公明党の施策に集まった評価
夏の参議院選挙でどのような結果を望むか――。
ロイター社が企業を対象におこなった3月の調査(3月17日報道)で、約半数の47%が「自民・公明で過半数議席」を望むと回答した。
「自民党単独で過半数」と回答したのは28%にとどまった。
自民・公明で過半数 47%
自民単独過半数 28%
自民・公明と改憲勢力で3分の2以上 16%
その他 9%
(「3月ロイター企業調査」3月17日)
参院選は直接「政権選択」につながる選挙ではないものの、与党が過半数を切る〝ねじれ〟が生じると政権運営に支障をきたす。過去の政権交代はいずれも直近の参院選で〝ねじれ〟が起きていた。
調査結果からは日本の主要企業が、自民党単独政権よりも公明党との連立政権のほうが、より安定した理想的な政権の枠組みだと考えていることが浮き彫りになった。
これを裏付けるような別の世論調査結果も出ている。
コロナ禍が2年に及んでいるなかで、国民は政府のコロナ対策をどう見ているか。
3月10日に読売新聞が実施した世論調査では、「評価するコロナ対策」の1位から3位を次のようなものが占めたのだ。
1位 1、2回目のワクチン接種
2位 3回目のワクチン接種
3位 現金10万円の一律給付
じつは、この上位3つは、いずれも公明党がいち早く政府に申し入れて推進したもの。日本政府が国産ワクチンにこだわって海外製薬メーカーとの契約に出遅れていた2020年7月、公明党は予備費の活用による予算確保を政府に促した。
その結果、同7月末から8月上旬、政府は米ファイザー社、英アストラゼネカ社と基本合意にこぎつけることができたのだ。
1回目から3回目までの接種の無償化も公明党が強く要請した。また最初の緊急事態宣言が全国に発出されるにあたり、安倍首相(当時)に直談判して政府の方針を変更させ、すべての国民に一律10万円の給付金が出るようにしたのは公明党の山口代表だった。
コロナ禍という危機に際して公明党の打った手が、いずれも国民のニーズを的確にとらえ高く評価されていたことがあらためて明らかとなった。
米大使「公明党の力が必要」
このコロナ禍にあって、2月24日にはロシアがウクライナへの侵攻を開始した。国連の常任理事国であるロシアが第二次世界大戦後の国際秩序を根底から崩すという暴挙であり、断じて容認することはできない。
日本は国際社会と連帯してロシアへの経済制裁を発動した。
バイデン大統領が一般教書演説をおこなった3月2日(現地時間では1日)、新任のラーム・エマニュエル駐日米国大使は公明党の山口代表のもとを表敬訪問。
日本は国際社会から見てリーダーの役割を果たしている。日本の強い政治には公明党の力が必要だ。(「公明ニュース」3月3日)
と語った。
公明党が連立政権にいることの意味は、国際社会から見ても重要なのだ。
3月10日には自民党総裁である岸田首相から呼びかけるかたちで山口代表と会談。会談後、首相官邸で記者団の会見に臨んだ岸田首相は、
自公連立政権はこれまで20年余にわたり緊密に連携して国政の様々な課題、これを乗り越えてきました。現在、ロシアのウクライナ侵略、エネルギー市場の急騰など様々な緊迫した場面に直面しておりますが、事態の展開次第では、世界も、そして我が国も戦後最大の危機に陥ることになります。(首相官邸ホームページ「与党党首会談についての会見」)
こうした国難とも言える危機的状況に直面し、政策においても、また選挙での協力においても、政権与党たる自公の間では、いかなる隙間も許されないと考えます。(同)
と述べて、政策・選挙の両面で両党間の連携を密にしていくことを双方で確認したことを明かした。
国難を乗り切っていくためには公明党の存在が欠かせない。経済界、米国、政府・自民党だけでなく、国民もまた同様の判断をしているようだ。
NHKが3月11日から13日までに実施した月例の世論調査では、公明党の支持率が伸びている。(カッコ内は前月)
自民党 38.4(41.5)
立憲民主党 5.9(7.3)
公明党 3.8(3.5)
日本維新の会 4.5(5.2)
国民民主党 1.0(1.0)
共産党 2.3(2.2)
れいわ新選組 0.6(0.6)
社民党 0.7(0.3)
NHK受信料を支払わない国民を守る党 0.2(0.1)
その他の政治団体 0.2(0.3)
特に支持している政党はない 35.5(31.0)
わからない、無回答 7.0(7.0)
(NHK「世論調査」3月14日更新)
異常さが際立つ立憲と共産
一方で、昨年の総選挙で敗北した立憲民主党と日本共産党は、ここにきて政党としてのガバナンスや基本的な国際感覚さえ持ち合わせていない未熟を露呈している。
ロシアのウクライナ侵攻を受けて、日本政府は国際紛争の当事国またはそのおそれのある国には武器輸出を認めないとする「防衛装備移転三原則」に照らしたうえで、ヘルメットと防弾チョッキをウクライナに供与することを決めた。
日本共産党の田村智子政策委員長は、3月4日に国会内で記者の質問に答え、「この場で反対と表明することは考えていない」と語った。誰が考えてもヘルメットや防弾チョッキは武器にはあたらないからだ。
ところが翌5日、田村氏は急きょ記者会見を開き、前日の発言を撤回する。
5日の記者会見では、この発言について「党内で相談しないで行った」と釈明し、「防弾チョッキであっても、防衛装備品の供与は我が党が反対してきた武器輸出にあたる。我が党として賛成できない」と述べた。(「読売新聞オンライン」3月5日)
日本共産党の鉄の規律のもとでは、党指導部だけがものごとを判断する立場にある。ジャーナリストの立花隆氏が『日本共産党の研究』のなかで、「前衛エリート主義、独善性、秘密主義、指導部絶対性、一枚岩主義などなどを特徴とする共産党の体質」と痛烈に批判した、同党が党規約に掲げた「民主集中制」だ。
田村氏の発言撤回は、同党の異常さを際立たせるものとなった。
3月23日、ウクライナのゼレンスキー大統領はオンライン中継で日本の国会で演説をおこなった。会場はモニターなど設備の関係で議員会館の国際会議室と多目的ホールで実施され、インターネットでも同時配信。日本国民に強い印象と共感を残した。
この大統領の国会演説の意向がウクライナ側から打診された直後、立憲民主党の泉健太代表が不可解な発言をして批判を浴びた。
ゼレンスキー大統領による日本の国会での演説。
他国指導者の国会演説は影響が大きいだけに、オンライン技術論で論ずるのは危険。私は日本の国民と国益を守りたい。だから国会演説の前に『首脳会談・共同声明』が絶対条件だ。
演説内容もあくまで両国合意の範囲にすべき。それが当然だ。(3月16日の泉代表のツイート)
ロシアの侵攻後、ゼレンスキー大統領はすでに英国やドイツ、米国など西側各国で演説をしている。一方的な侵略を受けている国の国家元首が国際社会に支援と連帯を求めての演説であるにもかかわらず、内容の事前調整が〝絶対条件〟などと主張したこのツイートには、外交感覚ゼロの愚かで非礼な発言だと、国際政治や安全保障の専門家はもちろん、与野党からも非難の声が相次いだ。
この泉代表は18日、日本共産党の志位委員長と会談。参院選の一人区について協力を求めた。コロナ対策でもひたすら政府与党の足を引っ張り続けていた両党。多くの国民が、こんな政党に政権を任せていなくて本当によかったと実感していることだろう。
関連記事:
立憲民主党はどこへゆく――左右に引き裂かれる党内
負の遺産に翻弄される立憲民主党――新執行部を悩ます内憂
立民、共産との政権構想を否定――世論は選挙協力にも反対
2021年「永田町の通信簿」① 信頼失った立憲民主党
2021年「永田町の通信簿」② 広がった日本共産党への疑念
立憲民主党は何を誤ったのか――選挙結果から見えるもの
ワクチン接種の足を引っ張る野党――立憲と共産の迷走
「日本共産党」関連:
「オール沖縄」の退潮――2つの市長選で敗北
日本共産党と「暴力革命」――政府が警戒を解かない理由
暴力革命方針に変更なし——民主党時代も調査対象
宗教を蔑視する日本共産党——GHQ草案が退けた暴論
宗教攻撃を始めた日本共産党――憲法を踏みにじる暴挙
共産党が危険視される理由――「革命政党」の素顔
「共産が保育所増設」はウソ――くり返される〝実績〟デマ
共産党が進める政権構想――〝革命〟めざす政党の危うさ
西東京市長選挙と共産党―糾弾してきた人物を担ぐ
「共産党偽装FAX」その後―浮き彫りになった体質