「離党ドミノ」止まらぬ民進党――共産党との共闘路線に離党者続出

ライター
松田 明

東京都連幹事長の離党

 蓮舫代表の選挙地盤・東京で、民進党の〝離党ドミノ〟が止まらず、ついに国会議員まで離党を宣言。
 4月9日、民進党東京都連幹事長の長島昭久衆議院議員が地元支持者に離党の意向を表明し、その旨を自身のツイッターでも発表した。当選回数5回。民主党政権時代には防衛副大臣も務めた人物だ。
 翌10日午前、野田幹事長に離党届を出したあと記者会見を開いた長島氏は、離党を決断するに至った理由を語った。

 このたび私が民進党を離れる決意をした最大の理由は、保守政治家として譲れない一線を示す、この1点であります。共産党との選挙共闘という党方針は、私にとり受け入れがたいものであります。(長島氏の記者会見)

 2015年秋、当時の民主党などが「戦争法案」と煽り立てた平和安全法制が国会で成立すると、国会前でデモを続けていたSEALDsも解散を表明した。
 手詰まりになった民主党、社民党など野党は、「国民連合政府」なる構想をぶち上げた共産党に主導される形で「野党連合」へと動く。

「共産党主導で進められ」

 だが、その内実はいかなるものだったのか。

 一昨年の安保法制廃案の熱狂の中で突然、打ち出された共闘路線は、まともな党内論議もないまま共産党主導で進められ、最近では民進党の基本政策にまで共産党が影響を及ぼすかのような場面が目立つようになりました。消費税しかりTPPしかり、エネルギー政策しかり、憲法改正問題しかり、そして今、審議入りもできない状態で紛糾しているテロ等準備罪法案しかりであります。(長島氏)

 民進党が今や「政権交代を目指す政党」の責任をかなぐり捨て、ともかく〝対決〟ありきの「第2共産党」と化していることを筆者も繰り返し指摘してきた。長島氏も会見で、その実態を告白し痛烈に批判したのである。

「行き詰るとアジる、あおる、叫ぶ」

 党内ガバナンスという魔法の言葉によって、一致結束して安倍政治を許さないと叫ぶことを求められ、過去に自分たちが推進したり容認してきた消費税も、TPPも、ACSAも、秘密保護法制も、安保法制も、憲法改正論議も、共謀罪も全て反対。徹底抗戦、廃案路線で突き進む。行き詰まると院外のデモ隊の中に飛び込んでアジる、あおる、叫ぶ。そこには熟議も建設的な提案もない。与野党の妥協も政策調整の余地もない。(長島氏)

 7月の東京都議会議員選挙を前に、民進党の東京都連では4月10日時点で公認内定候補者7人と現職1人の計8人が離党届を提出。しかも、旧民主党系の「都議会民進党」も旧維新系の「民進党都議団」も、そろって「民進党」という看板を捨て「東京改革議員団」なる会派名に変更している。
 政権交代への夢どころか、共産党と一蓮托生になった今の民進党では、これまで投票してくれた有権者からも拒絶されてしまうことを、蓮舫代表のお膝元の議員たちが誰よりも肌身で実感しているのだ。

「野党共闘」に突き進む執行部

 ところが支持率低迷に焦る民進党執行部は、もはやそうした冷静な状況判断すらできなくなっているのか、退くに退けなくなっているのか、長島氏が「共産党主導」と痛罵した野党共闘にますます熱をあげている。
 4月5日には国会内で、民進、共産、社民、自由と「市民連合」との意見交換会を開き、終了後の記者会見では、

 市民連合の皆さんが抱いている現状の認識と基本的な理念、政策的な方向性については4党でしっかり共有できたと思っている。このことを基本に置いて、政治決戦に向けた準備をより加速していきたい。(野田幹事長)

と、実質的に共産党との連携を加速させる方向性を改めて強調した。
 目指すべき政権像さえ示せない「共産党との共闘」は、支持基盤の連合からも拒絶反応を食らい、ついに党内からも離反者が続出し始めた。首都・東京での離党ドミノは、民進党の〝終わりの始まり〟を告げるものだろう。

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