万博でアタマを抱える維新――国への責任転嫁に批判強まる

ライター
松田 明

横領した金をギャンブルで使い果たす

 統一地方選挙で大躍進したものの、連日のように不祥事が噴出してきた日本維新の会と、その母体である大阪維新の会。あいかわらず大阪を中心とした近畿圏では存在感を放っているが、支持率に陰りも見え始めている。

 10月22日――
 任期満了に伴う奈良県橿原市の市長選挙がおこなわれた。奈良県は日本維新の会奈良県総支部代表・山下真氏が知事を務める。
 結果は、自民党が推薦する無所属で現職の亀田忠彦氏が、日本維新の会公認の元市長・森下豊氏を大差で破って2度目の当選を果たした。森下氏は橿原市長を3期務めたが、前回の市長選でも亀田氏に敗れている。
 奈良県では、日本維新の会の前川清成衆院議員(比例近畿)が9月26日に議員辞職を表明したばかり。公職選挙法違反で一審・二審とも有罪判決を受け、最高裁に上告しながら次期衆院選で奈良1区からの出馬を検討しものの、地元の理解が得られなかった。

 10月25日――
 奈良県警は日本維新の会の元斑鳩町議だった大森恒太朗容疑者を、業務上横領の疑いで再逮捕した。 続きを読む

「立憲共産党」の悪夢ふたたび――立憲民主党の前途多難

ライター
松田 明

「解散は消えたわけではない」

 臨時国会の召集早々、立憲民主党にとって頭が痛いというか、迷惑千万な〝事件〟が起きた。ことの発端は衆参補選である。
 10月22日投開票の衆参2つの補選では、いずれも日本維新の会が候補者の擁立を見送った。その結果、参議院徳島・高知選挙区では、立憲民主党が支援する無所属候補が自民党候補に大差で勝利。
 一方、衆議院長崎4区では前回よりも得票差が開くかたちで、自民党の新人で公明党が推薦した候補が立憲民主党の前衆議院議員を破った。
 2つの選挙区とも選挙戦中盤までは立憲民主党候補が優勢と報じられており、自公連携の軋みが影響しているのかとも見られていた。しかし、最終的に長崎4区は自民候補が自民党支持層の7割強、公明党支持層の8割強を固めて逆転勝利した。自民党所属の北村誠吾・元地方創生担当相の死去に伴う選挙だったという点もある。
 一方、徳島・高知選挙区は、そもそも高知県を地盤とした自民党の前参議院議員が不祥事で辞職したことを受けての選挙。日本維新の会が候補者擁立を見送ったことで、こちらも期せずして「野党統一候補」となり、自民党への批判票が集まった。 続きを読む

『摩訶止観』入門

創価大学大学院教授・公益財団法人東洋哲学研究所副所長
菅野博史

第28回 偏円⑤

(5)権・実を明かす②

(b)四種の止観に約して、以て開権を明かす

 今回は、(b)「四種の止観に約して、以て開権を明かす」以降について説明する。四種の止観とは、蔵教・通教・別教・円教の四教の止観を指す。この四種の止観について、蔵教・通教・別教の三教の止観が権で、円教の止観が実であること(これは開会<かいえ>されない、相対的な立場における規定である)はすでに述べたことを踏まえて、ここでは、別の見方を示している。
 まず、四種の止観は開会すれば、すべて実であると規定する。開会は、一応は方便を除いて真実に入らせることであるが、さらにいえば、方便を真実のなかに収め取って、方便を真実として復活蘇生させる意義がある。次に、四種の止観は、それらによって示される四種の理がすべて不可説であるのに、強いて言葉で説くので、すべて権であると規定される。最後に、前二者においてすべてが実、すべてが権とそれぞれ規定したが、これらの実、権はすべて不可説であるので、すべて権でもなく実でもない(非権非実)と規定され、これらの説明を踏まえて、結論として、

 非権非実(ひごんひじつ)にして、理性(りしょう)は常に寂なるを、之れを名づけて止と為し、寂にして常に照らし、亦権亦実(やくごんやくじつ)なるを、之れを名づけて観と為す。観の故に、智と称し、般若と称す。止の故に、眼と称し、首楞厳(しゅりょうごん)と称す。是の如き等の名は、二ならず別ならず、合ならず散ならず。即ち不可思議の止観なり。此れは但だ実は是れ非権非実なりと開くのみならず、権も亦た是れ非権非実なりと開く。猶お開権顕実の意に属するのみ。(第三文明選書『摩訶止観』(Ⅱ)360~361頁予定)(※1)

と述べている。 続きを読む

首相「所得税減税」を指示――公明党の提言受け入れる

ライター
松田 明

 岸田首相は10月20日、税収の増加分の一部を国民に還元するため期限付きの所得税減税を検討するよう指示した。
 これに先立つ10月17日午後、公明党の高木陽介・政調会長らは首相官邸に岸田首相を訪ね、政府の総合経済対策に盛り込む内容を提言していた。
 同日、自民党からも提言が出されており、これらを受けて首相は政府案を検討。与党に示したうえで11月2日に閣議決定する予定だ。
 今、世界全体で半世紀ぶりといわれるような物価高騰が続いている。アジアでは2020年初頭から物価が上昇傾向を強め、2021年初頭から欧米などでその傾向が顕著になっていることを考えると、要因はウクライナ侵攻ではなく、むしろパンデミックの影響が指摘されている。
 日本に関しては、燃料はじめ多くを輸入に頼っていることから円安の影響が大きく、加えて労働力不足が深刻だ。パンデミック後に各国で経済活動が一気に再開すると、鋼鉄など建築資材が高騰している。 続きを読む

書評『J・S・ミル』――自由と多様性を擁護した哲学者の思想と生涯

ライター
小林芳雄

「精神の危機」を乗り越えて

 本書は、経済学者・哲学者として知られるジョン・スチュアート・ミル(1806~1873年)の評伝である。前半は『自伝』にもとづき思想の形成過程をたどり、後半は代表的な著作を読み解く。道徳と政治を中心にミルの思想を解説した入門書である。
 ミルは9人兄妹の長子として誕生した。父ジェイムスは「最大多数の最大幸福」という言葉で有名な哲学者・ジェレミー・ベンサムの思想的盟友であった。彼は初めての子どもに大きな期待を寄せ、ミルを同世代の子どもから引き離し学校にも通わせず、ベンサム主義による独自の英才教育を施した。ミルもその期待によく応え、若き知識人へと成長する。さらに18才で東インド会社に就職し経済的基盤をも確立する。

この過程を把握しておくことは、ミルの成熟期の代表的著作群を理解する上で欠かせない。苦闘の結果ばかりでなく、苦闘という経験それ自体の持つ意義が成熟期の思想の内容に反映しているから、なおさらのことである。(本書49~50ページ)

 だが20才に差掛かった頃に「精神の危機」がおとずれる。ベンサム主義は利己的人間観に基礎をおいている。その哲学による教育を受けたミルだったが、あるとき「これまで取り組んできた社会活動の目標が達成されたとしても、自分は幸福ではない」また「自分は父の教育が作り出した推論する機械で、その性格は変えることはできない」という疑念が襲い、人生の目的を見失い極度の無気力状態におちいる。こうした状態は約6年続いたという。 続きを読む