ほとばしるエネルギーとスピード感で狂気を描く
町田康(まちだ・こう)著/第123回芥川賞受賞作(2000年上半期)
コラージュのようなストーリー展開
ダブル受賞となった第123回芥川賞。その一つが、町田康の「きれぎれ」だった。
昔、音楽雑誌の編集をやっていた私にとっては、パンクバンド「INU」のボーカル・町田町蔵のほうが作家・町田康よりも印象が強烈だったので、芥川賞受賞のニュースを聞いた時は、「あの町田町蔵が!」と非常に驚いたことを覚えている。彼の処女作「くっすん大黒」は、それ以前、興味本位で読んでみたことがあったのだが、わけの分からない、めちゃくちゃな感じが「さすが町田町蔵だ」と感心したことを記憶している。
「きれぎれ」も、まあ一言で言えば、わけの分からないめちゃくちゃな感じだ。 続きを読む