維新、「現職落選」の衝撃――離れ始めた有権者の気持ち

ライター
松田 明

結党以来初めての現職敗北

 8月25日に投開票がおこなわれた大阪・箕面市長選挙。その選挙結果に衝撃が走った。
 無所属で新人の原田亮氏(元自民党大阪府議)が、大阪維新の会に所属する現職の上島一彦市長(大阪維新の会推薦)、日本共産党推薦の無所属・小林友子氏を大差で破り当選したからだ。

(当選)原田亮 (無所属・新)  3万2448票
    上島一彦(大阪維新・現) 1万8309票
    小林友子(無所属・新)    3768票

 大阪府下で〝現職〟の維新首長が敗北するのは2010年の結党以来で初めて。しかも僅差ではなく、ダブルスコアとまではいかないが約1万4000票もの大差をつけられての敗北である。

大阪維新の会の吉村代表は26日、記者団に対し「完敗で、われわれの力不足だ。現場の声も聞いたうえで敗因分析を行い、今後どのように対策をとっていくのか練っていきたい」と述べ、党の横山幹事長を中心に敗因の分析を進める考えを示しました。
大阪維新の会では、横山幹事長のもとに検証チームを立ち上げ、今回の選挙を含めた課題を整理したうえで、今後の選挙戦略などを早期にとりまとめることにしています。(「NHK関西NEWSWEB」8月26日

 なお、日本共産党も、前回2020年の市長選では推薦候補が8468票を獲得していたが、今回は前回の半分にも満たない惨敗に終わった。同日に実施された箕面市議選でも現職候補が落選している。
 昨年からの相次ぐ除名騒動や田村委員長によるパワハラ問題などが党員の反発や箕面党勢の衰退に大きく影響しているものとみられる。今回の市長選の同日に行われた箕面市議会議員選挙では、日本共産党大阪府委員会の機関紙『大阪民主新報』が候補者の1人の名字を誤って掲載するなど、組織の緩みも露呈していた。

「万博行くなよ、出入り禁止や」

 上島市長は2000年に箕面市議会議員になり、2007年には自民党公認で大阪府議会議員に当選。2010年に大阪維新の会に移り、府議団の政調会長や副代表など重責を歴任してきた。いわば結党以来の重鎮である。「日本会議地方議員連盟」の設立発起人になるなど、右派としても知られていた。
 2020年の箕面市長選に大阪維新の会公認候補として立候補。得票率およそ8割となる4万1180票を獲得して当選していた。
 だが今年6月、市議会で大阪・関西万博に対して共産党市議(今回は落選)から子供の無料招待を中止せよとの発言が出ると、「万博行くなよ、出入り禁止や」とヤジを飛ばした。
 3月にも吉村博文大阪府知事(大阪維新の会代表/万博協会副会長)が、テレビのコメンテーターの発言に対して「万博に入れさせない」と発言。4月になって全面謝罪したばかりである。
 上島市長も当初は「以後は気をつけるが、撤回・謝罪はしない」としていたものの、吉村知事からも説得された結果、2日後に発言を撤回した。
 今回の市長選では大阪維新の会の吉村知事や横山英幸大阪市長(大阪維新の会幹事長)らが応援に入り、選挙戦最終日も吉村知事が市民らに握手をしながら支援を訴えた。それが、まさかの惨敗である。
 一方、当選した原田氏は全国最年少の25歳で箕面市議(自民党)に当選し、大阪府議を2期務めたが、2023年の府議選では僅差で落選していた。市長選にあたっては離党して無所属で出馬した。
 一般的に首長選挙では現職が有利とされる。それだけに前回8割の得票率で大勝した上島市長の惨敗は衝撃をもって受け止められた。
 大阪維新の会が「検証チーム」を発足させたのは、今回の敗北が「万博行くなよ、出入り禁止や」発言など主に上島前市長の個人的な失点に起因するものなのか、このところの支持率低下に見られるような維新全体の不人気によるものなのか、その度合いを見きわめる必要があるからなのだろう。

迷走していく維新の政治

 2023年4月の統一地方選挙で大躍進したあと、維新の支持率は急上昇し、野党第一党の立憲民主党を引き離し続けていた。
 ところが、維新が〝大阪成長戦略の眼玉〟として誘致した大阪・関西万博の建設費が高騰。23年10月には当初見込みの倍近い額になることが明らかになった。すると、日本維新の会の馬場代表は、「万博は国の事業」と言い始めたのだ。

維新が誘致を主導した万博では、会場建設費が想定の2倍近い2350億円に膨らむ見通しとなった。維新は「万博は国家イベントということが前提だ」(馬場氏)などと、国に責任転嫁する姿勢を強めている。(「読売新聞オンライン」2023年10月30日

 これを境に維新の支持率は急降下に転じ、立憲民主党と逆転する。
 海外パビリオンの独自建設も撤退が相次ぎ、元日に能登半島地震が発生すると、世論の冷ややかな空気に拍車がかかった。
 大阪府は府内の小中高、支援学校の計約1900校を対象にした万博への子どもの無料招待をめぐる意向調査を実施。5月27日に途中経過として、既に回答があった約1280校のうち約75%の約950校が「希望する」と回答、残り25%にあたる約330校が「未定・検討中」と回答したと発表した。
 この数字だけを見ると、4分の3以上の学校が参加を希望しているように見える。ところが5月30日、交野市の山本景市長が、そもそも府の調査に「希望しない」という項目がなかったことを指摘。さらに、府の中間発表は未回答の620校を含めずに〝75%が「希望」〟としていることを暴露した。
 国政でも失点が続く。1月からの通常国会の最大の焦点となった政治資金規正法改正案をめぐって、日本維新の会が迷走。これまで領収書なしの使い切りという不透明な政策活動費を採用していた立憲民主党など各党が廃止を決めるなかで、自民党と日本維新の会だけが存続を主張(公明党と日本共産党はもともと同種の支出を採用していない)。
 与党協議で公明党が自民党案を1つ1つ修正させていたにもかかわらず、維新は政策活動費の「領収書の公開は10年後」などという案で自民党と合意。あげくの果てに衆議院では自民党案に賛成しながら参議院では反対に回るという、意味不明の対応に終始した。

政治資金規正法の改正を巡り、衆院と参院で賛否が異なった日本維新の会の迷走ぶりが際だった。維新が主導してきた調査研究広報滞在費(旧文通費)の改革は実現せず、執行部の責任論が党内で浮上する。(『日本経済新聞』6月20日

大阪府以外では「初の維新系知事」

 さらに、ここにきて維新への人々の失望や憤りを加速させているのが、目下の斎藤元彦・兵庫県知事の問題である。
 元総務省の官僚だった斎藤氏は、2018年から大阪府に出向し、府の財務部財政課長として維新府政の「身を切る改革」を支えた。
 2021年7月の知事選で、日本維新の会は自民党と一緒に斎藤氏を推薦。大阪市長であった松井一郎氏(当時の日本維新の会代表)、大阪府知事の吉村洋文副代表らが兵庫県知事選挙の応援演説に乗り込むという奇妙な光景が生まれた。
 斎藤氏が立候補を表明した日、吉村知事は斎藤氏のSNSに被せるかたちで、その「人柄」と「手腕」を有権者にアピールした。

本日から兵庫県知事選挙が始まりました。斎藤さんとは2年間一緒に仕事をしました。非常に優秀で人柄も良く、実務能力の高い人です。兵庫大阪がより強く連携することで、関西全体の成長を目指します。古い禅譲政治からの脱却。斎藤さんを新しい兵庫のリーダーに。兵庫の皆様、斎藤さんをお願いします。(2021年7月1日の吉村氏のポスト

 斎藤氏は当選し、第53代の兵庫県知事に就任。大阪府以外では「初の維新系知事」の誕生である(その後、奈良県でも維新系知事が誕生)。

「自民党に一定の軸足を置く一方で、維新の改革スピリットをしっかりと一緒になってやっていく」
 兵庫県知事に当選して3日後の7月21日、日本維新の会本部(大阪市)を訪れた斎藤元彦氏は、同党の馬場伸幸幹事長と並んだ記者会見でそう述べた。(「東洋経済オンライン」2021年8月2日

 ところが、今年(2024年)4月になって、県職員の異例の人事異動がメディアで相次いで報道される。本来ならあと4日の年度末で退職することになっていた西播磨県民局長(部長級)が、なぜか解任され総務部付に降格処分されたというのだ。
 県が退職を保留させた理由は、この局長が勤務時間内に斎藤県政の問題点を告発する文書を作成し、マスコミなど関係先に送付したというものだった。
 告発文書の内容は、県知事選挙に際して県幹部による違法な事前運動があったこと、阪神・オリックスの優勝パレードの資金集めに関する不正、知事が視察先でさまざまな物品を「おねだり」し贈答品の山になっていること、知事によるパワーハラスメント、など7項目にわたっていた。
 降格処分が発表された3月27日、定例記者会見に立った斎藤知事は、この文書について「事実無根」「嘘八百」「公務員として失格」等と発言した。

 同日の定例記者会見で斎藤氏は男性が文書を作成したとして、退職を保留した理由について「事実無根の内容が多々含まれている文章を職務中に職場のパソコンを使って作成した可能性がある。綱紀粛正しなければならない」と述べた。懲戒処分も検討している。(『産経新聞』4月23日

 斎藤氏は「職員らの信用失墜、名誉毀損など法的な課題がすごくある。被害届や告訴も含めて法的手続きを進めている」と明言。「業務時間中に噓八百含めて文書を作って流す行為は、公務員として失格」と非難した。(同)

調査結果を待たずに処分を断行

 のちに公表された事実経過によると、当該男性が斎藤知事によるパワハラなど7項目の告発文書を報道機関などに送ったのは3月中旬。3月20日に斎藤知事が文書の内容を把握する。
 翌21日、斎藤知事は告発者を特定するよう県の人事当局に指示。当該男性が判明し、片山安孝副知事(当時)が男性を聴取し公用パソコンなどを調べた。
 その結果、27日の降格人事が発表され、斎藤知事が会見で「事実無根」「嘘八百」等と当該男性を非難したのだった。
 4月1日、当該男性は報道機関に対し、斎藤知事が「内容の調査も十分なされていない時点で、記者会見という公の場で告発文書を『事実無根』と決めつけた」とし、知事は「事実無根」とする根拠を示すべきだと文書で表明する。
 翌2日、会見でこのことを質問された斎藤知事は、「事実無根」とした根拠について回答しないまま、内部調査を進めると発言。
 4月4日、当該男性は県の公益通報制度を利用して、県庁内の相談窓口に知事や県幹部の疑惑をあらためて通報した。
 4月上旬、県の人事当局から県幹部に対し、「懲戒処分は公益通報の調査結果を待たなければならない」という見解が示された。当然の話であろう。
 4月16日、県産業労働部の部長が、告発文書に記載されていた贈答品の一部に関し、受領したことを認める。2023年8月に県内の企業を視察した際に同社の製品を県庁宛てに贈られたまま〝保管〟し、告発文書が出た今年3月になって返送したという。県の内規では業務関係の贈答品は受領しないことになっているのだ。
 当該男性の告発文書が少なくとも「嘘八百」「事実無根」ではなかったことになり、このことが報道されると斎藤知事への批判が一気に高まった。
 すると、斎藤知事は公益通報の調査結果を待たずに当該男性を処分できないか検討するように人事当局に指示。

 知事が処分検討を指示した4月中旬は、内部告発で指摘された企業から県幹部が高級コーヒーメーカーなどを受け取り、告発後に返却していたことが判明するなどしていた。出頭した職員は知事が処分を急いだ理由について、「『懲戒処分をすれば、(自身に対する批判の)風向きが変わるのでは』と知事が言っていると聞いた」などと話したという。(「読売新聞オンライン」8月25日

 5月7日、まだ公益通報の調査結果が出ていないにもかかわらず、県は告発文書について「核心的な部分が事実ではなく、誹謗中傷にあたる」とする内部調査結果を発表し、当該男性を「停職3カ月」の懲戒処分とした。

職員への負担と県政の停滞

 なお、4月20には県の総務課長だった男性が急死している。元総務課長はプロ野球・阪神、オリックスのリーグ優勝記念パレードで企業からの寄付金集めなどを担当していた。告発文書はパレードの必要経費について「兵庫県内の信用金庫への県補助金を増額し、それを募金としてキックバックさせることで補った」としていた。
 5月に入り、立憲民主党系の会派や無所属議員から第三者機関の設置が要求される。5月16日、県議会自民党と公明党が第三者機関の設置要請の意向を表明。20日になって日本維新の会も同意した。
 この第三者機関とは別に、県議会に百条委員会の設置が浮上すると、片山副知事が突然、辞任の意向を示し、百条委員会の設置をやめるよう県議会に懇願する。

「突然ですが、辞職しようと思います。だから、百条委だけは……」。6月7日、開会中の県議会の合間に、斎藤知事の右腕で議会との調整役を担う片山安孝副知事が懇願した。相手は自民党系の最大会派に所属する藤本百男・県議会議会運営委員長。突然の申し出に驚きはあったが、一蹴した。(『毎日新聞』6月13日

 なお、この百条委員会の設置については、6月13日、日本維新の会と公明党が「反対」した。公明党は反対の理由として県議会で、

100条委員会そのものを否定するわけではありませんが、議会として第三者機関の設置を求めた以上、知事の第三者機関設置の表明から今日まで新たな事実や疑惑が出たわけではない中においては、その調査結果を待つべきではないでしょうか。仮に、第三者機関の調査をもってしても、県民の信頼回復に至らない場合は、その時こそ100条委員会での解決につなげるべきと考えます。
さらに、第三者機関と100条委員会を並行して調査することで、尋問される県職員や関係者に二重の負荷が掛かることや、第三者機関と100条委員会の調査結果に齟齬が生じた場合の問題なども考慮すべきです。(公明党議員団としての反対討論

との見解を示した。
 おそらく維新と公明党の反対理由はまったく異なると思うが、公明党の「反対」理由は合理的である。既に県議会で第三者機関の設置を求め知事の同意も得ながら、他方で議会でも百条委員会を設けるというのは整合性が取れない。公明党が言ったように、仮に食い違いが生じた場合、どちらの調査結果を採用するのか混乱する。
 また、県幹部や職員が双方に聴取や資料の提出を求められれば心身の負担は二重になり、本来の職務遂行に著しい支障が生じる。そのことで不利益を被るのは県民である。百条委員会には罰則規定があり、事実上の「証人喚問」だ。組織の一員である県職員の立場で尋問を受ける心理的負担はきわめて大きい。
 筆者自身、もはや斎藤県知事に同情する余地は皆無と考えているが、それでも第三者機関の調査結果を待って、必要であれば百条委員会を設けるとした公明党の冷静な主張には同意する。
 この点、早くも次の県知事選挙を睨んで〝政局化〟を図ろうとするのであれば、それこそ党利党略優先であって、県民優先の姿勢が欠如していると言わねばならない。

4割が「パワハラを見聞きした」と回答

 自民党内でも百条委員会設置については賛否が分かれていたものの、結局6月14日に第1回の百条委員会が開催された。
 当該男性も百条委員会への出席が決まっていたが、7月に入って最悪の事態を迎える。7月7日夜、男性が自死しているのが発見されたのだ。
 7月12日、片山副知事が辞表を提出。涙ながらの会見で、斎藤知事に辞任を5回促したが聞き入れられなかったことや、知事のコミュニケーションに問題があること、3月の人事当局からの調査結果に「嘘八百」という表現はなかったことを明かした。
 8月23日、県職員へのアンケートの中間報告が正式発表された。NHKは以下のように報じている。

パワハラの疑いを見聞きしたことがあると回答した人はおよそ4割にあたる1750人(38.3%)で、自由記述欄には「公用車内で知事が激怒し、前部座席を蹴った」「机をたたいて怒り出す」、「知事が出席するイベントや行事にマスコミが来ていないと怒る」などの内容がありました。
また、知事が贈答品を受け取っている疑いを見聞きしたことがあると回答した人は946人(20.7%)で、自由記述欄には、「40万円相当の革ジャンを試着し、『これはいい。もらえないか』と知事がおねだり」、「両手で抱えきれない量のかきを全部1人で持って帰った」、「『その靴ほしいです。白い靴がほしいです』と発言した面談記録を読んだ」などの内容がありました。
 ただ、回答は人づてに聞いたことをもとに書かれたものも多く、百条委員会は事実関係を確認しながら、調査の参考資料とすることにしています。(「NHK兵庫NEWSWEB」8月23日

「公人」の資質を欠いた人たち

 箕面市長選挙で結党以来初めて大阪府下の現職首長が落選したという出来事が、たまたま上島前市長の問題発言に起因するだけのものなのか。それとも、維新への信頼や期待がもはや回復不能なところまできてしまっているのか。
 大阪を中心に近畿圏では飛ぶ鳥を落とす勢いで伸びていた維新だが、このところは厳しい結果が続いている。
 藤田文武幹事長の選挙区である四条畷市、寝屋川市、大東市では、いずれも直近の市長選挙で維新候補が3連敗。吉村知事の出身地・河内長野市では、市長選挙の候補者すら擁立することができず、6月30日の告示日に無所属新人の前自民党府議が無投票で初当選し、維新は「不戦敗」となった。
 この府議が自動失職したことに伴う7月28日の府議会河内長野市選挙区補選でも、維新候補は諸派の新人の大差で敗れた。
 さらに、維新の内部では馬場代表が率いる国政の「日本維新の会」と、吉村府知事が率いる「大阪維新の会」の対立が激化している。
 加えて、本コラムでもたびたび報じてきたように、維新では東西共に「不祥事」が絶えない。買収など公職選挙法違反での有罪確定、府議団トップによる同僚女性議員へのパワハラ・ストーカー行為・性的行為の要求、政治資金の横領、現職国会議員による道交法違反、現職女性市議による下着姿写真のネット販売、現職町議による自治会費の横領、政治資金収支報告書未提出による党員資格停止など、ほとんど週替わり、日替わりで信じられない不祥事が続いてきた。

 兵庫県の斎藤元彦知事がパワハラなどの疑惑を内部告発された問題で、日本維新の会の吉村洋文共同代表(大阪府知事)は27日、斎藤知事に辞職を求める可能性について、大阪府庁で記者団に「当然ありうる」と述べた。維新はこれまで、「真相究明が大切」として問題を静観していたが、一転して厳しい対応を取る可能性を示唆した。(「読売新聞オンライン」8月28日

 箕面市長選での現職落選を受けて、日本維新の会のなかからも斎藤知事への厳しい対応を求める声が出てきた。吉村共同代表が態度を一変させて辞任要求もあり得ると発言したのは、もはや〝トカゲの尻尾〟を切ったほうが維新の次の選挙へのダメージが少ないと計算したからなのか。
 維新の支持層は強固な支持というよりも〝フワッとした支持〟が多いといわれる。自民党に嫌気がさした保守層や、「身を切る改革」という言葉になんとなく惹かれた人々が多かった。
 だが、その維新は結党から14年経っても政党としてのガバナンスが利かず、公人としての資質を大きく欠いたような人物による不祥事が止まらない。若さや爽やかさを売りにしつつ、〝政治家になること〟を人生のキャリアアップくらいに考えて、〝政治家になること〟が目的化しているのではないのか。
 所詮は大衆を利用する政治家なのか、それとも大衆に仕えていく政治家なのか。有権者を甘く見ている政党や政治家は、かならず有権者から厳しい審判を受けることになるだろう。

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まつだ・あきら●ライター。都内の編集プロダクションに勤務。2015年から、「WEB第三文明」で政治関係のコラムを不定期に執筆。著書に、『日本の政治、次への課題』(第三文明社)がある。