夜の世界の闇に沈んでいく子どもたち
夜の街を見回っては、徘徊し薬物や売春に走ろうとしている少年少女たちに声をかける。著者が、それまで横浜でも名門校といわれていた高校の教諭から、全国最大規模の定時制高校の教諭へと移ったのは30年前のことだ。
今日の定時制高校は、いじめなどさまざまな理由で昼間の高校に行かない選択をした子どもが約半数。ほかに家計を支えるために働きながら学ぶ人や、都市部だと外国から来て日本語が不自由だけれども向学心のある子どもたちなどが占め、むしろ多様な学びを支える場になっている。
だが、著者が赴任した当時の、その横浜の定時制高校は、口の悪い市民が「横浜市立暴力団養成所」とまで呼ぶほど荒れた場所だった。
入学した子どもたちの半数近くが学校を辞めていき、夜の世界に沈んでいく。そんな学校でした。(本書『もうすぐ死に逝く私から いまを生きる君たちへ』)