僕の妻は、子供たちみなに絵本の読み聞かせをして育てた。いま事情があって7歳の男の子を育てているけれど、彼女はその子にも読み聞かせをする。幼いころからやってきたので習慣になって、寝るときに子供が本を選んで妻のもとへ持って来る。
たまたま僕が疲れて横になっているときは、僕も妻の読み聞かせの声を聴きながら眠りにつく。これが、ものすごく心地がいい。僕の母は、酒場でママさんと呼ばれる仕事をしていたので、読み聞かせをしてもらった記憶はない。
父が早くに亡くなったので、母が外で働いて、祖母が家事や子育てを担って、僕の家庭は営まれていた。だから、祖母が読み聞かせをしてくれたかというと、彼女は尋常小学校中退で、ほとんど文字の読み書きができなかった。読み聞かせをするどころではない。せいぜい、子守唄を歌ってくれるぐらいだった。
読み聞かせの効果があってか、3人の子供たちは本を読むことが苦にならないようで、長男は建設現場で稼ぎながらバンドをやっているのだが、哲学書などを読む。長女は保育士をしていた母の背を見て育ったからだろう、就活を1カ月で諦めて保育の専門学校へ入って保育士になった。職場では子供たちに率先して絵本や童話などの読み聞かせをしていた。 続きを読む
