共産の惨敗が際立つ統一前半戦――牙城の京都でも落選相次ぐ

ライター
松田 明

前回に続き「野党統一候補」が落選

 4月9日、統一地方選挙の前半戦が終わった。
 投票箱が閉まった午後8時、北海道や神奈川、福井、大阪、鳥取、島根などで、早々と現職知事の再選が確定した。
 このうち唯一、与野党が全面対決する構図となって注目されたのが北海道知事選。現職の鈴木直道氏(無所属)を自民、公明、新党大地が推薦し、元立憲民主党衆議院議員の池田真紀氏を立憲が推薦、共産、国民、社民、市民ネットが支持した。
 北海道は全国でも野党勢力が強かった地域だ。結果は鈴木氏が169万2436票。池田氏の47万9678票の3倍をはるかに上回る大差で圧勝した。立憲民主党は前回に続いて「野党統一」候補で敗北した。
 野党側の敗因の一つは、立憲民主党による推薦の決定が今年2月にずれ込んだこと。地元からは執行部への批判も起きている。過去2度の国政選挙で「野党共闘」が空振りしたこともあり、今回の選挙戦で野党各党は党首クラスの投入を避けた。
  立憲民主党は他の知事選挙では独自候補の擁立すら見送って、一部では与党候補に相乗りした。

立憲民主党は北海道知事選を落とすなど、統一地方選前半戦で存在感を示せなかった。9道府県知事選では候補者を積極擁立できず、野党第1党ながら選挙態勢の脆弱さを露呈した。(「読売新聞オンライン」4月10日

 消極姿勢の背景には、党支持率が低迷する中、「公募などで質の良い候補が集まりづらくなっている」(立民関係者)現状がある。(同)

 また立憲民主党では統一地方選最終盤に、小西洋之参院議員の〝サル発言〟が飛び出した。しかも、発言が批判されると小西氏は報道機関への居丈高な態度に出た。

小西氏は、3月29日の「サル発言」を批判された後もツイッターで発信を繰り返した。自身の発言を報じた報道機関の過去の報道内容を巡り、放送法違反で放送倫理・番組向上機構(BPO)に告発する可能性に言及。総務官僚だった経歴を背景に「元放送政策課課長補佐にけんかを売るとはいい度胸だ」とも投稿した。(『日本経済新聞』4月7日

 日本維新の会の馬場代表は立憲民主党との連携を凍結すると発表。国民民主党の玉木代表も、放送行政をめぐって政府を批判してきた小西氏が同じことをやっているとし、立憲民主党がさらなる処分をしなければ信頼が損なわれると批判した。
 泉代表は党内の左派からの批判を避けるため、小西氏への厳しい処分を避けてきたが、野党第一党としてガバナンスが利かなくなっている惨状は、もはや誰の目にも明らかになっている。

やはり大惨敗した日本共産党

 統一地方選前半戦では日本共産党の凋落が目立った。
 41の道府県会議員選挙(定員2260)では、自民党が大阪以外の40議会で第一党を獲得。24議会では過半数を占めた。
 立憲民主党は改選前200議席から185議席に減らした。
 公明党は前回161議席から169議席に。
(政令市において公明党は171人が当選し、自民党に次ぐ第2党を堅持。)
 日本維新の会は前回59議席から124議席に。
 国民民主党は3議席減らして31議席。
 これに対して日本共産党は前回99議席から75議席へ、4分の1も議席を減らす大惨敗となった。
 今まで県議会で共産党の「議席ゼロ」だった愛知県でようやく返り咲いたと思ったのもつかの間、今回は新潟県、福井県、静岡県、熊本県、福岡県でいずれも共産党は県議会の「議席ゼロ」となった。福岡では2議席を失っている。

 福岡県議選の共産候補6人全員落選 改選前2議席維持できず(『西日本新聞』4月10日

 2015年以来、志位執行部が進めてきた〝統一戦線〟戦略としての「野党共闘」は完全に行き詰まり、国政選挙でも惨敗続き。党勢は凋落の一途をたどっている。
 党内から刷新を求める声が上がると「除名」を連発。朝日新聞や毎日新聞からの批判にさえ「大軍拡」を推し進める側からの攻撃と言い募っている。
 いつものことながら、今回の統一地方選挙でも「大軍拡NO!」「他国に攻め込む」「日本が焦土に」などと書かれたビラを全国に配布して批判の矛先をそらせようとしたが、日本共産党が国民から「NO」を突き付けられる惨めな結果となった。
 執行部に刷新を求めた古参幹部を「分党行為」として「除名」した京都では、府議会や市議会選挙でも敗北が相次いだ。共産党の金城湯池だった京都で、これまで党組織を築いてきた功労者を切り捨てたのだから当然だろう。
 北区では共産党市議団長で9期目をめざしていた井坂博文氏が落選。7選をめざした南区、6選をめざした左京区、再選をめざした下京区でも落選。18議席あった勢力が14議席に落ち込んだ。
 京都府議会でもベテランの現職らが相次いで落選。12議席から9議席へと減らした。京都府議会で日本共産党の議席数が1ケタになるのは1967年以来56年ぶりだという。

全国トップの議席占有率を誇る京都での組織力の低下があらわとなり、退潮傾向が鮮明となった。(京都新聞/4月10日)

 異論を一切許さず、批判してくるものは古参幹部だろうと全国紙だろうと「敵」認定。他党の実績を平気でかすめ取って宣伝する手法に、かつて某都知事から「ハイエナ」とまで罵られた政党だ。
 統一地方選後半戦に向けて、どの政党が本当に仕事をし、地域の多様な意見を政治に反映していけるのか、しっかり見定めていきたい。

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