『摩訶止観』入門

創価大学大学院教授・公益財団法人東洋哲学研究所副所長
菅野博史

第8回 発大心(2)

[3]四諦

 四諦(四聖諦)は、中道、八正道(正見・正思・正語・正業・正命・正精進・正念・正定)、三法印(諸行無常、諸法無我、涅槃寂静)等とともに、初期仏教の重要な教説である。釈尊が鹿野苑(ろくやおん)の初転法輪において、修行時代の五人の仲間に対して説いたものである。四聖諦とは四つの聖なる真理という意味で、苦諦(くたい)、集諦(じったい)、滅蹄(めったい)、道蹄(どうたい)の四つである。
 苦諦とは、一切が苦であるという真理である。
 集諦とは、詳しくは苦集諦といい、苦の原因についての真理、すなわち、苦の原因は渇愛(喉の渇いている人が水をしきりと求める様をいい、根本的な欲望である)であるという真理である。
 滅諦とは、詳しくは苦滅諦といい、苦の原因である渇愛を滅すれば、苦の滅(=涅槃)が得られるという真理である。
 道諦とは、詳しくは苦滅道諦といい、苦の滅に至る道(実践方法)についての真理であり、八正道が涅槃への直道であるという真理である。 続きを読む

公明党を選ぶべき3つの理由――地方議員「1議席」の重み

ライター
松田 明

公明党山口代表・全国遊説第一声(2月5日)

投票所に足を運ぶ意味

 さて4月。いよいよ統一地方選挙である。
 国政選挙と違って地方議会選挙は微妙に盛り上がりに欠ける。与野党の勝敗が一目瞭然とならないうえに、市区町村議会と都道府県議会の選挙が混戦し、さらに市長や知事の首長選挙だけで今回は234ある。政治にあまり関心のない人からすれば、誰に投票すれば自分や自分の地域にとってプラスになるのか分かりづらい。
 とはいえ、実際にわれわれが〝主権者〟として権力を行使できるのは選挙という行動だけなのだ。「棄権」「白票」も今の政治に対する一つの意思表明のカタチだという意見はあるが、それは白紙委任に等しく、ツケを支払わされるのは自分たち有権者になる。
 地方議会議員の報酬も国会議員の歳費も、出どころは私やあなたの納めた税金だ。なにより選挙には「定数」というものがある。仮に積極的に当選させたい候補者が見当たらない場合でも、あなたは〝よりマシな〟候補者を当選させるべきだ。それはせめて〝ろくでもない〟候補者に特権と血税を与えないための大事な行動なのだ。 続きを読む

暴走止まらぬ共産党執行部――2人目の古参党員も「除名」

ライター
松田 明

 こんな政党が政権にいなくて本当によかった。
 同じ人間が22年以上ものあいだ、どれほど選挙に負けようと党勢が衰退しようと責任を取ることもなく代表の座に居座り続ける。さすがに党内から批判の声が出たら、批判した人間は次々に「除名」である。まるで旧ソ連か北朝鮮の粛清だ。
 今年に入って、日本共産党の古参党員が相次いで党改革を訴える著書を出版した。
 1人は松竹信幸氏。一橋大学に入学した翌年の1974年に日本共産党に入党。全学連の委員長をつとめ、卒業後は日本共産党の専従職員となった。国会議員秘書、党本部の政策委員会で安保外交部長などを歴任。2001年の第19回参議院選挙では同党の比例区候補(落選)にもなっている。現在は京都南地区に所属し「かもがわ出版」で編集主幹をつとめていた。 続きを読む

物価高騰へ政府の本気――発揮された公明党の底力

ライター
松田 明

物価高対策などに言及する公明党・山口代表(3月9日)

2兆円を超す物価高騰対策

 岸田首相がウクライナを訪問していた3月22日。早朝の7時40分から首相官邸4階にある大会議室で、政府の「物価・賃金・生活総合対策本部」の第8回会合が開かれた。議題は「物価高克服に向けた追加対策等」。
 この会合で、

①電気料金月額2800円軽減の継続(標準世帯)
②4月からの電気料金を月額820円軽減(標準世帯)
③都市ガス料金900円軽減の継続(標準世帯)
④低所得世帯に一律3万円支給
⑤低所得の子育て世帯に子ども1人当たり5万円支給

などが決定。さらに地方創生臨時交付金を大幅に積み増し、LPガスの料金軽減、学校給食費の軽減が進むようにした。また、輸入小麦の政府売り渡し価格も値上げ幅を抑制。飼料価格も抑制し、食料品価格の高騰を抑制できるようにした。 続きを読む

書評『陰謀論入門』――陰謀論に対峙すべき方途を示す

ライター
小林芳雄

陰謀論とはそもそも何か

「アポロ11号の月面着陸は偽物である」「ウォール街を支配しているのは爬虫類人間である」など、陰謀論は部外者からすればバカバカしい内容だ。しかしヒトラーが唱えた「ユダヤ人はドイツ経済を支配しようとしている」という陰謀論は、荒唐無稽であるにも関わらず600万人の犠牲者を生み出すという惨禍を招いた。なぜ人は陰謀論を信じるのか。そもそも陰謀論とはなんだろうか。
 本書は、アメリカにおける陰謀論研究の第一人者である著者が、最新の研究成果や豊富な事例を踏まえてその全体像を明らかにする画期的な入門書である。 続きを読む