第13回 修大行(2)
[1]四種三昧②
非行非坐三昧②
前回は、非行非坐三昧についての説明の途中で終わった。非行非坐三昧は、諸の経に約す・諸の善に約す・諸の悪に約す・諸の無記(善でも悪でもない性質のもの)に約すという四段落から成る。今回は、後の三段である善・悪・無記の三性の日常心を対境として止観を行ずる段について説明する。智顗(ちぎ)は、かなりの紙数を割いて、この段を説明しているが、議論が複雑で難解な点も多い。 続きを読む
前回は、非行非坐三昧についての説明の途中で終わった。非行非坐三昧は、諸の経に約す・諸の善に約す・諸の悪に約す・諸の無記(善でも悪でもない性質のもの)に約すという四段落から成る。今回は、後の三段である善・悪・無記の三性の日常心を対境として止観を行ずる段について説明する。智顗(ちぎ)は、かなりの紙数を割いて、この段を説明しているが、議論が複雑で難解な点も多い。 続きを読む
80年代のなかばから90年代にかけて、シーナは僕のアイドルのひとりだった。シーナといっても、林檎のほうではない。誠のほうである。あちこちにあやしい探検隊として旅し、ぐゎしぐゎしビールを呑み、それを昭和軽薄体と称するかろやかな文章で書く。
『さらば国分寺書店のオババ』は、おもしろかったー。ただ、おもしろかったーという印象だけで、内容は、おそろしく本を大切にする、国分寺書店のオババのことしか憶えていない。
そのころの僕は、まだヌーボーロマンの一味で、日本初のアバンギャルド小説を書くことに励んでいたので、シーナの書く文章は、大袈裟ではなく、衝撃だった。こんなふうに書いてもいいのかと驚かされた。
それからしばらく、あまり僕はシーナの本を読んでいない。無意識のうちに影響を受けるのが怖かったのかも知れない。しかしあれから30年。シーナの新刊が出たと知ったので、もうそろそろいいだろうと、さっそく注文して読んでみた。
愕然とした。シーナが77歳の喜寿だと? コロナで死にかけただと? そうか。僕も歳をとったのだから、当然のことか。それにしても、ああ、年月の流れは残酷だ。もう、シーナとは呼べない。ここからは椎名氏とする。 続きを読む
G7首脳等による平和記念公園行事(「首相官邸サイト」5月19日)
3日間にわたったG7広島サミットが無事に閉幕した。
1975年の第1回からの歴史を通しても、さまざまな面でもっとも意義のあるサミットになったという声も聞かれる。
特筆すべきことの第一は、米国、イギリス、フランスという核保有国を含むG7首脳が、そろって平和記念資料館を見学し、被爆者とも面会したこと。米国は広島に原子爆弾を落とした当事国であり、米国も他の核保有国も核抑止論に立って核戦力の近代化を進めている。
それらの国の首脳が〝核兵器の惨状〟を伝える資料館を訪れることには、自国内で慎重論や反対論も根強かった。
今回、核兵器国と非核兵器国の首脳がともに資料館で「被爆の実相」を目にし、その足で原爆慰霊碑に献花したことの意義は大きい。
最終日21日には、インドなど招待国8カ国の首脳と国際機関の代表らも資料館に足を運び、原爆慰霊碑に献花した。また、ウクライナのゼレンスキー大統領も同じく資料館を見学し、岸田首相とともに慰霊碑に献花した。 続きを読む
このコラムの先の回で、物語の楽しみ方の本を紹介した。そこには物語の効用も説かれていた。ここで取り上げるのは、それとは正反対の本だ。『ストーリーが世界を滅ぼす』。物語がいかに危険なものかを説いている。読んでみよう。
コミュニケーションを行うとき、私たちは必ず、空気のように実体のない言葉を使って、たとえわずかでも他人を動かし、世界を自分に都合よく再構成する
これは物語のことをいっている。他人を動かすことを著者は、「なびかせる」という。そして、このように述べる。
なびかせるのはコミュニケーションの主たる機能である。
ストーリーテリングはコミュニケーションの一形態である。
よって、ストーリーテリングの主たる機能もなびかせることである。
僕らの周りには、物語があふれている。友人との冗談まじりの会話、TVドラマ、プロパガンダやCM、国家や宗教の神話などなど。なぜならそれは、
物語が他人の心に影響を与える唯一にして最強の方法だからだ。
いよいよG7広島サミットが開幕する。
既に15カ月におよぶウクライナ侵攻では、プーチン大統領が核兵器使用の可能性をほのめかし、ベラルーシへの核配備計画が進んでいる。ロシアのメドベージェフ前大統領は4月25日の会議で、核戦争の可能性が大きくなっておりロシアが最初に核兵器を使用する可能性があると発言した。
北朝鮮は核ミサイルの配備段階に入ったとされる。ロシアは新戦略兵器削減条約(新START)の履行停止を宣言しており、中国は2035年までに米ロに匹敵する核戦力を保有するという。
こうした状況下で被爆地・広島でG7サミットが開かれる意義は幾重にも深い。
サミット初日の19日には、米国、イギリス、フランスという核保有国を含む各国首脳を、岸田首相が平和記念公園で出迎え、そのあとそろって平和記念資料館を見学することになっている。
G7各国首脳や政府関係者、世界中から集まっている報道関係者らが「被爆の実相」に触れ、核兵器が人類の上にもたらす惨禍への認識が深まる好機となるだろう。 続きを読む