音楽界の歴史に残る「女王」
本年(2023年)5月24日、スイスのチューリッヒで1人のアーティストが静かに83年の生涯を閉じた。「ロックンロールの女王」「ソウルの女王」と呼ばれてきたティナ・ターナーである。
SNS上では、世界各国の名だたるミュージシャンや俳優、さらに米国のオバマ元大統領など著名人が相次いで彼女の偉大さを称え、深い哀悼の意を表明した。
本書は、彼女が前年の2022年に出版した文字どおりの遺作。80年余の生涯を振り返る自伝でもあり、書名のとおり世界に向けて贈られた〝幸福論〟でもある。邦訳は22年10月に刊行された。
原著は発売と同時にベストセラーとなり、日本語版元のサイトによると、現時点で世界57カ国でも刊行され、その総発行部数は300万部を超えている。
世界にその名を知られた歌手。彼女は1950年代から音楽活動をはじめ、ティナ・ターナーという名でステージに立ったのは1960年のことだった。 続きを読む