-12月期)から543兆円(17年4-6月期)へと大きく上昇。
株価も8664円(12年11月14日)から2万356円(17年9月29日)と、やはり大きく上がった。
企業の業績が上向いたことで、最低賃金の全国平均時給ベースも過去最高の848円となり、自公政権になって99円上昇している。
民主党政権末期(12年12月)には0.83倍しかなかった有効求人倍率も、17年8月には1.52倍まで増えた。
とりわけ、正社員の有効求人倍率が民主党政権末期(12年12月)には0.53倍しかなかった。望んでも2人に1人しか正社員になれないほど日本経済が冷え切っていたのである。
この正社員の有効求人倍率が、本年(2017年)6月以降は1.01倍となった。これは2004年に政府が統計を開始以来最高であり、民主党政権時代の2倍に増えたことになる。
前回の参院選挙でも、年代別の支持率で10代、20代の若い世代が顕著に自公連立政権支持を示したのは、こうした経済政策の成果が歴然と目に見える形で社会に変化をもたらしているからである。
日中関係が大きく改善
自公連立政権のもう一つの大きな成果が、外交政策だろう。
とくに一衣帯水の隣国である中国との関係は、民主党政権時代、稚拙な外交がアダとなって中国各地で大規模な反日デモが頻発し、〝国交正常化以来で最悪〟という状況に陥った。
12年は国交正常化40周年の佳節を迎えながら記念の催しさえ開けず、中国大使館主催の国慶節祝賀レセプションにも、首相どころか外相すら出席できない惨状だった。
また、尖閣周辺の日本領海への中国公船の侵入などの件数が激増し、一触即発の事態が続いてきた。
民主党政権は内政でも行き詰まっただけでなく、日本の安全保障、東アジア全体の平和にとっても、非常に大きな〝負の遺産〟を残したのである。
この日中関係の改善には、連立のパートナーである公明党が際立った存在感を示した。
1972年の日中国交正常化に至る過程から、公明党は周恩来総理の厚い信頼を得て日中間の橋渡し役を担い、以来、変わることなく信義と友誼の絆を結んできた。
政権交代直後の13年1月、山口代表が訪中して習近平氏と会見。ここから日中関係は改善へと舵を切ったのである。
本年9月、日中国交正常化45周年祝賀と国慶節を祝う駐日中国大使館主催のレセプションには、山口代表だけでなく安倍首相も出席。中国外交部もこれを高く評価するコメントを発表し、中国人民日報系メディアもこのことを一面で報じた。
昨年(2016年)5月には、オバマ大統領が現職の米国大統領として初めて、被爆地である広島を訪問。資料館を見学したあと、慰霊碑に献花した。笑顔でオバマ氏を見送った広島市民の感動的な姿は、まだ私たちの記憶に新しい。
仕事をしなかった人たち
総選挙は〝政権選択〟の選挙であり、すなわち前回の総選挙から、どの政党がどれだけの仕事をしてきたのかが問われる選挙である。
むろん自公政権へのさまざまな批判もあるが、少なくとも目に見える形で、過去の政権に比しても特筆すべき成果を上げているだろう。
一方、この自公政権を終わらせようと訴えている野党はどうか。
民主党は民進党へと名を変え、代表の顔を変えても支持率はまったく伸びなかった。エモーショナルな批判のための批判を繰り返すばかりで、野党第一党でありながら国民が納得するような具体的な政策論争ができなかったからである。
あげくの果てに、9月に新代表が誕生し「党の再生」を国民に誓った舌の根も乾かない4週間後、小池都知事が新党を立ち上げたとたん、あわてふためいて党を解体。
あれほど「戦争法案廃案!」と絶叫していた人々が、一夜にして平和安全法制賛成に回り、しかし一部議員は自分が小池氏から〝排除〟されると察して、また「廃案!」に戻って立憲民主党を結成した。
日本共産党がやった仕事は明けても暮れても「安倍政権を許さない」の反対コールだけであり、言葉巧みに野党共闘に巻き込んだことで民進党を崩壊させただけ。
こうした政権批判のほかに最後まで何の仕事もできなかった人々が、誰を首班指名するのかもバラバラであったり明言できないまま、無責任にも「政権交代」を訴えているのである。
野党やメディアは選挙戦を劇場化させ、お祭りムードを作り出そうとすることに余念がないが、有権者は冷静に見ているのではないだろうか。
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