第48回 正修止観章⑧
[3]「2. 広く解す」⑥
(7)灌頂による十六の問答①
さらに、その後、灌頂の「私料簡」(個人的に問答考察すること)の段があり、十六個の問答がある。順に紹介する。
①第一の問答:十種の対象界の十について
法(存在者)は塵や砂のように数が多いのに、対象界はどうして十種と確定しているのかという質問が立てられる。これに対して、『華厳経』の「一つの大地がさまざまな芽を生じることができるようなものである」(※1)という比喩を引用して、十という数はちょうど詳細でも簡略でもなく、内容をはっきり理解し易くさせるために十種というだけであると述べている。 続きを読む