立憲・泉代表のブーメラン――パフォーマンス政党のお粗末

ライター
松田 明

公明党の出した「再給付案」

 政界で「ブーメラン」と言えば立憲民主党。その立憲民主党・泉健太代表の〝ポンコツ発言〟に、党内からも批判と溜め息が出ている。
 ことの発端は、3月8日に公明党が記者会見で示した物価高への追加対策だった。
 順を追って説明する。
 ロシアによるウクライナ侵攻の影響で、世界的に燃料費や食料品価格が高騰。昨年10月に政府が閣議決定した総合経済対策には、公明党の主張が数多く反映された。12月に成立した今年度第2次補正予算には、電気・都市ガス代の負担軽減策など、公明党が政府に強く訴えてきた数多くの支援策が盛り込まれている。
 たとえば電気・都市ガス代は1月使用分(2月請求分)から値引きされ、燃料補助金によってガソリンの店頭価格も本来より30円安い170円程度に抑制されている。
 2023年度政府予算案でも、政府は新型コロナ・物価高対策予備費に4兆円を確保。出産育児一時金の50万円への引き上げなど、公明党の主張が随所に反映された。人々の生活のどの部分に特にしわ寄せがきているか、全国に張り巡らされた公明党の地方議員のネットワークは、どの政党よりも敏感に「声」をキャッチできる。 続きを読む

『摩訶止観』入門

創価大学教授・公益財団法人東洋哲学研究所副所長
菅野博史

第6回 序分の構成と内容(3)

[5]三種の止観――漸次止観・不定止観・円頓止観

 師資相承に続いて、智顗(ちぎ)が南岳慧思(なんがくえし)より相承した三種止観について述べている。三種止観とは、漸次止観、不定止観、円頓(えんどん)止観のことである。いずれも実相を対象として観察する大乗の止観である。
 漸次止観とは、浅いものから深いものへ、低いものから高いものへというように、しだいに修行して、最後に実相を体得する止観をいい、『釈禅波羅蜜次第法門』(『次第禅門』と略称する)に詳しい。
 不定止観とは、これに漸次止観、円頓止観と異なる特別な行法があるわけではなく、円頓止観と漸次止観の二つの止観を前後不同に用いたり、浅い行法を深く、深い行法を浅く用いたりするような自在な活用を重視する止観である。これは、『六妙法門』に説かれる。
 円頓止観についての説明箇所は、「円頓章」と呼ばれて、『摩訶止観』の真髄を説いた部分として尊重されてきた。円頓止観とは、浅きより深きに次第する漸次止観とは逆に、修行の最初から最も深く高い実相を対境として修する止観であり、この円頓止観を説いたものが、『摩訶止観』10巻にほかならない。
 序分では、この円頓止観について、円の法、円の信、円の行、円の位、円の功徳によって自ら荘厳すること、円の力用によって衆生を建立(救済)することの六つの視点から詳しく考究している。つまり、円の法を聞き、それを信じ、修行し、それによって位を昇り、自行・化他に励む在り方を説明している。
 次に要点を説明する。 続きを読む

書評『人間主義経済×SDGs』――創価大学経済学部のおもしろさ

ライター
本房 歩

Z世代の価値観

 まず、この本はなによりも高校生(もちろん中学生でもいい)に読んでもらいたい本だ。というのも、2020年代の最新の学問の到達地点という意味で〝経済学とは何か〟が16もの切り口から語られているからだ。
 将来の進路を考えるにあたって、たとえば大学に進むとした場合、何学部が自分にとって一番ふさわしいのか。「偏差値」「就職率」といった旧世代の〝ものさし〟で進路を選ぶことに、きっと多くの中高生はどこか違和感を覚えているはずだ。
 アメリカのZ世代の価値観を語った竹田ダニエルの話題の書『世界と私のA to Z』(講談社)では、

 過剰な格差社会が、資本主義によって引き起こされた現実を知ったZ世代は、従来の「働く意味」や「仕事への価値観」に大きな違和感を感じている。
(中略)
 地球全体の環境を大切にすることはZ世代的価値観であると本書で何度か書いているが、そもそも気候変動や迫り来る資源の枯渇は、Z世代にとっては生まれた時から常にそばにある、切実な問題なのだ。

と綴られている。 続きを読む

沖縄伝統空手のいま 特別番外編② 沖縄県空手道連盟 4年ぶりの演武大会を開催

ジャーナリスト
柳原滋雄

団体組手で優勝した劉衛流龍鳳会

 2019年初頭にコロナ禍に突入して丸4年。沖縄県空手道連盟(以下、沖空連)が毎年行っていた演武会がことし4年ぶりに開催された(3回は中止)。2017年に県の肝煎りでつくられた沖縄空手会館(豊見城市)を会場に、およそ1000人の空手家が出場した。
 沖縄の空手団体は大きく4つあり、3つは沖縄伝統空手(沖縄古来の型を重視する団体)の組織だが、沖空連は全日本空手道連盟(全空連)の沖縄県支部組織として日本本土やオリンピックと共通する競技ルールでの試合に参加する団体だ。地元空手家の長嶺将真を中心に1981年に設立され、42年の歴史をもつ。
 沖縄県ではコロナ禍の最中ではあったが昨年8月に「第2回沖縄空手世界大会」と「第1回沖縄空手少年少女世界大会」を開催。同年11月には県が制定した「10月25日 空手の日」にちなむ記念演武祭も開催された。こうした経緯の上で、先日3月5日、沖空連主催で第38回「沖縄県空手道古武道演武会」が開催された。 続きを読む

日本共産党を悩ます〝醜聞〟――相次ぐ性犯罪と執行部批判

ライター
松田 明

性犯罪で〝再逮捕〟の衝撃

 日本共産党が「醜聞」で揺れている。
 さる1月12日、日本共産党千葉県委員会・書記長だった大西航容疑者が、駅の女子トイレに侵入し、個室を使用していた女子高生をスマートフォンで盗撮をした容疑で逮捕された。容疑を認めているという。
 大西容疑者は千葉県共産党のナンバー2の立場にいた人物。2017年の衆議院選挙で千葉12区の公認候補になっている。

大西容疑者は昨年11月21日にJR千葉駅で女性の後ろ姿を盗撮したところを目撃者に110番通報された。そこでスマートフォンから今回の事件の動画が見つかり、被害者の特定などを経て逮捕に至ったという。同署は余罪もあるとみて捜査を進める。(『産経新聞』1月12日

 あきれたことに大西容疑者は在職中、女性の尊重や性犯罪撲滅を繰り返し訴えていた。SNSでも「女性蔑視は、安倍政権の政策にもよくあらわれている」(2014年6月20日のツイート/現在はアカウントを削除)などと投稿。 続きを読む