コロナ対策予算に反対し続ける
昨年(2021年)10月の衆院選で、〝政権協力〟で合意した立憲民主党ともども大敗した日本共産党。
1月4日、その日本共産党の「党旗びらき」がインターネット中継で開催された。
あいさつに立った志位和夫委員長は冒頭、新型コロナウイルスのオミクロン株が世界各国で蔓延していることに言及。政府に「3回目のワクチン接種を迅速におこなうこと」「無症状者を対象にPCR検査を無料で受けられる体制」「医療機関への十分な支援」などを求めると訴えた。
新型コロナから国民の命と暮らしを守り抜くたたかいに、引き続き全力をあげる決意を、年頭にあたって固めあいたいと思います。(『しんぶん赤旗』1月5日)
ちょっと待ってほしい。日本共産党は〝新型コロナから国民の命と暮らしを守り抜くたたかい〟として実際に何をやってきたのだろうか?
昨年12月20日、2021年度補正予算が自民党、公明党などの賛成多数で可決成立した。この補正予算には、3回目のワクチン接種の無料化や接種体制の整備費として1兆2954億円、無症状者の無料検査のために3200億円、治療薬の確保と実用化のための6075億円、入院療養体制や医療人材の確保のための2兆314億円などが含まれている。
すでに医療従事者や高齢者施設入所者などへの3回目接種は12月からはじまっており、1月12日時点で103万5965人が追加接種を終えた(「チャートで見る日本の接種状況 コロナワクチン」/『日本経済新聞』)。
日本共産党は、「3回目接種」「無料検査」「医療体制支援」に使われるこの2021年度補正予算に反対しているのだ。
昨年の1回目と2回目のワクチン接種に際しても、ワクチン確保のための第2次補正予算、注射器購入や無料接種体制のための第3次補正予算に反対したのが日本共産党だった。
そんな政党が政府に対して「3回目のワクチン接種を迅速におこなえ」だの「医療機関への十分な支援」をしろだのと、よく言えたものだと思う。
どこまでも執念を見せる共産党
昨年10月の衆院選では、立憲民主党が「政権を獲った際には日本共産党と閣外協力する」という〝政権協力〟を明言して選挙戦に臨んだ。
その結果、立憲民主党と日本共産党だけが議席を減らし、日本維新の会や国民民主党に票が流れた。それでも志位委員長は、
総選挙後、支配勢力や一部メディアが喧伝している「野党共闘は失敗」という大キャンペーンは、事実にまったく反するデマ攻撃(日本共産党「第4回中央委員会総会」)
などと「失敗」の打ち消しに躍起になっている。
選挙直後の11月1日、2日に読売新聞が実施した緊急全国世論調査では、立憲民主党が今後も共産党と協力して政権交代を目指すのがよいと思うかどうかとの問いに、「思わない」が57%と過半数で「思う」は30%。
朝日新聞が12月18日、19日に実施した世論調査でも、次期参院選で立民と共産の選挙協力については「進めるべきだ」は21%にとどまり、「進めるべきではない」が52%と過半数を占めた。
共産党の志位和夫委員長は6日の記者会見で、目標とする「野党連合政権」の樹立について「諦めるつもりはない」と意欲を示したうえで、今夏の参院選に向けて「共闘を成功させ、(政権交代の)足がかりがつくれるような結果を出したい」と述べた。(『朝日新聞デジタル』1月6日)
立憲民主党の執行部が退陣するような最悪の結果になり、これだけ世論が拒絶反応を示しても、日本共産党はどこまでも自分たちが主導する「野党連合政権」構想に追いすがるつもりだ。
というのも、2019年に発表した「第28回党大会に提案する第二決議案」で、同党は2015年9月から進めてきた当時の民主党などとの蜜月関係を自画自賛。「党創立100周年までに野党連合政権と党躍進を実現する強大な党を」と豪語してきた。
1980年の「社公合意」以来、野党のなかでも日本共産党だけが蚊帳の外に置かれてきた。そもそも特殊な国家観をもち、他党との合意形成ができない独善的な党だからだ。その「日本共産党を除く」という壁が、2015年以来の4年間でついに崩壊したと手放しで喜んでいたのが、この「第二決議案」だった。
しかしその間、日本共産党との接近が原因で旧民主党勢力は分裂。目先の選挙めあてでくるくると主張を変えて離合集散を繰り返し、支持率は低迷したままだ。
立憲民主党が誕生したあとも、赤旗のスクープを頼りに政府のスキャンダル追及に熱をあげるだけの野党第一党の姿は国民を失望させた。スキャンダル追及の先頭に立っていた立憲民主党の大物議員たちが先の衆院選で次々と落選したことは象徴的だ。
もちろん日本共産党も政権交代どころか党勢の凋落が止まらない。
「共産党は想定にはない」
志位委員長が「野党連合政権」への「共闘」を語った3日後の1月9日。NHKの番組に出演した立憲民主党の泉健太代表は、日本共産党との連立の考えはないことをはっきりと述べた。
立憲民主党の泉健太代表は9日のNHK番組で、立憲が政権を担う場合の連立の枠組みについて「現在、共産党は想定にはない」と明言した。(『毎日新聞』1月9日)
泉代表は、
立憲は日米安全保障条約や自衛隊、皇室制度を是としている。この原則に賛同する政党と政権を構成する(同)
と、あくまで国家観や安全保障政策で一致する政党間での政権樹立を明言した。
衆院選の際に掲げていた日本共産党との「限定的な閣外協力」について、「国民に示した公約」として次期参院選にも引き継がれると強弁する日本共産党の見解を、立憲民主党としては衆院選で終わった話と明確に否定したかたちだ。
2015年から日本共産党が主導してきた「野党連合政権」構想は、かつて一度は政権を担った旧民主党勢力を崩壊させ、とことん弱体化させただけで、もはや過半数の国民からも拒絶されている。
それでも退潮傾向と財政難が止まらない日本共産党にとっては、「野党連合政権」構想なる〝張り子の虎〟を掲げ続けることで、党が躍進しているように見せることが今や最優先なのだ。
立憲民主党が政権を担いうる政党を本気で目指すのなら、なによりもこれまで自民党に投票してきた層を自分たちの側に引き寄せることを考えなければならない。
目の前の票欲しさに日本共産党に近づけば近づくほど、一部のコアな支持層からは喝采されても、多くの国民の信望から遠のくことを自覚すべきである。
2021年「永田町の通信簿」:
① 信頼失った立憲民主党 ②広がった日本共産党への疑念 ③真価を発揮した公明党
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