第41回 正修止観章①
次に、十広の第七章、「正しく止観を修す」について取りあげる。言うまでもなく、『摩訶止観』全体のなかで、一念三千説が説かれる、最も重要な章である。巻第五上から巻第十下の六巻を占めている。また、第八章から第十章は実際には説かれず、その内容の一端は第一章の「大意」(五略として示される)に説かれているだけである。
[1]全体の構成
はじめに全体の構成について説明する。この章で最も重要な箇所は、いわゆる十境十乗観法と呼ばれるものであるが、これが説かれるのは、下に示す科文の最後の「2.8. 依章解釈」においてである。そこで、まずはこの範囲の科文を示し、順に内容を紹介する。 続きを読む