すべての人に「婚姻の自由」を――公明党の合意形成を期待する

ライター
松田 明

【この記事のポイント】
①公明党・斉藤代表が「婚姻の完全平等を求める」と初の公式見解
②同性婚をめぐる訴訟で、現行規定を「違憲」とする高裁判決が連続している
③先進諸国を筆頭に世界では38カ国・地域で同性婚が法制化されている
④法制化に反対する主な意見には、合理的な理由が見当たらない
⑤日本でも国民の過半数が(29歳以下では9割が)法制化に賛成している
⑥高裁判決は「国会の不作為」を浮き彫りにしている
⑦与党・公明党には国会での合意形成の期待が寄せられている

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『摩訶止観』入門

創価大学大学院教授・公益財団法人東洋哲学研究所副所長
菅野博史

第69回 正修止観章㉙

[3]「2. 広く解す」㉗

(9)十乗観法を明かす⑯

 ④慈悲心を起こす(2)

 次に、煩悩無数誓願断については、煩悩は実体的な存在をもたないことを知っているけれども、その実体的な存在をもたない煩悩を断ち切ることを誓い、煩悩には限度のない(無限、無量の意味)ことを知っているけれども、その限度のない煩悩を断ち切り、煩悩は実相と同一であると知っているけれども、その実相と同一である煩悩を断ち切ると説明している。衆生と煩悩について、それぞれ空、仮、中のあり方を踏まえて三重に説明しているようである。
 このような衆生を救うこと、煩悩を断ち切ることにも、周到な注意、つまり空、仮、中に配慮したあり方が要請されるのである。 続きを読む

本の楽園 第199回 辺境のラッパーたち

作家
村上政彦

 20世紀の後半になって、アメリカでヒップホップというストリート文化が誕生した。「DJ、ラップ・ミュージック、グラフィティ・アート、ブレイクダンス」をいう。黒人奴隷たちの労働歌や霊歌がジャズへ進化したように、ヒップホップも貧しい黒人たちのあいだから始まった。
 伝説によると、クール・ハークが、1973年8月11日に妹の誕生パーティーで、ターンテーブルを使って、レコードをリミックスし、ブレイクビーツを響かせたのが起源らしい。
 もともとジャズと同じようにマイノリティによる、なけなしの自己表現だった。貧しいもの、持たざるもの、社会のなかで阻害されているものたちの表現は、工夫に満ちていて、身ひとつあれば誰もができる。ヒップホップは、いまや世界で広く、共有される文化となった。

 小説家の僕からしてみると、言葉を使うラップがいちばん身近だ。ただし、ステージでやったことはない。少年のころは、ロックバンドのボーカルだったり、フォークデュオを組んだりしていて、人前で音楽をやっていたから、もっと若ければラップもありだったかもしれない。
 ラップは誕生の在り方からして、反抗の匂いがする。貧しい黒人たちが集まって、どうだとばかりにターンテーブルを回し、貶められた彼らの境遇を巧みなリリックで訴える。かなりまえからこれは新しい抵抗詩だとおもっていた。 続きを読む

文系の学びを地域貢献につなげる~「ベートーヴェン学生選書」の挑戦~

創価大学文学部教授
伊藤貴雄

 現在、ベートーヴェンの交響曲第9番の初演200周年を記念し、「くまざわ書店」八王子店5階フロアにて、ベートーヴェンに関連する書籍を扱う「学生選書」を開催している(12月末まで開催予定)。
 作品や生涯を扱った最新の研究だけでなく、子供向けの入門書、ベートーヴェンが生きた時代や社会を知るための本、さらに彼の芸術と人生が現代に与える示唆を考える本を揃えた。計33点のブックフェアである。
 本稿ではこの企画の背景と、アピールポイントをお伝えしたい。

サービス・ラーニング(貢献型学習)の試み

 この企画は、筆者が2024年度春学期に創価大学文学部で担当した科目「哲学・思想特講A」の受講者が、サービス・ラーニングの一環として、文系の学びを活かした地域活性化に取り組んだものである。
 サービス・ラーニングとは、貢献(サービス)と学習(ラーニング)とを統合した学びであり、学習者と地域社会との連携を通して、双方に良き影響をもたらすことを意図している。 続きを読む

公明党、反転攻勢へ出発――「外側」の意見を大切に

ライター
松田 明

「政治とカネ」への公明支持層の怒り

 公明党は11月7日午後、全国県代表協議会を開催した。
 明2025年の夏には東京都議会議員選挙と参議院選挙が控えている。先の衆議院選挙で32議席から24議席へと大きく後退した公明党にとって、捲土重来を期す「反転攻勢」への出発の会合となった。

 衆院選で自民・公明は過半数割れまで議席を減らし、少数与党となった。ただ、選挙直後の11月2日~3日にFNNが実施した世論調査では、石破政権の継続について「続投してよい」が55.3%で「交代するべき」の36.5%を上回った。
 有権者の多くは、とりあえず自公を過半数割れとしたうえで、なお石破政権の継続を容認したかたちだ。
 この調査では、政権に対する公明支持層の厳しい目も浮き彫りになった。

内閣支持率を自公の支持政党別に見ると、石破政権を「支持する」という答えについて「自民支持層」79.8%、「公明支持層」59.5%となった。(「FNNプライムオンライン」11月8日

 選挙直後の数字であることに留意が必要だが、「政治とカネ」をめぐる政権の対応について、公明支持層の強い反発があったことがうかがえる。 続きを読む