「オール沖縄」の退潮――2つの市長選で敗北

ライター
松田 明

2つの市長選で与党側が勝利

 本年2022年は、沖縄県の本土復帰(1972年5月)から50周年の佳節となる。
 その沖縄県で、さる1月23日に名護市と南城市で任期満了に伴う市長選挙がおこなわれた。名護市は普天間飛行場の移設先となる辺野古を抱える。
 名護市長選では現職の渡具知武豊氏(とぐち・たけとよ氏=自民・公明が推薦)に、新人で前市議の岸本洋平氏(共産、立民、社民、社大、にぬふぁぶし、れいわ推薦)が挑み、南城市では現職の瑞慶覧長敏氏(共産、立民、社民、社大、にぬふぁぶし、れいわ推薦)に、前職の古謝景春氏(こざ・けいしゅん氏=自民、公明推薦)が挑むかたちとなった。
 結果は、いずれも自民・公明が推薦する渡具知氏と古謝氏が、共産党など「オール沖縄」勢力を破って当選した。
 注目を集めた名護市長選では、投票率が68・32%。渡具知氏が19524票で岸本氏が14439票と、5000票の大差がついた。 続きを読む

連載エッセー「本の楽園」 第126回 つげ義春の文章

作家
村上政彦

 僕の作家生活が始まったのは、郷里の実家の近くにある鈴木書房だった。まずはそこに通い詰めて漫画少年になった。僕が物心ついたころは、創刊したばかりの週刊漫画雑誌が熱かった。いつも読んでいるものに、『少年マガジン』、『少年サンデー』、『少年ジャンプ』、『少年チャンピオン』、『少年キング』があった。
 いま残っているのは、『少年マガジン』、『少年サンデー』、『少年ジャンプ』、『少年チャンピオン』。『少年キング』はちょっと刺激が少なかったが、そのうち休刊になった。月間漫画雑誌で読んでいたのは、『ぼくら』と『冒険王』。これも休刊になった。
 僕がこのような漫画雑誌を読んでいたころ、平棚で異質な漫画雑誌を見つけた。僕がいつも読んでいるマガジンやサンデーとは、表紙からして違う。全体に暗い。雑誌の名は、『ガロ』とあった。好奇心の旺盛な僕は、手に取って読んでみた。 続きを読む

立民、共産との政権構想を否定――世論は選挙協力にも反対

ライター
松田 明

コロナ対策予算に反対し続ける

 昨年(2021年)10月の衆院選で、〝政権協力〟で合意した立憲民主党ともども大敗した日本共産党。
 1月4日、その日本共産党の「党旗びらき」がインターネット中継で開催された。
 あいさつに立った志位和夫委員長は冒頭、新型コロナウイルスのオミクロン株が世界各国で蔓延していることに言及。政府に「3回目のワクチン接種を迅速におこなうこと」「無症状者を対象にPCR検査を無料で受けられる体制」「医療機関への十分な支援」などを求めると訴えた。

 新型コロナから国民の命と暮らしを守り抜くたたかいに、引き続き全力をあげる決意を、年頭にあたって固めあいたいと思います。(『しんぶん赤旗』1月5日

 ちょっと待ってほしい。日本共産党は〝新型コロナから国民の命と暮らしを守り抜くたたかい〟として実際に何をやってきたのだろうか? 続きを読む

書評『JAPと呼ばれて』――第一級のオーラル・ヒストリー

ライター
本房 歩

日系人部隊442連隊

 ハワイ真珠湾奇襲攻撃によって日米が開戦してから80年となる2021年12月8日。米国にとって長いあいだ〝忌まわしい記憶〟であったその日、その真珠湾で、米海軍の新しい駆逐艦の就役式がおこなわれた。
 駆逐艦の名前は「ダニエル・イノウエ」。ハワイに生まれた日系2世で、長く上院議員を務めて2012年に逝去した故ダニエル・イノウエの名を冠したものだ。日系人の名前が米軍の艦船につけられたのは初めてのこと。
 日系アメリカ人の歴史は、1868年(明治元年)の最初の移民団にさかのぼる。主にハワイや西海岸の労働者として入植した人々は、過酷な環境のなかで米国社会に根を張った。やがて2世たちも生まれ育ち、それぞれに苦労が実りはじめていた。
 1941年12月8日(米国時間では7日)早朝の真珠湾奇襲攻撃は、そんな日系人たちの運命を一瞬で変える。 続きを読む

連載エッセー「本の楽園」 第125回 すべてをDiY

作家
村上政彦

 DiY=Do it Yourselfというと、すぐに思い浮かぶのは大工仕事ではないか。日曜のパパが普段は持ちなれない工具を手にして、危なっかしい手付きで棚を懸けたり、椅子を作ったり。しかし、ここでいうDiYは少し違う。

七〇年代のパンクロックにはじまり、八〇年代のレイヴ文化で育まれ、九〇年代のインターネット文化や環境運動、新しい文化=政治運動とともに世界中に広がっている思想です

 世界は悪くなっている。人間の管理が強化されている。僕らは生きているというよりも、生かされている。そこで、

なんとかして、じぶんの生活を自分の手に取り返したい!

 ざっくりいうと、DiYはそういうことらしい。 続きを読む