封印していた国外への旅
木戸孝子は、近年、欧米の写真展で評価が高まっている写真家の1人である。
特に注目されているのは、2022年から発表しているシリーズ〈Skinship〉で、自身の出産と子育ての経過、家族の親密さをセルフポートレートの手法で撮ったもの。
2024年6月、高知県四万十市に暮らす木戸のもとに、ベルギーの有名ギャラリー「IBASHO」のディレクターから連絡があった。「IBASHO」は木村伊兵衛、土門拳、石元泰博、細江英公、森山大道といった日本の優れた写真家をヨーロッパに紹介してきたギャラリーだ。
ディレクターのアンマリーは、前年の「KYOTOGRAPHIE」のポートフォリオ・レビューで木戸の作品を見ていた。
アンマリーからの連絡は、2024年11月に開催されるヨーロッパ最大のアート写真フェアである「パリ・フォト」に、木戸の作品を展示したいというものだった。
今回の「パリ・フォト」の会場は巨大なガラス天井が印象的なグラン・パレ。1900年のパリ万博のために建設された施設で、2024年パリ五輪ではフェンシングなどの試合会場にも使用された。
34カ国の240ギャラリー・出版社のブースが並び、お抱えアーティストの作品が展示されている。「IBASHO」のブースに並んだのは、木戸の作品シリーズ〈Skinship〉だった。 続きを読む