「仕事を横取りするハイエナ」
東京都議選を前に、日本共産党が懲りもせず〝デマ宣伝〟を繰り返している。
運動員たちによって軒並み各戸配布された『東京民報』(2017年4・5月号外)は、デカデカと「チェック機能、提案力… フルに発揮 日本共産党東京都議団」と掲げ、2つの〝成果〟をアピール。
いわく、
〈5万人分増設認可保育園〉
〈都議会改革で税金節約〉
。
ご丁寧にも
〈私立高校生の授業料実質無償化や都立高校生向け返済不要奨学金拡充も実現しました〉
〈ついに実現。都議会改革 ①都議の給与→20%削減 ②費用弁償→廃止 ③政務活動費→月額10万円削減〉
などとアピールしているのだ。
このチラシだけを見れば、なんと頼もしい政党かと思うところだが、残念ながらこれは共産党の実績などではない。
他党の実績を横取りして自分たちの実績だと宣伝するのは、日本共産党の常套手段である。
共産党は他人のやった仕事を横取りするハイエナという下劣なケモノに非常によく似ている。(2001年3月16日 都議会での石原慎太郎知事の答弁)
予算に反対しながら〝実績〟?
今年(2017年)3月の東京都議会で、小池都知事が初めて編成した2017年度一般会計予算案が〝全会一致〟で可決成立したことが話題になった。
都の一般会計予算案に共産が賛成するのは、美濃部亮吉知事時代の昭和53年度以来、39年ぶりという。(産経新聞3月28日)
共産党は鈴木俊一都政以来、知事とは対決姿勢を示し、予算案には一貫して反対の立場を取ってきた。(日本経済新聞3月30日)
共産党が社会党などと共に支えていた美濃部都政が東京都を財政破綻させて退陣して以降、共産党は東京都の予算案に「一貫して反対」し続けてきた。
今回、青天の霹靂(へきれき)のように同党が賛成に回ったのは、
高い支持率を誇る小池氏との対決は避けたいのが本音。(日本経済新聞3月30日)
あたりまえの話だが、行政のどのような施策にも、それを実現するための予算がいる。議員や政党は耳当たりのよい夢のような話だけをしていればよいわけではない。予算の裏付けをもった提案をし、行政と粘り強く折衝をし、最終的にその予算を議会で通して初めて何かしらの施策が実現できるのだ。
都議会共産党は厚顔にも、自分たちの議席が増えた2013年からの4年間で、認可保育園の定員を倍以上に増やしたと宣伝しているのだが、その4年間の東京都の予算案そのものに彼らは賛成していない。
アリバイ作りに議会で「質問」「要請」だけはするが、都として施策を実現するための予算には反対する。それでいて、他党や行政の努力で実現した施策を、自分たちの実績だと宣伝する。だから当時の都知事からも「ハイエナ」と非難されたのだ。
各紙の報道で一目瞭然
彼らが盛んに〝実績〟だとアピールする「私立高校生の授業料実質無償化」も、共産党ではなく都議会公明党の実績である。
ところが、公明党からデマを指摘された共産党は撤回するどころか、最近になってもなお、
「共産党が実績横取り」という宣伝は「ウソ」(しんぶん赤旗5月16日)
日本共産党都議団は、私立高校生の学費負担軽減を求め、この4年間、都議会で17回質問してきました。(同)
と居直っている。
どの政党が「実質無償化」を実現したのか、当時の各紙の報道を見れば一目瞭然ではないか。
私立高の実質無償化は都議会第2会派の公明党が強く要望していた。(中略)知事は「公明党と話が整った。一致できてよかった」と強調した。(『日本経済新聞』1月17日付)
小池氏が連携する都議会公明党は、国の就学支援金の基準と同じく年収九百十万円未満の世帯まで拡充し、私立高の授業料の「実質無償化」を図るよう要望していた。(中略)小池氏は「公明党さんとも『これでいこう』と話が整った」と舞台裏を明かした。(『東京新聞』1月17日付)
実質無償化に踏み切ったのは、公明党が同事業の実施を強く要望したため。(『読売新聞』1月26日付)
都議会公明党が要望した私立高校の実質無償化へかじを切った。(『日本経済新聞』1月26日付)
公明要望で「私立高校無償化」(『朝日新聞』1月26日見出し)
「公明党さんとも話が整った」。小池知事は16日、予算案に先駆け、世帯年収760万円未満の私立高生の授業料を実質無償化する案を先行発表し、調整に自信をのぞかせた。
知事が選挙戦で公約に掲げた給付型奨学金の創設について、都の事務方は当初、貧困層を対象に私立高校の授業料無償化を検討していた。ところが、公明党が昨年11月、無償化の対象を全私立高生の半分に当たる世帯年収910万円未満にまで広げるよう要望。新たに年間約140億円が必要になるため知事周辺にも慎重論や、代わりに私学の運営費補助を削る案があった。
しかし、査定の終盤で小池知事は大幅な補助拡大を決断。世帯年収760万円未満を対象に私立高授業料の実質無償化に踏み込み、私学助成も維持した。「満額回答」には届かなかったが、公明党は「抑揚のついた予算案」と歓迎した。(『毎日新聞』1月27日付)
共産党が実現したなどと寝言を書いているのは『赤旗』だけであろう。
議会改革も公明案がベース
議員報酬削減、費用弁償廃止、政務活動費削減、収支報告書と領収書の写しのネット公開などを盛り込んだ都議会改革も、都議会公明党が独自案を推し進めた結果、この公明党案をベースに、当初は強硬に反対していた都議会自民党まで合意させて可決成立に至ったのが実際の経緯だ。
議員報酬をめぐっては、公明党が2割、東京改革議員団(民進系)が3割、共産党都議団が25%の削減案を、それぞれ発表していた。理事会では自民も公明案を支持。改革、共産も応じ、公明案をベースにした案を全会派の「共同提案」とすることでまとまった。(『毎日新聞』東京版2月21日付)
この日まとまった改革案は公明案をベース。(『読売新聞』2月20日付)
合意した改革案は公明案がベース。(『産経新聞』2月20日付)
報道で明らかなように、共産党案は可決成立した削減案とは異なる。この都議会改革についても、以前の記事(リンク)に詳述しているので参照してほしい。
東京都だけでなく、国でも各地の自治体でも「反対だけが実績」「実績ゼロ」と揶揄(やゆ)される日本共産党。反対するのは勝手だが、他党の実績を自分たちの実績だと宣伝して有権者を惑わす手法は許されるものではない。
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