落書き禁止 「きれいなまち渋谷をみんなでつくる条例」 違反者は、処罰されます。 見つけた人は警察に通報してください。/おおむらさきつつじ つつじ科/ここはみんなの公園です。うらに書いてあるきまりを守って、みんなでなかよく遊びましょう。/NO NIKE!! ナイキ 悪/ゴミは持ちかえりましょう/水を大切にしましょう/公園はみんなのものだ! PARK is OURS/フットサル場 使用上の注意 このフットサル場は、ゴムチップ入り人工芝を使用しています。きれいな緑と足にやさしい使用感をいつまでも保つため皆様のご協力をお願いいたします。/皆様のフットサル場です。大切に使いましょう。/フットサル場は平成22年4月末まで休場いたします。/防犯カメラ作動中/喫煙所/忘れ物・落とし物にご注意ください/ゴミ等はお持ち帰りください/カン・ビン ペットボトル その他のゴミ/さんごじゅ すいかずら科/れんぎょう もくせい科/渋谷区土木部/不審物を発見したときは、区役所の公園又は警察に連絡願います。なお、無届で集会等を開くことで、不法に占拠することを禁止します。/消えないで公園/荷物をあずけている方へこの倉庫に荷物をあずけている方は、布テープにマジックで名前を書いてください。名前のない荷物は4/19(月)に別の場所に移動します。/みんなのCAFÉ いらっしゃい/わたしたちは、以下の問題があると考え、反対しています。/企業の宣伝・営利に使われること。誰もが憩える公園でなくなること。手続きが不透明かつ非民主的なこと。渋谷区の目的が、公園からの一方的な「ホームレス排除」、街からの「スケーター排除」であること。わたしたちは、この計画の白紙撤回を求め、工事を着工させないために、デモなどを行い、現在テントを張っています。/落書き禁止 落書きは「きれいなまち渋谷をみんなでつくる条例」により禁止されています。違反した場合には処罰されます。(後略)
バラク・フセイン・オバマ・ジュニア(英語:Barack Hussein Obama.Jr.、一九六一年八月四日―)は、アメリカ合衆国の大統領。一・・・オバマは、アフリカ系の姓。ルオ族などでみられる。二・・・政党は民主党。選挙により選ばれたアメリカ史上三人目のアフリカ系上院議員(イリノイ州選出、二〇〇五年―二〇〇八年)。二〇〇八年アメリカ大統領選挙で当選後、任期を約二年残して上院議員を辞任した。一・・・たった一四分間のこのスピーチには、キング牧師やケネディ大統領のスピーチを十分に研究した構成、候補者指名と三・・・アメリカ大統領としては初のアフリカ系・一九六〇年代生まれ・ハワイ州出身者となる。一・・・政治的な内容はさておき、この完璧なスピーチの何がすごかったのか分解してみます。三・・・今週号の表紙において毎年恒例の「Man of the Year」にブッシュ大統領を選んだタイム誌に対抗してか、ニューズウィークは最新号で「次に来るのは誰か」と題して表紙にイリノイ州選出の新人上院議員にして「政界のタイガー・ウッズ」とも呼ばれるバラック・オバマ議員を登場させた。七・・・なお、宣誓に用いた聖書は事前にエイブラハム・リンカーン第一六代大統領が一八六一年の一期目の就任式で使用した聖書を用いると発表した通りオバマ大統領夫人(ミシェル・オバマ)が紫色の包みにて持参一・・・約一四分間のスピーチは全部で四ヶ所に分かれています。三・・・わたしがこの政治家を知ったのは春頃に偶然聞いたラジオインタビューによってだったが、最初に感じた印象は「クリントンの再来だ」というものだった。七・・・アメリカは、あらゆることが可能な国です。それを未だに疑う人がいるなら、今夜がその人たちへの答えです。建国の父たちの夢がこの時代にまだ生き続けているかを疑い、この国の民主主義を未だに疑う人がいるなら、今晩こそがその人たちへの答えです。(後略)
このふたつの文章は、どちらも詩である。詩集の出版では老舗に属する思潮社から出版された詩集『オバマ・グーグル』から引用した。
最初の詩は、「みんなの宮下公園」というタイトルを持つ。詩の末尾には、「2010年4月22日時点に宮下公園内に存在した文字により構成した」とある。
次の詩のタイトルは、「オバマ・グーグル」。2009年1月25日17時30分時点で、グーグルで「オバマ」を検索した結果の、上位100件の記事の引用から成っている。
これが詩か? とおもう読者もいるだろう。しかし僕は、とてもおもしろかった。まず、「みんなの宮下公園」では、ある企業と公園を管理する行政への抗議が目立つものの、全体から感じられるのは、宮下公園という場(トポス)だ。風景、音、匂いまでが伝わってくる。
公園内にある文字を採取して編集するだけで、こういうことができる。この詩では、言葉はオブジェになっている。オブジェとしての言葉を通して、僕らの世界がいかに言葉に満ちていて、言葉でできているかが分かる。僕がよく宮下公園へ行ったのは30年ほど前のことになるが、そのときのことを思い出しながら愉しめた。
「オバマ・グーグル」もネットにあふれる文字(情報)を採取し、編集している。普通の詩は、言葉を選び、磨き、日常の言葉を詩の言葉に変える。しかしここでは、そういう作業はなく、言葉を均質な情報にする。
僕らがオバマという人物を構成しようとすると、情報の海で溺れそうになる。錯綜する情報からオバマを、どのように構成するか。あるいは構成できるのか。それは読み手の読解力と想像力にかかっている。
この詩では、高度情報社会に置かれた人間の状況がシミュレーションできる。問われているのは、ひとつには情報リテラシーである。
同時に、ここにあるのはオバマの情報であって、オバマ自身ではない。この作品は、当然ながら人間が情報に還元できないことも示している。
いまの情報環境では、誰かの情報を手に入れたいとおもえば、そう難しいことではない。
しかしそれでその誰かを知っている気になっても、実は、人間としては何も知らないに等しい。これは高度情報化社会の陥穽といえる。情報は生き物の体温や物の手触りを伝えることができない。
作者の山田亮太は1982年生まれ。僕は、若い世代の新しい試みを支持したい。
参考文献:
『オバマ・グーグル』(山田亮太著/思潮社)