史上最大規模の経済対策
4月7日の夕刻、安倍首相は「緊急事態宣言」を発令した。
この対象となったのは、東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、大阪府、兵庫県、福岡県の7都府県だ。
3月27日午後の参議院本会議で、2020年度予算が成立。
ここから補正予算の編成に入ることができ、7日の閣議では総額約108兆円となる史上最大規模の「緊急経済対策」を決定した。
雇用の維持に向けて、雇用維持を図りながら一時的休業をする企業へ向けた雇用調整助成金の拡充(中小企業で休業手当の5分の4、大企業で3分の2まで助成率をアップ)。
さらに雇用を続ける企業には、中小企業で休業手当の10分の9、大企業で4分の3まで助成率を引き上げた。
売り上げが5%以上減少した中小企業やフリーランスを含む個人事業主を対象にした融資の金利を、今後3年間0%台に引き下げ。
とりわけ厳しい企業には、中小企業で上限1億円まで利子分を国が補填し、実質無利子で借りられるようにする。
また、売り上げが5%以上減った個人事業主も、3000万円まで無利子で融資を受けられることになった。
今年1月から12月までのいずれかの月に、去年よりも収入が半分以上減少している場合は、
フリーランスを含む個人事業主に最大100万円
中小企業・小規模事業者に最大200万円
の事業者向け給付金を設置。申請はネットでおこなう。
また、児童手当の受給世帯に対し児童1人当たり1万円を上乗せした。
誰ひとり取り残さない決意で
一方、行方が注目されていた個人への現金給付は、一定の条件を付けた約1300万世帯に30万円が給付されることとなった。
この「制限付き」「世帯への給付」には、全国民への一律10万円給付を主張していた公明党や、自民党内からも激しい異論が出た。
実質的に困窮しているのに取りこぼされる人々や企業が出ることも必至で、むしろここからそうした声を拾い集めて、二の矢、三の矢と、政府を動かしていく必要がある。
公明党の高橋光男・参議院議員は、前例のない規模の対策となったことを評価しつつも、
しかしながら、私も含め公明党青年議員は10万円の一律給付を求めてきました。その意味で課題が残る内容。
・単に「収入減」だけでない要素を考慮した支援
・医療従事者等への支援
・子育て世代への更なる支援
が必要と考えます。
社会の分断につながらないよう、さらなる支援を訴えて参ります。
(高橋光男参議院議員のツイート)
とツイート。
同じく公明党きっての財政通である上田勇・政調会長代理も、
中小事業者・個人給付金などは今後第2弾の対策が必要になってくるでしょう。
(上田勇政務調査会会長代理のツイート)
と投稿。
他の公明党の若手議員も同様の声を上げており、全国に3000人の議員のネットワークを持つ公明党には、ここを出発点として本領を発揮し、「誰ひとり取り残さない」決意で小さな声をしっかり政治につなげてもらいたい。
迷走する立憲民主党
政府の対応への賛否ばかりに注目が集まりがちだが、戦後最大の世界的危機とさえ言われる状況下で、ますます国民の信頼を失いつつあるのが、迷走を続ける野党第一党の立憲民主党だ。
JNNがこの4月4日~5日に実施した世論調査で、各党の支持率は次のようになった。(カッコ内は3月との比較)
自民党 34・3%(-2・1P)
立憲民主党 5・0%(-1・4P)
国民民主党 1・4%(+0・5P)
公明党 4・2%(+0・7P)
共産党 3・3%(±0P)
日本維新の会 3・3%(+1・8P)
社民党 0・5%(+0・1P)
れいわ新選組 0・8%(+0・2P)
N国 0・4%(+0・1P)
それ以外の政党 0・6%(+0・3P)
支持する政党はない 41・8%(+0・2P)
答えない・わからない 4・4%(-0・5P)
「JNN世論調査」
4月6日になって、緊急事態宣言の発令される可能性が報道されると枝野代表は、
緊急事態宣言について報道が相次いでいます。
私たちは2月から緊急事態の宣言を求めてきました。遅きに失したとはいえ、宣言に向けた動きは歓迎します。
(立憲民主党・枝野代表、4月6日のツイート)
などとツイッターに投稿。
会見でも、首相の「緊急事態宣言」発令が遅すぎたと批判した。
だが、枝野代表は3月5日の時点でさえ、どう言っていたか。
1.現状は、緊急事態宣言の要件を満たす状況ではなく、緊急事態宣言を出さなくてもいいように押さえ込むことが政府の責任である。
2.万が一緊急事態宣言を出す場合には、国会に対し、事前に、その必要性についての科学的根拠や、解除する場合の要件などを報告し、その質疑を行う必要がある。
(立憲民主党・枝野代表、3月5日のツイート)
3月になっても〝緊急事態宣言の要件を満たす状況でない〟と投稿していた野党第一党の党首が、平然と「私たちは2月から緊急事態の宣言を求めてきました」などと公言しているのである。
繰り返される「ブーメラン」
2月27日の参議院予算委員会で、安倍首相夫人が友人たちと会食したあと桜を背景に撮った写真が週刊誌に報じられたことを問題視し、「レストランならいいのか!」などと首相を批判したのは、やはり立憲民主党の杉尾秀哉議員。
ところが杉尾氏自身が長野県の「あんずの里」を訪れ、「今がちょうど見頃です」「これまで見た中では最高でした」などと写真と共にフェイスブックに投稿していた事実が発覚。批判が高まると、杉尾氏は慌ててその投稿を削除した。
3月25日の参議院予算委員会では、国民民主党の田村まみ議員が小泉環境大臣への質問を続けている最中に、すぐ隣でつまらなそうに聞いていた立憲民主党の蓮舫議員が後ろを振り返り、国民民主党の矢田稚子議員や伊藤孝恵議員と、何やら爆笑し続ける様子が録画カメラに捉えられていた(YouTube「国会中継 予算委員会」3月25日)。
これが「まるで学級崩壊」などと問題視されると、矢田議員は28日になって、
先日、審議中の態度に対して、多くの皆さんよりご指摘を頂きました。緊張感に欠けた態度であったこと、心よりお詫び申し上げます。
質疑をしていた方は同じ党の議員ですが、ご本人にもお詫びいたしました。以降、気を引き締めて審議に臨みます。
ご心配おかけした皆さん、申し訳ありませんでした。
(国民民主党・矢田参議院議員のツイート)
と謝罪のツイート。
伊藤議員も同じ日に、
玉木代表の踏ん張りに水を差す行動でした。代表や質疑中の田村議員へのお詫びに加え、田村議員を応援する方々にもお詫びを続けます。そして何より自分の行動と意識を改めます。
(国民民主党・伊藤参議院議員のツイート)
と謝罪の投稿をした。
蓮舫議員は知らぬ顔を通したが、じつは委員会のわずか2日前に、国会の委員会で安倍首相と麻生財務相が談笑したことを、
身内の財務省再調査も、第三者による調査も否定した安倍総理、麻生副総理。
委員会中に笑いながら話し合う姿勢に言葉を失った予算委員会の1コマが今日はありました。愕然。
(立憲民主党・蓮舫参議院議員のツイート)
と、非難していたのが蓮舫議員その人だったのである。
政府や首相への厳しい声が続くなかで、なお野党第一党の支持率が下がり続けている理由もうなずける。
もはや国を担う気概などなく、政権批判さえしていれば喝采してくれるコアな支持者だけしか見えていないのだろう。
未曽有の国難は、やはり政党の資質をクッキリと浮かび上がらせているのである。
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