物価高から暮らしを守る——公明党の参院選マニフェスト

ライター
松田 明

有権者が期待するもの

 第26回参議院議員選挙(7月10日投票)が、本日6月22日に公示された。
 有権者がこの参院選で重視している政策は何か。各社の調査では、おしなべて「物価高対策」がもっとも高く、たとえばFNNが6月18~19日に実施した電話調査では38・9%を占めた。

次いで「景気・雇用」(33.4%)、「年金・医療・介護」(32.3%)、「子育て支援・少子化対策」(29.6%)と続いた。(「FNNプライムオンライン」6月20日

 環境・エネルギー、外交・安全保障、新型コロナ対策はいずれも12%台で、有権者が生活の安心を強く望んでいることがわかる。
 3年目に入ったコロナ禍のなかで、ウクライナ情勢が追い打ちをかけるように世界経済に影響を及ぼし、燃料価格や食料価格の高騰を招いている。
 国民の関心事は、どの政党が具体的な政策を実現する能力を持ち、暮らしの不安を取り除いて、安心と希望をつくり出せるのかにあるといえるだろう。 続きを読む

認知症で記憶を失った母が最後にたどり着いた〝解放区〟

ジャズシンガー   映画監督
綾戸智恵 × ヤン ヨンヒ

映画『ディア・ピョンヤン』『かぞくのくに』で世界中の映画祭を沸かせたヤン監督。このほど「家族ドキュメンタリー映画3部作」完結編『スープとイデオロギー』が完成した。

娘にも明かさなかった 家族の複雑な歴史

綾戸智恵 『スープとイデオロギー』3回観たで。この映画は、1回観ただけじゃわからへん。2度、3度と観たら、ヨンヒのお母さんが歩んできた歴史がよ~くわかった。家族の歴史に秘密があるところが、私の家と同じだったんやな。 続きを読む

連載エッセー「本の楽園」 第133回 優しい語り手

作家
村上政彦

 オルガ・トカルチュクは、2018年度のノーベル文学賞を受けたポーランドの女性作家だ。僕はそれまで彼女の存在を知らなかった。僕の目配りが悪いこともあるのだろうが、それより世界は広くて、まだまだすぐれた未知の作家が多いというほうが正しいだろう。
 もう、ずいぶん前に安部公房がテレビの番組で、エリアス・カネッティがノーベル文学賞を受けるまで知らなかった、自分の不明を恥じる、と述べていたことがあって、彼ほどの作家でも、そうなんだ、とおもった。
 だから、僕がオルガ・トカルチュクを知らなかったことは、当然、と開き直っておこう。しかし、そのまま読まないのは、作家としては怠慢なので、さっそく、邦訳のある本を取り寄せた。 続きを読む

連載エッセー「本の楽園」 第132回 人間と自然

作家
村上政彦

 東京というメガロポリスに住んでいると、自然と接する機会が少ないようにおもわれる。人間以外の生物といえば、烏と鼠。あとはゴキブリだ。ペットもいる。犬と猫は、人間の生活に同化しているので、なかば人間のようにおもわれがちだが、やはり、内部には野生=自然をかかえている。自然との共生がいわれるが、本来、人間も自然の一部である。いくら医療技術や科学が進んでも、僕らの身体が自然から切断されることはないだろう。
 おもしろい短篇集を読んだ。『赤い魚の夫婦』。作家はメキシコ人の女性で、グアダルーペ・ネッテルという。「赤い魚の夫婦」「ゴミ箱の中の戦争」「牝猫」「菌類」「北京の蛇」と5篇の短篇小説が収められている。
 どの作品にも、人間ではない生物が登場する。金魚、ゴキブリ、猫、菌類、蛇――それぞれが登場人物と関り、独自な世界を築き上げていく。なかでも、「菌類」は秀逸だ。 続きを読む

書評『今こそ問う公明党の覚悟』――日本政治の安定こそ至上命題

ライター
本房 歩

首相に物申せる重み

 本年7月の参議院選挙は、今一つ争点が見えにくい選挙だと言われている。
 ワクチン接種の普及などでコロナ対策もなんとか奏功し、6月10日からは外国人観光客の受け入れも条件付きで再開することになった。また世界的に見ても手厚い各種給付支援策が実施されてきたことで、経済にも回復の兆しが見えはじめている。
 来年の主要先進国首脳会議(G7サミット)の広島での開催決定など外交面での成果もある。岸田政権発足時にはギクシャクして見えた自公連立の関係も、すでに緊密で安定したものになった。国際情勢がきわめて緊迫するなかで、各種世論調査でも内閣支持率が高止まりを見せているようだ。対する野党には、いまだ政権担当能力はお世辞にも見出せない。 続きを読む