書評『希望の源泉・池田思想⑥』――創価学会の支援活動を考える

ライター
本房 歩

キリスト教徒が読み解く池田思想

 月刊誌『第三文明』で2016年8月号から続いている佐藤優氏の連載「希望の源泉――池田思想を読み解く」。佐藤氏は元・外務省主任分析官の肩書を持つ作家であり、同志社大学大学院神学研究科を修了したプロテスタントのキリスト教徒でもある。
 国際情勢に関する著作はもとより、哲学、キリスト教、インテリジェンス、政治など、幅広いジャンルで旺盛な執筆活動を続けている。そんな佐藤氏が、この10年ほど熱意を持って取り組んでいるのが、創価学会とその指導者である池田大作創価学会インタナショナル会長(以下、SGI会長)の研究だ。
 創価学会とSGI会長を論じるにあたって、佐藤氏は全150巻におよぶ『池田大作全集』を揃えて読み込んできた。また全12巻の『人間革命』、全30巻の『新・人間革命』も読み込んで、これらについては独自の視点から著作も出している。
 これまで創価学会を批判的であれ好意的であれ論じた言論人や学者はいるが、ここまでの読み込みをした上で発言した者は一人もいないのではないか。 続きを読む

『摩訶止観』入門

創価大学大学院教授・公益財団法人東洋哲学研究所副所長
菅野博史

第29回 偏円⑥

(5)権・実を明かす③

(c)接通に約して、以て教理を明かす②

 蔵教・通教・別教・円教の四教の存在以外に、被接(ひしょう)を問題とする理由については、利根の修行者が飛躍的に修行を前進させる可能性を理論的に組み込むために、三種の被接を考案したと思われる。一般化していうと、宗教の修行における超越の可能性に席を用意したというわけである。この三被接は、『法華玄義』の境妙(迹門の十妙の第一)のなかの七重の二諦説(真諦と俗諦について、七種類の定義を施している)においてよく示されている。というのは、七重とは、四教と三被接を合わせたものであるからである。
 ここでは、最初に、一実(円教)のために三権(蔵教・通教・別教)を施す場合、ただ蔵教・通教・別教・円教の四種の止観があるだけであるが、別によって通を接する(別接通〈べっせつつう〉)止観に関しては、(1)権であるのか、実であるのか、(2)どのような意味で四という数に関与しないのか、(3)どのような意味でただ通教だけを接するというのか、(4)どのような位において接せられるのか、(5)どのような位に接せられて入るのか、という五つの質問が設けられている。初めに教に焦点をあわせて五問に答え、次に諦(真理)に焦点をあわせて四問(第二問を除く)に答えている。 続きを読む

書評『宗教を哲学する』――政治と宗教を考えるための画期的論考

ライター
小林芳雄

日本における宗教理解の浅薄さ

 2022年7月、安倍晋三元総理が凶弾によって倒れた。逮捕された容疑者の犯行動機が旧統一教会への恨みであったことから、政治と宗教の問題がにわかに注目を浴び、大きな問題としてとりあげられた。ワイドショーでは旧統一教会と政治家の関係性を追求し、そこにジャーナリストや研究者が登場し、さまざまな議論を繰り広げた。また国会でもこの問題がとりあげられた。
 しかし、それらの発言には時局迎合的なものが多く、国家と宗教という問題を真面目にとりあげ議論を深めていこうとする人は、ほんの一握りでしかない。
 本書は副題に「国家は信仰をどこまで支配できるのか」とある通り、国家と宗教の関係性というテーマを真正面からとりあげている。
 同じ問題をあつかった本がこれまで出版されてきたが、憲法や法解釈の観点から論じたものが大半を占めていた。しかし本書は哲学という観点から問題の本質に迫ろうとする画期的な論考といえるだろう。 続きを読む

万博でアタマを抱える維新――国への責任転嫁に批判強まる

ライター
松田 明

横領した金をギャンブルで使い果たす

 統一地方選挙で大躍進したものの、連日のように不祥事が噴出してきた日本維新の会と、その母体である大阪維新の会。あいかわらず大阪を中心とした近畿圏では存在感を放っているが、支持率に陰りも見え始めている。

 10月22日――
 任期満了に伴う奈良県橿原市の市長選挙がおこなわれた。奈良県は日本維新の会奈良県総支部代表・山下真氏が知事を務める。
 結果は、自民党が推薦する無所属で現職の亀田忠彦氏が、日本維新の会公認の元市長・森下豊氏を大差で破って2度目の当選を果たした。森下氏は橿原市長を3期務めたが、前回の市長選でも亀田氏に敗れている。
 奈良県では、日本維新の会の前川清成衆院議員(比例近畿)が9月26日に議員辞職を表明したばかり。公職選挙法違反で一審・二審とも有罪判決を受け、最高裁に上告しながら次期衆院選で奈良1区からの出馬を検討しものの、地元の理解が得られなかった。

 10月25日――
 奈良県警は日本維新の会の元斑鳩町議だった大森恒太朗容疑者を、業務上横領の疑いで再逮捕した。 続きを読む

「立憲共産党」の悪夢ふたたび――立憲民主党の前途多難

ライター
松田 明

「解散は消えたわけではない」

 臨時国会の召集早々、立憲民主党にとって頭が痛いというか、迷惑千万な〝事件〟が起きた。ことの発端は衆参補選である。
 10月22日投開票の衆参2つの補選では、いずれも日本維新の会が候補者の擁立を見送った。その結果、参議院徳島・高知選挙区では、立憲民主党が支援する無所属候補が自民党候補に大差で勝利。
 一方、衆議院長崎4区では前回よりも得票差が開くかたちで、自民党の新人で公明党が推薦した候補が立憲民主党の前衆議院議員を破った。
 2つの選挙区とも選挙戦中盤までは立憲民主党候補が優勢と報じられており、自公連携の軋みが影響しているのかとも見られていた。しかし、最終的に長崎4区は自民候補が自民党支持層の7割強、公明党支持層の8割強を固めて逆転勝利した。自民党所属の北村誠吾・元地方創生担当相の死去に伴う選挙だったという点もある。
 一方、徳島・高知選挙区は、そもそも高知県を地盤とした自民党の前参議院議員が不祥事で辞職したことを受けての選挙。日本維新の会が候補者擁立を見送ったことで、こちらも期せずして「野党統一候補」となり、自民党への批判票が集まった。 続きを読む