新型コロナウイルス特集⑧――国民が見ているのは「実現力」

ライター
松田 明

内閣支持率が上昇に転じる

 安倍首相が緊急事態宣言の延長を発表してから最初の世論調査が各社から出た。
 当初、5月6日までとしていた期間を延長せざるを得なくなったことについて、安倍首相は5月4日の会見で国民に「お詫び」を表明した。
 この「延長」決定については、JNNの月例の世論調査(5月9日~10日)で、

評価する  81%
評価しない 14%
答えない・わからない 5%

と、8割が評価。また内閣支持率については、

支持する  47・3%(+4・1)
支持しない 50・8%(-1・9)

と、支持率が上昇。日本経済新聞や産経新聞の調査でも、同じように支持率が上がり不支持率が下がっている。
 4月上旬ごろには、「ニューヨークは日本の2週間後の姿」などと警鐘を鳴らす声が多く聞かれたが、幸い現時点でそのようにはなっていない。
 むしろ人口100万人当たりの死亡者数では、日本は4・93人(5月11日時点)で、世界的にはきわめて少ない。欧米諸国は軒並み数百人レベルである(スタティスタ「新型コロナウイルス(COVID-19)による人口100万人あたりの国別の死亡者数 2020年5月11日現在」)。
 そして「陽性者数」「要入院者数」の推移も、4月上旬をピークに全体として下降傾向にあり、少なくともこの3月以降、政府と自治体、国民が選択してきた方針と努力は、大枠として成功しつつあるように見える(東洋経済オンライン「新型コロナウイルス国内感染の状況」)。

国民のシビアな視線

 各政党の支持率はどうか。
 産経新聞の調査(5月9日~10日)では、

自民   33・2%(-3・0)
維新    7・4%(+2・2)
立憲    5・9%(+2・2)
公明    5・3%(+2・2)
共産    3・2%(+0・6)
れいわ   0・9%(-1・0)
国民    0・8%(-0・3)
社民    0・8%(+0・4)
N国    0・2%(-0・7)
支持なし 40・0%(-3・1)

共同通信の調査(5月8日~10日)では、

自民   35・1%(+2・0)
維新    8・7%(+3・4)
立憲    6・9%(-0・8)
公明    5・3%(+1・9)
共産    3・2%(-0・5)
れいわ   1・5%(-0・7)
国民    1・2%(+0・1)
社民    0・7%(-0・2)
N国    0・2%(-0・2)
支持なし 35・5%(-3・8)

となった。
 3月以降、一貫して各社の調査に共通しているのは、日本維新の会と公明党が上昇傾向を維持していることだ。自民党の支持率も5月に入って下げ止まった感がある。
 このうち日本維新の会については、同党が大阪府に限って群を抜いた支持率を得ていることのほかに、同党所属の大阪府知事のメディア露出が増えたことが大きいと考えられている。
 また、立憲民主党や国民民主党など旧民進党系の政党、さらに日本共産党、社民党など主要な野党が、いずれも国民の期待に応えきれていないこととも無関係ではあるまい。
 未曽有の〝国難〟というべき状況下で、多くの国民は「結果の出せる政党」をシビアな目で見ているのだろう。

困窮学生へ10万円支給を

 5月8日、公明党の斉藤鉄夫幹事長(新型コロナウイルス感染症対策本部長)と浮島智子・文部科学部会長は、萩生田文科相と会って緊急提言を申し入れた。
 これは、今回の感染拡大で経済的影響を受け、学業の継続を断念する学生が出ないようにするための施策の一つ。
 具体的には、①住民税非課税世帯の約10万人、②それに準ずる世帯の約10万人、③中間所得層でアルバイトによって学業と生活費の収入を得ている約24万人を含む、大学生、専門学校生、大学院生など約50万人を対象に1人10万円を給付するというもの。
 500億円規模となる財源には予備費の活用を提案している。学生団体の「高等教育無償化プロジェクトFREE」が文科省に提出した最新調査では、アルバイトがなくなったり家庭の減収などで、大学等での学業の断念を検討している学生が20・3%になっている。

萩生田氏は「思いは同じだ。早急に対応したい」と応じた。(「時事ドットコム」5月8日)

 この公明党の提案には自民党内からも賛成や歓迎の声があがっており、今週中に閣議決定される見込み。
 また、この申し入れの席で浮島議員からは、学生のアルバイト業務として給付事務の手伝いや障がい児のオンライン学習サポートなどへの採用が提案され、萩生田文科相は「早急に進めたい」と応じた。

与党が家賃支援への提言

 同じ8日、自民・公明の与党は首相官邸に安倍首相を訪ね、賃料の支払いが困難になっている中小企業の事業継続支援を求める提言を手渡した。
 1ヵ月の売り上げが前年同月比で50%以上、あるいは3ヵ月で30%以上減少した中堅・中小企業、小規模事業者、個人事業主などに、家賃の3分の2を「特別家賃支援給付金」として半年間支給するもの。
 給付の上限は中堅・中小企業、小規模事業者が月額50万円。個人事業主が月額25万円。6月からの支給開始を目指している。
 さらに提言では、

公明党の主張を踏まえ、不動産のオーナーらに独自の家賃支援を行う地方自治体への財政支援も盛り込んだ。財源として地方創生臨時交付金を拡充する。(「SANKEI BIZ」5月8日)

 この公明党が提案した地方創成臨時交付金については、自治体がそれぞれの事情に応じて柔軟に企業の支援ができるよう「使い道は自治体の自由で使い勝手が良い」(北側公明党副代表)ものとなっている。
 これら与党からの提言に対し、安倍首相は「スピード感を持って実現する」と答えた。
 今週14日の専門家会議の「再評価」を経て、一部自治体では緊急事態宣言の解除が始まる見通しだ。すでにギリギリの状態にある事業者にとって、具体的な見通しが立てられることの意義は大きい。
 全国に3000人の議員ネットワークを持ち、とりわけ弱者に寄り添う政治を一貫して続けてきた公明党が政権内にいること。これには支持者であるか否かを超えて、幅広い国民から今や期待と信頼が寄せられている。
 新型コロナウイルスの危機の広がりとともに、公明党の支持率が上昇し続けている理由はそこにあるのだろう。

新型コロナウイルス特集:
新型コロナウイルス特集①――「日本型対策」の成果は?
新型コロナウイルス特集②――〝陰謀論〟を語る人々
新型コロナウイルス特集③――公明党の対応が光る
新型コロナウイルス特集④――「緊急事態宣言」が発令
新型コロナウイルス特集⑤――本領を発揮する公明党
新型コロナウイルス特集⑥――一律10万円の現金給付へ
新型コロナウイルス特集⑦――さらなる支援策の強化を
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