「賢人会議」からの提言
佐川・元国税庁長官の証人喚問や電撃的な中朝首脳会談の報道ばかりが溢れた年度末だったが、見落としてはならないニュースが2つあった。
1つは、3月に「核軍縮の実質的な進展ための賢人会議」(以下、「賢人会議」と表記)が、取りまとめた提言を河野太郎外相に提出したことだ。
この「賢人会議」は、核軍縮の進め方をめぐって核兵器国と非核兵器国、さらに非核兵器国のあいだでも意見の対立が生じている状況を踏まえ、双方の信頼醸成と核軍縮の進展をめざして2017年5月に当時の岸田外相が日本政府として設立を表明したもの。
アジア経済研究所の白石隆・所長を座長に、小溝秦義・広島平和文化センター理事長や朝長万左男・日赤長崎原爆病院名誉院長、アンゲラ・ケイン元国連軍縮担当上級代表など国内外の有識者16人で構成されている。
2017年11月の広島会議に続く第2回の会議が3月26日、27日と東京で開催され、27日には岡本三成・外務大臣政務官主催の夕食会も開かれ、核軍縮を進めるための意見交換がおこなわれた。
29日には、白石座長から河野太郎外相に今回の会議で取りまとめた「提言」(PDFファイル)が提出された。
提言では、NPT(核兵器不拡散条約)が「核兵器のない世界」という共通の目的の中心的な存在になることを確認し、議論の対立する現状を打開するための橋渡しとして求められる内容が列挙されている。
昨年12月には核兵器禁止条約の制定に貢献したICANがノーベル平和賞を受賞した。日本政府がそれよりも早い時期から、アプローチは異なっても「核廃絶」という同じゴールに向かう取り組みを進めてきたことは評価される。
ここにきて朝鮮半島の非核化という発言が中朝首脳会談で金正恩氏から飛び出し、4月27日には南北首脳会談の開催も決定した。
今回の「賢人会議」からの提言の内容は、こうしたさなかの4月23日からジュネーブで開かれる2020年NPT運用検討会議第2回準備委員会に供される。
雇用情勢は着実に向上
もう1つは、3月30日に総務省が公表した「労働力調査」(2018年2月分)である。
それによると、就業者数は6578万人で前年同月に比べて151万人の増加。雇用者数は5875万人で、これも前年同月に比べて121万人の増加。いずれも62ヵ月連続の増加である。
一方、完全失業者数は166万人で、前年同月に比べ22万人の減少。93ヵ月連続の減少だ。
就業者のうち「正規の職員・従業員数」は3430万人で、前年同月に比べて33万人の増加。これは39ヵ月連続の増加となっている。
30日、閣議後の記者会見に臨んだ野田聖子総務相は、
2月の完全失業率は、季節調整値で2.5%と、前月に比べ0.1ポイントの上昇となりましたが、約25年ぶりの低い水準で推移しています。
また、15歳から64歳の就業率は76.0%と、比較可能な昭和43年以降で過去最高となるなど、雇用情勢は着実に改善しています。(総務省HP)
と述べた。
さらに2018年度には新たな取り組みとして「障害者の就労支援」、「災害時の住まいの確保等」などの調査、行政相談委員との協働の推進などに取り組んでいくと語った。
年度末を迎えた3月30日の東京株式市場での日経平均株価は、前日比295円22銭高の2万1454円30銭で取引を終えた。年度ベースでは2545円04銭(13.4%)上昇し、2期連続の上昇となった。
自公連立政権の発足から5年余り。人々の暮らしが確実に上向いていることは、これらの数値でも明らかである。
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