「外免切替」デマ、国会で決着――国民の不安解消を求めた公明党

ライター
松田 明

選挙直前に投下された悪質なポスト

 衆議院選挙の選挙戦が実質的に始まっていた昨年10月11日、公明党に関する悪質な投稿がSNS上にポストされた。
 投稿したのは元足立区議会議員を名乗る松丸まこと氏。前年(2023年)9月に公明党の西田まこと参議院議員(現・幹事長)がXにポストした、

外国の免許から日本免許への切り替えに、多大な時間を要していることから、その改善を求めていました。昨日、警察庁から通達が発出され、日本語が十分に理解できない申請者に手早く対応するため、自動翻訳機や音声翻訳アプリの導入や、手続きにかかる所要日数の公表など、改善策が促されています。(西田議員のポスト/2023年9月21日

の投稿に被せるかたちで、

【中国人観光客 日本運転免許 取得問題】
やはり公明党が動いていた。この問題は、10問中7問正解で学科合格、試験場のコースの運転審査で日本の運転免許が取得(外免切替)でき、日本発行の国際免許まで取得できる問題。中国人観光客の交通事故で日本人が亡くなっています。猛抗議いたします。(松丸氏のポスト/2024年10月11日

と投稿したのだ。 続きを読む

連載「広布の未来図」を考える――第1回 AIの発達と信仰

ライター
青山樹人

豊かな思索のヒントをめざして

――本年(2025年)は、創価学会創立95周年の年となります。創立100周年の2030年まであと5年。
 一方で、いわゆる「2025年問題」と呼ばれるように、いよいよ国民の5人に1人が75歳以上の後期高齢者となる時代を迎えます。社会保障制度の不均衡や労働人口の減少など、日本社会はさまざまな問題に直面しています。

 こういった社会構造の変化のなか、創価学会もまたこれまでとは異なる多くの課題に向き合い、新たな発想や取り組みに挑戦しようとしています。
 大事なことは、新しい課題について1人1人が思索を深め、豊かな議論を重ねていくことではないかと思います。ただ、そもそもの〝糸口〟がなかなか見えないという声も聞かれます。

 そこで、読者からの要望もあり、これからの時代に現場の第一線に立つ創価学会員の1人1人が、思索を深めていくヒントになるような記事を不定期で随時連載していけないかと考えました。
 青山樹人さんは四半世紀にわたって、『新版 宗教はだれのものか』(鳳書院)など、主に学会と池田先生のこれまでの歴史を綴ってこられました。同書は青年リーダーたちの研鑽にも活用されているようです。
 この企画でも、編集部と一緒に、できるだけ忌憚のない率直な議論を、読者に提供できればと思っています。 続きを読む

『摩訶止観』入門

創価大学大学院教授・公益財団法人東洋哲学研究所副所長
菅野博史

第79回 正修止観章㊴

[3]「2. 広く解す」㊲

(9)十乗観法を明かす㉖

 ⑥破法遍(7)

 (4)従仮入空の破法遍⑥

 ④空観(4)

 今回は、十乗観法の第四「破法遍」の続きである。破法遍の段落のうち、前回は「広く破法遍を明かす」のなかの「竪の破法遍」・「従仮入空の破法遍」・「見仮従り空に入る観」について紹介した。「従仮入空」の「仮」には、見仮と思仮の二種があるので、「従仮入空の破法遍」の段は、「見仮従り空に入る観」、「思仮を体して空に入る」、「四門の料簡」の三段に分かれている。今回は、「思仮を体して空に入る」、「四門の料簡」について紹介する。 続きを読む

芥川賞を読む 第49回 『きことわ』朝吹真理子

文筆家
水上修一

記憶を行き来する中で霞む存在の危うさ

朝吹真理子(あさぶき・まりこ)著/第144回芥川賞受賞作(2010年下半期)

多くの選考委員がその才能を評価

 前回取り上げた「苦役列車」とダブル受賞となったのが、朝吹真理子の「きことわ」だった。当時26歳。詩人で慶応大学教授の朝吹亮二の娘であり、フランソワーズ・サガンの翻訳を多く手がけた朝吹登水子を大叔母に持つという、いわばサラブレッドということもあって、受賞前から多くの関心を集めたようである。実際、選考会では少しの難点を指摘する声を除いて、多くの選考委員がその才能を高く評価している。

 主人公は永遠子(とわこ)と貴子(きこ)。初めての出会いは永遠子が15歳、貴子が8歳。貴子の両親が所有する葉山の別荘を管理していたのが逗子に住む永遠子の母親。その関係で、毎年夏になると2人は、その別荘でまるで本当の姉妹のように遊ぶのだった。
 やがて、貴子の家族が別荘に来ることがなくなって以降、2人は会うことも連絡を取り合うこともなくなり、再会したのが、その別荘を取り壊すことになった25年後のこと。永遠子も貴子もすでに大人になっていた。 続きを読む

書評『見えない日常』――写真家が遭遇した〝逮捕〟と蘇生の物語

ライター
本房 歩

封印していた国外への旅

 木戸孝子は、近年、欧米の写真展で評価が高まっている写真家の1人である。
 特に注目されているのは、2022年から発表しているシリーズ〈Skinship〉で、自身の出産と子育ての経過、家族の親密さをセルフポートレートの手法で撮ったもの。

 2024年6月、高知県四万十市に暮らす木戸のもとに、ベルギーの有名ギャラリー「IBASHO」のディレクターから連絡があった。「IBASHO」は木村伊兵衛、土門拳、石元泰博、細江英公、森山大道といった日本の優れた写真家をヨーロッパに紹介してきたギャラリーだ。

 ディレクターのアンマリーは、前年の「KYOTOGRAPHIE」のポートフォリオ・レビューで木戸の作品を見ていた。
 アンマリーからの連絡は、2024年11月に開催されるヨーロッパ最大のアート写真フェアである「パリ・フォト」に、木戸の作品を展示したいというものだった。

 今回の「パリ・フォト」の会場は巨大なガラス天井が印象的なグラン・パレ。1900年のパリ万博のために建設された施設で、2024年パリ五輪ではフェンシングなどの試合会場にも使用された。
 34カ国の240ギャラリー・出版社のブースが並び、お抱えアーティストの作品が展示されている。「IBASHO」のブースに並んだのは、木戸の作品シリーズ〈Skinship〉だった。 続きを読む