東村山市長が記者会見
6月20日、東京・東村山市の渡部尚(わたなべ・たかし)市長が記者会見を開いた。
日本共産党の宮本徹・衆議院議員に対し、同日付で市長名の「抗議文」を送付したというもの。
それによると、宮本議員は今年2月23日の衆院予算委員会で同市の生活困窮者自立支援、生活保護行政が「極めて不適切に行われている」と発言。例えば、ホームレス状態で足のけがが一部壊死(えし)状態だった50代の人が生活保護を求めたところ、市側は仕事をするよう勧めて「なかなか生活保護につなごうとしなかった」などとしている。
しかし、同市が確認しても該当例が見当たらず、類似例も内容が大きく異なっていた。3月に厚生労働省が同市を視察した際も、問題の指摘、是正指導はなかった。そこで、「発言の根拠を示すよう2、3月に2度にわたり質問状を送付したが回答がない」(渡部市長)という。(産経新聞6月22日付)
日本共産党の衆議院議員が国会で取り上げた問題は、なんと実在しない人物の架空のストーリーだったと、市が抗議しているわけだ。
国会議員には議会での発言内容は罪に問われない免責特権がある。国会という場でデマを流された東村山市は、すでに大島衆議院議長にも
国会法に基づく調査をし、しかるべき措置を講じてほしい。
と申し入れをしている。
ふつうの政党なら、まさかそんなことはあり得ないと思うようなことを、平然と、しかも常習的に繰り返しているのが、この政党の危うさなのだ。
「安倍政権が学費値上げ」のビラ
2016年2月3日午前、衆議院予算委で公明党の石田祝稔(のりとし)政調会長が1枚のビラを取り上げた。
それは日本共産党がHPからダウンロードできるようにして全国にばらまいていた黄色いビラで、大きく「史上最悪」「安倍政権が学費値上げ」「国立大53万円⇒93万円」「その影響で私立大もさらに値上げへ」「ストップさせましょう」「署名にご協力を」と煽っている。
じつは、信じがたいことに、これもまったくのデマ。安倍首相は、
まず、こんなことは決まっていないんですから。決まっていないことを運動するというのは、これは全くデマ。(議事録)
と日本共産党を痛烈に批判した。
前年10月、財務省が国立大学への支出金を毎年1%ずつ削減して大学の自己収入を増やすことで賄いたい等という案を出した。
だが、この財務省案は、自民党や公明党などが反対して、翌11月の時点では財政審議会の正式な建議からすでに消えている。
事実、2016年度予算でも支出金は減額などされていない。当然、大学の学費値上げなど、する必要もないし、決まってもいない。
それらを知っていて、日本共産党はデマビラで学生や親たちの不安を煽り立てていたのだ。
デマをつくるカラクリ
一方、あわてた日本共産党は穀田(こくた)恵二・国対委員長が国会内で会見を開いて苦しい言い逃れをした。
穀田氏は、宣伝物が示した値上げ額は、昨年12月の衆院文部科学委員会での日本共産党の畑野君枝議員の追及に政府側が認めた試算をもとにしたものであることを指摘。(しんぶん赤旗2016年2月4日)
あくまで、日本共産党の「追及」に政府側が「認めた試算」を書いたまでだと弁明したのだ。
では、百聞は一見に如かず。その文科委では何が語られていたのか、この日の衆議院議事録で確認してみよう。
畑野議員は先述の採用されなかった財務省案に触れて、
仮にこのように進めるとしたら、授業料は15年間で幾らの値上がりになると試算されますか。(衆議院議事録2015年12月1日)
と政府委員に尋ねたのである。
繰り返すが、この質問をしたのは12月1日。
ここで畑野議員は、11月の時点で財務省案が財政審の正式な建議から消えていることを知りながら、これを持ち出して「仮に……たら」話法で質問したのだ。
あくまでも「仮に」の話なので、政府側の委員も、
仮にこれを全て授業料収入で賄うとした場合におきましては、平成27年度の学生数をもとに試算を行いますと、授業料は約93万円となりまして、現在と比べて約40万円の増加が必要となるということでございます。(同)
と「仮に」で答弁した。
議事録を読めば、そのあとに続いて答弁した馳浩・文科相(当時)も、明確に交付金の一律削減には反対を示している。どこにも学費値上げの話などない。
穀田氏は余計なことを口走って、同党の卑怯なやり口を明らかにしてしまった。
コッソリと即日修正
とっくに消えている案を、あたかもあるかのように装い、これを前提に「仮に」の話をし、「仮に」を前提に語られた答弁を持ち出して、「国立大学の学費が値上げされる」と騒ぐ。
これはもう、完全なデマである。
それでデマビラをつくり、プラカード用にHPからダウンロードできるようにまでして、人々の不安を煽り、人々をデマで焚き付け、党勢拡大に利用する。
まともな政党のやることではない。
予算委でデマを暴露された日本共産党は、会見ではシラを切りながら、コッソリこの日のうちにビラを修正した。
それは「安倍政権が学費値上げ」の「が」をはずして、小さく「のもとで狙われる」と差し替え、「53万円⇒93万円」の「93万円」の下に、これも気づかないような小文字で「財務省で示された方針に基づいた試算」と書き足すという姑息な修正だった。
いかにも〝誤りを認めない政党〟らしいやり方だ。
思想信条は自由だから、べつに共産党が共産主義の国をめざすのもかまわない。
安倍政権が嫌いなら、堂々と多くの国民の支持を得られるような政策で争えばいい。
しかし、それができない。もっぱら人々の不安を煽り、不満に火をつけ、それをエネルギーにする。
不安と不満を煽るためなら「デマ」でも何でも手段を選ばず、そこに良心の痛みも感じない。
これが日本共産党という集団の実像なのである。
「共産党が信用できないわけ」シリーズ:
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②共産党が信用できないわけ②――まやかしの〝護憲〟ポーズ
③共産党が信用できないわけ③――「反対」だけで「実績」なし
④共産党が信用できないわけ④――デマを繰り返す謀略体質
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