維新「二重報酬」のスジ悪さ―まだまだ続く不祥事

ライター
松田 明

日本維新の会 藤田幹事長

税理士で党の会計監査人

 ほとんど数日おき、酷いときは同じ日に何件も重なって不祥事が発覚する日本維新の会。正直、あまりにも多過ぎてコラムを書く筆が追い付かないので困っている。
 9月18日、毎日新聞が衝撃のスクープを報じた。日本維新の会の池下卓衆院議員(大阪10区)が、選挙区である地元・高槻市議だった2人を市議任期中に公設秘書として採用していたのだ。
 2人は市議としての報酬と公設秘書としての給与を二重に受け取っていた。どちらも原資は税金である。
 池下卓氏はもともと税理士。2011年の大阪府議会議員選挙に大阪維新の会から出馬して当選。府議を3期務め、2021年10月の衆議院選挙で立憲民主党の辻本清美氏らを破って初当選した。日本維新の会の会計監査人を務めている。
 だが池下議員をめぐっては2022年1月、地元事務所を自身の父親から無償提供されながら、少なくとも2018年から20年までの3年間も政治資金収支報告書に記載しておらず、政治資金規正法違反(不記載)の疑いがあると朝日新聞や週刊文春に報じられていた。 続きを読む

『摩訶止観』入門

創価大学大学院教授・公益財団法人東洋哲学研究所副所長
菅野博史

第25回 偏円②

(3)偏・円を明かす

 十広の第五「偏・円」は五段に分けられているが、偏・円を明らかにする第三段では、偏という概念の範囲が広く、小乗から大乗までの広い範囲に適用されることを述べている。結論としては、三蔵教の析法(しゃくほう)の止観から別教の止観までをことごとく偏と規定し、円教の止観の一心三諦だけを随自意の語であるという理由から円とするのである。したがって、偏円の区別は、大小、半満(半字は小乗、満字は大乗をそれぞれ指す)の区別と一致しないので注意を要する。

(4)漸・頓を明かす①

 この段は、さらに細かく項を分けていないが、理解しやすいように、いくつかの項に分けて説明する。 続きを読む

連載エッセー「本の楽園」 第171回 兵器としての物語

作家
村上政彦

 小説を読む読者がもっとも楽しいのは物語を味わうことだろう。僕自身、20代の前半までアバンギャルドをやっていたけれど、あるとき物語の愉楽を思い出して、小説のコースを大きく変えた。形式の巧みさや美よりも、物語の愉楽を選んだのだ。
 ただ、物語は楽しいだけではない。諸刃の剣だ。読み手を楽しませて、励まし、生きるための力を与えるのは、いい側面だ。しかし、わるい側面もある。人心をあやつって、あやうい世論をつくることもできる。
 今年(2023年)の2月に神奈川近代文学館でシンポジウムを催した。ロシア・ウクライナ戦争を、林京子の文学から読み解こうとする試みだった。プーチン大統領は、何度か核兵器の使用を示唆した。そこで、核戦争を描いた林京子の文学を選んだのだ。
 シンポジウムのファシリテーターは、僕が務めたのだけれど、そこでこんな発言をした。

ロシア・ウクライナ戦争は物語の戦争でもあります。ロシア側は、ファシストから同胞を救う解放者の物語、ウクライナ側は侵略者から祖国を守る英雄の物語。文学者は二つの物語を越え、グランド・ストーリーを語ることができるのか?

 このシンポジウムを終えて、一冊の本とめぐりあった。『人を動かすナラティブ なぜ、あの「語り」に惑わされるのか』(毎日新聞編集委員・大治朋子著)。ざっくり言ってしまうと、テーマは兵器としての物語についてである。 続きを読む

立憲民主党を蝕む「陰謀論」――もはや党内は無法地帯

ライター
松田 明

立憲民主党・岡田幹事長

ウクライナ大使館が異例の抗議

 支持率の低迷、党内の不協和音が続く立憲民主党執行部に、新たな〝悩みのタネ〟が出てきた。
 9月14日、立憲民主党は岡田克也幹事長が同党の原口一博衆議院議員を口頭注意したと発表した。
 原口氏は1959年生まれ。東京大学卒業。佐賀県議会議員(自民党所属)を経て1996年に衆議院議員(新進党)。1998年に民主党に合流し、2009年に民主党政権が発足すると総務大臣に就任した。
 2012年には民主党代表選に立候補するも落選。民進党を経て2018年、国民民主党の代表代行。2020年に立憲民主党に参加。2023年4月、悪性リンパ腫であることを公表した。6月の国会質問で「がんが消えた」と発表している。
 さて問題となったのは、9月12日にYouTubeで配信された番組内での原口議員の発言だった。原口議員はウクライナをめぐって「日本はネオナチ政権の後ろにいる」などと発言した。 続きを読む

やっぱり不祥事が止まらない維新――パワハラ・セクハラ・カネ

ライター
松田 明

衆議院議員を書類送検

 4月の統一地方選で大躍進したものの、不祥事の連鎖が止まらなかった日本維新の会。その後もやっぱり「不祥事」報道が相次いでいる。

 8月3日――
 この日発売の『週刊文春』が、2時間に及ぶ音声データをもとに馬場伸幸代表のハラスメントとされる事案を報じた(「維新・馬場代表が選挙直前に男性市議へ〝公認パワハラ〟」)。
 今年4月の統一地方選をめぐり、維新所属の池田克史堺市議に対し、「公認したくない。理由は無くてもいい」などと発言し、実際に公認しなかった。市議は馬場氏によるハラスメントだったと認めている。

 8月8日――
 兵庫県警は日本維新の会の和田有一朗衆議院議員を、道路交通法違反(事故不申告)の疑いで「書類送検」した。
 和田議員は7月17日に神戸市内で軽自動車を運転中、駐車していたバイク2台に接触して転倒させながら、警察に届けることもせず走り去っていた。
 法律を作る立場の人間なのに、法律を守る遵法意識がまるで欠落している。 続きを読む