候補者から45万円を受領
NHKの月例の世論調査で、5月以来、立憲民主党を抜く状態が続いてきた日本維新の会の支持率が、10月になって立憲民主党を下回った。連日のように噴出する日本維新の会の不祥事が知れ渡り、バブルも冷めてきたのだろうか。
その日本維新の会、あいかわらず不祥事のニュースが多過ぎてあきれる。
9月21日――
日本維新の会の上野蛍・元富山市議が21日、富山市内で記者会見を開いた。
今年4月の県会議員選挙で、上野氏は日本維新の会の公認候補・福島陽介氏(落選)の選対本部長を務めた。その際、上野氏は福島氏から現金45万円を受け取っており、公職選挙法違反の疑いで富山地検に告発されていたのだ。
4月の富山県議選を巡り、日本維新の会の上野蛍・元富山市議が公認候補に現金を要求し、計45万円を受け取っていたことが富山維新の会の調査でわかった。(「読売新聞オンライン」9月9日)
21日の会見で、現金は「日頃の活動へのこころざし」として福島氏から受け取りを求められたもので、上野氏が要求したものではないと釈明。さらに当初は断ったが、懇願されたため受け取ったという。
上野氏は選挙後の5月になって現金を返金したとし、現金の性質も「後援会活動に対しての労務費」と違法性を否定しているが、選挙直前に現金の授受があれば票の取りまとめを依頼されたと見なされてもやむを得まい。
公選法違反に問われて議員辞職
9月25日――
日本維新の会の前川清成衆院議員(比例近畿)が、議員辞職の意向を固めたと報道された。
前川氏は前回2021年の衆議院選挙で、公示前に自身への投票を呼び掛ける文書を不特定多数の有権者に送ったとして、公選法違反(事前運動、法定外文書頒布)の罪に問われ、1、2審で有罪判決を受け、最高裁に上告していた。
次期衆院選でも出馬を模索していたが、地元の反発が強く辞職となったという。
前川氏の辞職によって、本来は日本維新の会の比例で次点だった直山仁氏(滋賀3区)が繰り上げ当選になるところ。だが、なんとこの直山氏も21年の選挙で大学生らに現金を渡した買収で大津簡易裁判所から罰金50万円の略式命令を受け、公民権が停止されている。そこで次々点だった中嶋秀樹氏(京都6区)が繰り上げ当選になるという。
現職は公選法違反で議員辞職。次点候補も公選法違反で公民権停止中。不祥事続きの日本維新の会を象徴するような話である。
9月30日――
例の上野蛍・元富山市議に関しては、別の不祥事でも富山維新の会の信じられない対応があった。
じつは、2022年の参院選で上野氏は日本維新の会の比例公認候補として出馬して落選していた。その際、公職選挙法で禁じられているにもかかわらず富山市内に選挙事務所以外の拠点を構えていた疑惑が浮上していた。
上野氏は次点で落選しており、もし欠員が出た場合は参議院に繰り上げ当選の対象となる人物なのだ。
富山維新の呉松福一幹事長は取材に対し、6月にこの事案を把握し、上野氏への聞き取りを行ったと説明。「真摯に調査し、真実と事実を明らかにします」とコメントを出した。(「読売新聞オンライン」7月20日)
真摯に調査結果を明らかにすると述べていた富山維新の会だが、9月30日になって役員の体制が変わると前言を翻したのである。
昨年の参院選で選挙事務所を複数設置した疑いなどが指摘されている日本維新の会の上野蛍・元富山市議について、富山維新の会の柴田巧代表は9月30日、党の調査について「以前から結果を発表するという話は一切していない」と述べた。(「読売新聞オンライン」10月1日)
7月には「真摯 に調査し、真実と事実を明らかにします」と呉松幹事長(当時)のコメントを出しながら、9月になると柴田巧代表が「以前から結果を発表するという話は一切していない」と180度逆のコメントを出す。
背景に、富山維新の会の内部での確執と権力闘争が見え隠れする。
前府議団代表の「性的暴行」で被害届
10月1日――
大阪維新の会に所属し9月に3選を果たした大阪府枚方市の伏見隆市長が、「祝勝会」の横断幕が掲げられた集会に参加していたと報道された。公職選挙法では選挙後に当選者への挨拶を目的とした祝勝会の開催を禁じている。
大阪維新の会幹事長の横山英幸大阪市長は2日、伏見氏を口頭注意処分としたことを、報道陣に明らかにした。維新代表の吉村洋文知事は同日、報道陣の取材に、「公選法に違反するおそれがあると思う。伏見市長はきちんと市民に説明する必要があると思う」などと話した。(「朝日新聞デジタル」10月3日)
10月2日――
後輩女性議員へのパワハラ・セクハラ・ストーカー行為が明らかとなって6月に大阪維新の会から除名されていた、同会の前大阪府議団代表・笹川理府議(現在は無所属)。
この被害者だった女性市議が、新たに2015年9月に笹川府議から押し倒されて性的暴行を受けたとし、大阪府警に被害届を出して受理された。
10月4日――
9月30日付で富山維新の会副代表になった呉松福一・射水市議が、会派の新体制への不満を理由に離党する意向を表明した。呉松氏は富山県内の党員で唯一の地方議員でもある。
富山維新の会の柴田巧代表は、党の規則で定められている議員報酬の寄付を呉松氏が実行していないとして、離党届を受理せず除名等の処分にする意向という。
町議が自治会費横領で逮捕
維新の不祥事はまだまだ続く。
10月5日――
奈良県警は、日本維新の会所属の同県斑鳩町議だった大森恒太朗容疑者を業務上横領の疑いで逮捕したと発表した。
大森容疑者は2023年の統一地方選で日本維新の会の公認を受け、斑鳩町議として再選されていた。
現職町議でありながら、自身が会計係を務める地元自治会の会費を横領していたのだ。自治会では数百万円が使途不明になっているという。
県警は、ギャンブルなどの遊興費や生活費に充てられた可能性があるとみて、慎重に裏付け捜査を進める。(「朝日新聞デジタル」10月5日)
日本維新の会は10月2日付で大森容疑者を除名したとしている。
国会議員団副代表が離党
10月10日――
日本維新の会の国会議員団副代表だった鈴木宗男参議院議員は、同党に「離党届」を出した。鈴木議員は、政府が渡航中止勧告を出しているロシアを訪問しロシア政府高官らと会談していた。
鈴木議員は日本維新の会への届け出をしないままロシアを訪問。事務的なミスだったと釈明したが、維新の内部では「除名」という強硬論が強まった。
10日に国会内で馬場伸幸代表と藤田文武幹事長が鈴木議員と面会。本来はこの場で「除名」を通告するはずだったが、その前に鈴木氏側から「離党」の申し出がなされたため受理したという。
この面会の様子は異様なものだった。着席している鈴木氏に対し、馬場代表と藤田幹事長は立ったまま見下ろして睨みつけ、「記者さんは出ていってください」と報道陣を追い払った(「時事通信映像ニュース」10月10日)。
政党論に詳しい法政大学大学院の白鳥浩教授は、維新の処分は世論に迎合したポピュリズム的な側面があるのではないかとし、
日本維新の会が鈴木宗男氏の離党届を受理したとはいえ、事前の渡航手続きの不備だけで除名処分と決めたことは重すぎる判断だ。
維新は野党第1党を目指す公党であり、意見の多様性があってしかるべきだが、今回のことで党内の意見の多様性、民主主義のあり方が問われる。他の議員の活動も萎縮しかねない。(「朝日新聞デジタル」10月10日)
と、維新の強権的な対応を批判した。
元市議団幹事長を横領で書類送検
10月12日――
兵庫県警は元・日本維新の会尼崎市議団幹事長だった光本圭佑市議を、業務上横領などの疑いで書類送検した。光本市議は2021年から22年にかけて、日本維新の会の政務活動費から約210万円を横領した疑いがある。
光本市議をめぐっては、幹事長だった日本維新の会市議団の政務活動費計250万円を無断で引き出し、個人名義の口座へ移していたことや、パソコンなど約76万円の納品書を偽造して市議会事務局に提出していたことなどの疑惑が昨年6月に発覚した。(「朝日新聞デジタル」10月12日)
不正が発覚して、維新は光本議員を除名。市議会は辞職勧告決議を出したが、光本氏は議員にとどまっている。22年8月、市議会事務局が有印私文書偽造などで兵庫県警に刑事告発して捜査が続いていた。
ここに挙げたのは、わずか3週間ほどのあいだに報道されたものだ。公職選挙法違反、買収、性的暴行、横領と、不祥事が連続して噴出する政党。そして党内は地方から国会までガバナンスが効かずに内紛が続く。
そもそも公職に就く資質の欠落した人物が維新では候補者となり、維新という看板の人気だけで当選してきているのではないのかと思わざるを得ない。
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