やっぱり不祥事が止まらない維新――パワハラ・セクハラ・カネ

ライター
松田 明

衆議院議員を書類送検

 4月の統一地方選で大躍進したものの、不祥事の連鎖が止まらなかった日本維新の会。その後もやっぱり「不祥事」報道が相次いでいる。

 8月3日――
 この日発売の『週刊文春』が、2時間に及ぶ音声データをもとに馬場伸幸代表のハラスメントとされる事案を報じた(「維新・馬場代表が選挙直前に男性市議へ〝公認パワハラ〟」)。
 今年4月の統一地方選をめぐり、維新所属の池田克史堺市議に対し、「公認したくない。理由は無くてもいい」などと発言し、実際に公認しなかった。市議は馬場氏によるハラスメントだったと認めている。

 8月8日――
 兵庫県警は日本維新の会の和田有一朗衆議院議員を、道路交通法違反(事故不申告)の疑いで「書類送検」した。
 和田議員は7月17日に神戸市内で軽自動車を運転中、駐車していたバイク2台に接触して転倒させながら、警察に届けることもせず走り去っていた。
 法律を作る立場の人間なのに、法律を守る遵法意識がまるで欠落している。

 8月10日――
 やはり『週刊文春』が、こちらも音声データと共に馬場代表による社会福祉法人〝乗っ取り疑惑〟を報じた(「維新・馬場伸幸代表 社会福祉法人の〝乗っ取り疑惑〟」)。
 認知機能の衰えが目立つようになった社会福祉法人の女性理事長に、任意の財産管理契約を結ぶ「一筆」を書かせ、成年後見制度をつけないまま馬場事務所が財産の管理をおこなっていたというものだ。
 この女性理事長は認知症が進み、本年6月25日で理事長を退任。馬場氏が理事長に就任している。

「不記載の場合も犯罪」

 9月11日――
 今度はナンバー2の藤田文武幹事長について、『週刊文春』が政治資金規正法違反(不記載)の疑いを報じた。
 2020年から21年にかけて、文書通信交通滞在費(現・調査研究広報滞在費)から60万円を自身が代表を務める政治団体に寄付しながら、政治資金収支報告書に記載していなかったというものだ。
 これについては新聞各紙も後追い報道した。

 日本維新の会の藤田文武幹事長が代表を務める「藤田文武後援会」が、藤田氏からの寄付60万円について、2021年の政治資金収支報告書に記載していなかったことがわかった。(「朝日新聞デジタル」9月11日

 藤田事務所は「事務的なミス」と弁明しているが、政治資金収支報告書への不記載というのは不透明な政治資金の流れにつきもので、非常に責任が重い。
 維新の共同代表でもある吉村洋文・大阪府知事は、2019年にX(当時のツイッター)に次のように投稿している。

収支報告書は「虚偽」記載だけでなく、「不記載」の場合も犯罪。不記載が故意(わざと)の場合だけでなく、重過失(わざとでないが重大な注意ミス)の場合も犯罪。5年以下の禁錮、100万円以下の罰金。公民権停止。どこの政党が不信任に反対するのか見ておこう。(2019年2月22日の吉村氏の投稿

 ミスによる「不記載」の場合も〝犯罪〟だと、吉村氏が言明しているのである。9月11日の記者会見で朝日新聞の記者から報道を把握しているかと質問された吉村知事は「把握していない」として藤田幹事長からの説明があるだろうとだけ答えた。

元市議会議長の異様な投稿

 その同じ9月11日――
 前日の10日に投開票がおこなわれた大阪府交野市議会議員選挙で、大阪維新の会の本田リエ大阪市議が、維新以外の候補者のポスターを塗りつぶしたポスター掲示板の写真と共に、投票を呼びかける投稿をXにしていたことが報道された。
 本田氏は2020年に第117代の大阪市議会議長を務めている。

 ポスターに落書きをするなどの行為は、公職選挙法の「選挙の自由妨害罪」に抵触する恐れがある。今回は写真の加工で、本田氏は「ポスター自体に何かしたわけではない。他の候補をおとしめる行為はしていない」と語った。(「朝日新聞デジタル」9月11日

 ただちに公選法に抵触するわけではないが、維新の議員の倫理観や政治家としてのクオリティを象徴するような事案だ。
 本田議員は9月12日、自身のXを更新し、

交野市議会議員選挙におきまして
公営掲示板の写真を雑に加工した件につきまして
不快な思いをされた方には
お詫び申し上げ
賛否両論のご意見頂きました事、代弁してご意見を発信頂きました方には心より感謝申し上げます(9月12日の本田リエ議員の投稿)

と投稿した。
 何が悪いのかと言わんばかりに、この期に及んで〝賛否両論の意見〟〝代弁して〟擁護する意見があったことをわざわざ書き込んで、「不快な思いをされた方には」お詫びするというものだ。
 なお、交野市議選で維新は5人が立候補したものの、現職の2人が落選した。

「暑くてムラムラして」卑猥メール

 9月12日――
 千葉県習志野市議会の市瀬健治議員(74歳/千葉維新の会)が8月下旬、他市の元市議の女性に対し卑猥なショートメッセージを送信していたことが報道された。
 女性からの訴えを受けて千葉維新の会は8月31日付で市瀬議員に辞職勧告をおこない、9月5日に除名処分にした。

 市瀬氏は取材に「暑くてむらむらし、思わず送ってしまった。申し訳ないことをした」と答えた。市瀬氏は2期目前に藤巻健太衆院議員の秘書を務めていた。(『東京新聞』9月12日

 議員辞職する気はないようで、毎日新聞の取材に対しては、

市瀬議員は「暑くてムラムラして送った。今回が初めてだ。深く反省している。残りの任期を精進して(活動して)いく」と釈明した。(『毎日新聞』9月13日

 維新では、大阪維新の会の府議団代表の笹川理議員が女性議員に対するパワハラ・セクハラ・ストーカー行為で、6月3日に除名されたばかり。

法令違反行為の写真を投稿

 9月14日――
 日本維新の会衆議院埼玉16区の支部長である中村梨香氏が、以下のような謝罪文を自身のXに投稿した。

先日、高所にポスターを貼った際、フォークリフトの使用において安全性に欠けた写真を投稿しご心配をおかけいたしました。また私の不注意で掲示いただいた会社様にもご迷惑をおかけしたことをお詫び申し上げます。今後このようなことがないよう危機管理を徹底してまいります。(9月14日の中村氏の投稿

 何をやらかしたのか?
 じつは3日前の9月11日、中村氏は選挙区内の運送会社でフォークリフトの荷台に乗って、2階の壁に自身のポスターを貼っている姿を嬉々としてXに投稿していたのだ。
 厚生労働省の「労働安全衛生規則」第151条では「乗車席以外の箇所に労働者を乗せてはならない」と定められている。フォークリフトによる事故は年間2000件ほど起きており、荷台から転落して死亡する事故は近年でも多い。
 中村氏は双子ユニットのタレントとして活動していたが、肩書は元国会議員秘書だとしている。その人間が法令を破ってフォークリフトの荷台で2階の高さまで上がり、自分のポスターを壁に貼るという危険極まりない行為の証拠写真を、能天気にSNSに載せていたのだ。
 政党支部長の身で法令違反行為をしながら、有権者には謝罪もせず「ご心配をおかけしました」で済ませる感覚。「お詫び」の相手は、迂闊な投稿で企業名を明かしてしまった運送会社に対してである。
 なお、中村氏は4月の埼玉県議選で埼玉南10区から立候補して落選したばかり。双子の姉である中村美香氏は同じ日本維新の会で埼玉南1区から当選したが、こちらもその後、居住実態がなかったことが発覚して選管から当選を取り消されたというお粗末ぶりだ。
 それにしても、よくこれだけ不祥事が次から次へと出てくるものだとあきれるほかない。
 なお、5月から7月下旬までの日本維新の会の不祥事の一部は、こちらの記事に記した。

維新、止まらない不祥事――信頼を失っていく野党②

「信頼を失っていく野党」①~④:
手段が目的化した立憲民主党――信頼を失っていく野党①
維新、止まらない不祥事――信頼を失っていく野党②
孤立を深める日本共産党――信頼を失っていく野党③
共産党VSコミュニティノート――信頼を失っていく野党④

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