このコラムの先の回で、物語の楽しみ方の本を紹介した。そこには物語の効用も説かれていた。ここで取り上げるのは、それとは正反対の本だ。『ストーリーが世界を滅ぼす』。物語がいかに危険なものかを説いている。読んでみよう。
コミュニケーションを行うとき、私たちは必ず、空気のように実体のない言葉を使って、たとえわずかでも他人を動かし、世界を自分に都合よく再構成する
これは物語のことをいっている。他人を動かすことを著者は、「なびかせる」という。そして、このように述べる。
なびかせるのはコミュニケーションの主たる機能である。
ストーリーテリングはコミュニケーションの一形態である。
よって、ストーリーテリングの主たる機能もなびかせることである。
僕らの周りには、物語があふれている。友人との冗談まじりの会話、TVドラマ、プロパガンダやCM、国家や宗教の神話などなど。なぜならそれは、
物語が他人の心に影響を与える唯一にして最強の方法だからだ。