第67回 正修止観章㉗
[3]「2. 広く解す」㉕
(9)十乗観法を明かす⑭
③不可思議境とは何か(12)
「不可思議境を明かす」段は、「総じて理境を明かす」、「自行の境を明かす」、「化他の境を明かす」、「略して自他事理を結し以て三諦を成ず」、「譬を挙げて自他等を譬う」、「境の功能を明かす」、「諸法を収摂し以て観境に入る」の七段に分かれるが、今回は、はじめに、「譬を挙げて自他等を譬う」、「境の功能を明かす」、「諸法を収摂し以て観境に入る」の三段について、順に紹介する。
(9)譬を挙げて自他等を譬う
ここでは、如意珠、三毒、夢の三種の比喩を取りあげて、自行の境、化他の境などについてたとえている。第一の如意珠の比喩については、『摩訶止観』には次のようにある。 続きを読む