GW前までに成立めざす
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で、IOC(国際オリンピック委員会)は東京大会の「1年程度の延期」を発表した。
3月26日夜、小池百合子・東京都知事は埼玉、神奈川、千葉、山梨の各県知事と「新型コロナウイルス感染症一都四県知事テレビ会議」を開催。
感染者の爆発的増加や、それにともなうロックダウン(強硬措置)を避けるためにも今の時期が重要であり、不要不急の外出を避けるよう企業や住民へのメッセージを発した。
航空業界はじめ、観光、飲食、興行などの業界ほか、多くの事業者とそこで働く人々、取引先が深刻な経営危機に直面している。
3月23日に開かれた政府与党協議会では、自民党の二階俊博幹事長から「経済対策はこれまでにない規模でやっていく必要がある」との発言があり、公明党の斎藤鉄夫幹事長も「国民の不安を解消するため、迅速な対応が求められており、経済対策の規模感はこれまでにない形でやるべきだ」と政府に求めた。
また3月25日、国会内で会見した与党・公明党の石田祝稔政調会長は、事業継続や雇用維持のための施策、生活支援、景気浮揚策などを柱とする公明党としての提言を、3月中に政府に提出すると同時に、新型コロナウイルスに関する経済対策を盛り込む予定の来年度補正予算案について、一日も早く対策の効果が表れるよう、ゴールデンウイーク前までに成立をめざす考えを示した。
具体的に手を打つ公明党
1月に国内感染者が発生して以降、公明党は矢継ぎ早に具体的な要望を政府に出してきた。専門家会議の設置も公明党の提案である。
3月6日の衆議院国交委員会では、岡本三成議員が質問に立ち、
①雇用調整助成金をさらに引き上げてもらいたい。
②政府系金融機関「日本公庫」が、中小・小規模事業者に融資する「セーフティネット貸付」について、必ず中小企業を守るという強いメッセージを送るためにも、一歩踏み込んだ金利の見直し・実質金利ゼロを求めたい。
③休校によって通学定期券を払い戻す際、キャンセル料が鉄道事業者によってまちまち。政府支援の対象にしてもらいたい。
④4月から学校が再開した場合、定期券を買うためには通学証明書を取るために事前に学校に行く必要がある。不要不急の外出の自粛をお願いしている渦中であり、学生や保護者に負担がかからないよう国交省の対応をお願いしたい。
⑤航空業界はSARSの時と比べても数倍の減収となる見込み。航空会社への支援は、利用者を守ることにつながる。空港使用料の減免措置拡大、航空燃料税の減免など、必要な手を打つよう要望したい。
(岡本三成衆議院議員のツイート、3月6日「衆院国交委員会」質問動画より)
等の、きめ細かな対応を政府に求めた。政府側からは、いずれも前向きな答弁があった。
3月16日の参議院予算委員会では、公明党の杉久武、高橋光男両議員が質問。
①中小企業・小規模事業者の資金繰りについて、金融機関の対応に柔軟さや迅速さが欠けている。
②各種支援策の「見える化」が必要。
③小学校の臨時休校に伴って学童保育事業者への補助額を拡充し、臨時休校の始まった3月2日にさかのぼって支給すべき。
④コロナ終息後の観光需要喚起策として高速道路無償化を検討すべき。
と政府に要望した。麻生金融担当相、梶山経産相、衛藤少子化担当相、安倍首相などから、いずれも積極的な答弁があった。
日本人留学生への奨学金が停止
3月16日、外務省は世界の数多くの国に対して「危険情報レベル2(不要不急の渡航は止めてください)」を発出した(その後、25日に全世界に対象を拡大)。
その結果、日本学生支援機構の規定によって、該当地域にいる日本人留学生に対する奨学金の支給が停止されることとなった。
留学生たちは、自費による現地滞在もしくは自費による帰国を余儀なくされている。
日本若者協議会の室橋祐貴代表理事は、23日に奨学金継続を求める声明(「『自己責任』すぎる日本人留学生へのコロナ対策。政府は早急に対応すべき」)を発表。
ツイッターで各党に対応を呼びかけた(室橋祐貴代表理事のツイート)。
翌24日に国民民主党の城井崇衆議院議員が衆議院文科委員会で「問題意識」を伝えたらしいが、
海外留学生の奨学金問題等について、城井崇議員が国会質疑でも取り上げ文科省に問題意識を伝えたところ、同省から、個別の事案によって対応が異なるのでまずは文科省の担当に連絡くださいとの返事でした。(今どき電話だけの対応もどうかと思いますが)→学生留学生課留学生交流室03-6734-3360
(玉木雄一郎代表のツイート)
と空振り。
文科相が「支給継続」を明言
これに対し、公明党青年局長でもある三浦信祐参議院議員が、25日に参議院予算委員会でこの問題を取り上げた。
①日本人留学生が路頭に迷うことがないよう、奨学金の停止を解除する。あるいは当座の資金を提供する等、素急な対応をしてほしい。
②経済的支援、具体的にどのような行動をすればよいのか、そもそも帰国させるのがよいのかも含め、明確な対応をお願いしたい。
(公明党青年委員会のツイート)
と政府に強い口調で迫った。
答弁に立った萩生田文科相は、日本学生支援機構と協議し、当該国の留学生が速やかな帰国が困難な場合、奨学金の支給を継続すること。やむなく帰国した学生が帰国後もオンライン等で留学先大学の学習を継続している場合は、支給を継続すると明言。
さらに帰国後に14日間の滞在が義務付けられた場合は、文科省の所管する施設などを廉価で提供したい、と語った。
三浦議員からは、学生が自費で帰国しなければならないケースも想定されるので「よく細かく相談に乗っていただきたい」と念押しがあった。
同日、衆議院文科委員会でも浮島とも子衆議院議員(党文部科学部会長)が同趣旨の質問に立ち、萩生田文科相からは同じく「奨学金支給継続を決めた」との答弁があった(「NHKニュース」3月25日)。
小さな声を受け止め、即座に動き、しかも結果を出す。
今回の新型コロナウイルス感染拡大下で、公明党の手堅い手腕が一段と光っているように思う。
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新型コロナウイルス特集①――「日本型対策」の成果は?
新型コロナウイルス特集②――〝陰謀論〟を語る人々
新型コロナウイルス特集③――公明党の対応が光る
新型コロナウイルス特集④——「緊急事態宣言」が発令
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