永田町短信vol.1――不祥事と不仲が続く野党

ライター
松田 明

共産党「除名」処分の余波

 党首の公選制や現実的な安全保障政策への転換を主張した党員を「除名」した日本共産党。その閉鎖的体質を朝日新聞や毎日新聞にまで社説で批判されると、「朝日に指図されるいわれはない」(志位委員長の会見)、「政党の結社の自由という立場に立てば、この社説はあまりに不見識」(田村智子政策委員長の会見)と猛反発してみせた。
 志位委員長は2月26日に放送されたテレビ番組で、あらためて党首公選制の導入を否定した。

 共産党の志位和夫委員長は26日放送のBSテレ東番組で、党首公選制の導入を改めて否定した。「直接選挙で選ぶと、党首に権限が集中する。必ずしも民主的だと思っていない」と述べた。(「共同通信」2月26日

 何度選挙で負けても執行部の退陣にはならず、同じ人間が22年以上も党首の座にあり続けている日本共産党。
 その日本共産党は自衛隊を違憲だと主張しながら、ロシアによるウクライナ侵攻が始まると、日本が他国から侵略された場合は「自衛隊を活用する」(志位委員長)と述べた。 続きを読む

書評『魯迅を読もう』――気鋭の研究者による「新しい魯迅論」

ライター
小林芳雄

独自の視点から魯迅文学を読み解く

 著者はアメリカの大学院で文学理論を研究し、現在は日本の大学で教鞭をとる、80年代生まれの気鋭の研究者だ。母国中国ではフランスの哲学者ジャック・デリダの訳者としても知られている。本書は、著者独自の視点から魯迅の作品を徹底的に掘り下げ、その本質に迫ることを試みている。

 ゆえに、ここでわたしは敢えて大胆なアプローチを提案する。魯迅のテクストに向かい合うとき、さまざまな研究や手練手管をまずは置いておいて、彼の文面を実直に、丁寧に読んでいこう、と。(本書10ページ)

 本書は大学での講義をもとにして書かれており、入門書としての性質も持っている。しかし一般的な入門書のように伝記的事項を中心に論じることはない。よくある‶魯迅本〟のように切れ味鋭い彼の言葉にのみ目を向けることもしない。それでは表面的で断片的な理解に止まる可能性があると考える。これまでの研究は当然ふまえたうえで魯迅の作品を忠実に丁寧に読もうというのが、本書における著者の立場である。 続きを読む

大阪の中学生がいちばん支持した政党は?――ネットワーク政党ならではの力

ライター
松田 明

 関西工学専修学校(1922年創設)を前身とし、本年で創立101年となる常翔学園中学校・高等学校(大阪市旭区)。自ら問いを立てて答える探求学習やキャリア教育など、画期的な先進教育の実践校として注目を集める学校だ。
 さる2月18日、常翔学園中学校で「模擬選挙」が実施された。主要国政政党から本物の国会議員たちに集まってもらって各党がプレゼンをし、さらに生徒とのディスカッションや質疑応答を経て、自分がよいと思った政党に生徒が「投票」するというもの。本年で4回目になる。
 今、各地の学校現場では「主権者教育」が始まっており、こうした模擬投票を実施する学校も少なくない。
 今年は、自民党、公明党、立憲民主党、日本維新の会、日本共産党、国民民主党、れいわ新選組、NHKから国民を守る党の8党から現職の国会議員が参加。各党とも主要な議員が顔をそろえ、国民民主党は党首の玉木雄一郎代表が出席した。
 中学校での模擬投票とはいえ、決して〝お遊び〟ではない〝ガチ〟の政策バトルなのだ。8人の議員は15分ずつ、それぞれの政党のマニフェストや綱領を述べ、どのような政策を進めていきたいかを訴えた。 続きを読む

『摩訶止観』入門

創価大学教授・公益財団法人東洋哲学研究所副所長
菅野博史

第4回 序分の構成と内容(1)

 湛然(たんねん、711-782)の『摩訶止観』に対する注釈書、『止観輔行伝弘決』(しかんぶぎょうでんぐけつ、以下、『輔行』と略記する)によれば、『摩訶止観』の本文(正説分)の前に、灌頂(かんじょう、561-632)が書いた序分(縁起)が載っている。
 この序分の構成は、まず通序と別序から成っている。次に別序については、「付法(ふほう)の由漸(ゆうぜん)を明かす」、「付法相承(そうじょう)を明かす」の二段から成っている。そして、後者の「付法相承を明かす」では、湛然の命名であるが、金口(こんく)相承と今師(こんし)相承が明らかにされる。
 今師相承の段は比較的長く、智顗が慧思(えし)から継承した漸次止観・不定止観・円頓止観(えんどんしかん)の三種止観についても説かれている。これらについては、項目を改めて説明する。 続きを読む

書評『ブラボーわが人生 3』――「老い」を笑い飛ばす人生の達人たち

ライター
本房 歩

超高齢化社会の〝格差〟

 日本は世界でももっとも早く2007年に超高齢化社会(65歳以上が人口の21%以上を占める)に突入した。65歳以上の比率は、2025年には30%に、2060年には40%に達すると予測されている。
 医療の進歩もあり、これからは健康寿命が延びる。それ自体は喜ばしいことだが、何を生き甲斐として、どのように社会とコミットして長寿を全うするのか。人類がいまだかつて経験したことのなかった新しい時代だけに、ロールモデルがない。
 一方で都市部を中心に核家族化や単身世帯が増え、今後はさらに単身の高齢世帯が増えると予測されている。地域社会のなかで見守ってもらえる人間関係を持っているかいないかは、もうひとつの〝格差〟になりつつある。
 この『ブラボーわが人生 3』は、聖教新聞で大好評を博している連載の書籍化第3弾だ。登場するのはいずれも、80代、90代、なかには100歳を超える人生の大ベテランたちだ。 続きを読む