全会一致で条例可決
過日、「私立高校授業料の実質無償化」を勝ち取ったばかりの都議会公明党が、ヒットを打ち続けている。
2月22日、東京都議会第1回定例会の本会議が開かれ、議員報酬の20%削減などを盛り込んだ条例が全会一致で可決した。
豊洲問題などで都政への不信が高まるなか、都政改革へ議会の側からも「身を切る改革」を断行するもの。可決した条例は以下のような内容だ。
①2017年4月から都議会議員報酬の20%削減
②月額60万円の政務活動費を50万円に削減
③収支報告書と領収書の写しをインターネットで全面公開
④交通費等として支給されていた費用弁償の廃止(島部在住議員のみ実費支給)
政務活動費などをめぐっては、他県の自治体でも自民系や民進系の議員らの不祥事が相次いで発覚している。
今回、小池都知事と最大会派の都議会自民党が激しく対立する構図の中、都議会の「全会一致」でこの条例が可決され、透明化が図られるようになることの意義は大きい。
その舵取りを終始、主導したのが都議会公明党だった。時系列にそって検証してみよう。
公明党の「本気度」を示す
都議会公明党は2016年10月に「都政改革推進プロジェクトチーム」を立ち上げ、議員報酬20%削減、政務活動費の削減・全面公開などを盛り込んだ改革案を取りまとめた。
ところが、これを超党派の「都議会のあり方検討会」に提案しようとしたところ、都議会自民党が猛反発。公明党に対し、名指しで「信義が崩れた」と非難し、提案を修正するか、さもなければ「あり方検討会」から外れるよう迫った。
その結果、公明党は都議会で40年近く与党として連携してきた自民党との〝訣別〟もやむなしと宣言し、独自に都政改革を進めていくことを表明したのだった。
小池都知事がこの公明党の姿勢を高く評価したことは、以前に書いた通り(前掲コラム)である。
おそらく都議会自民党は公明党の本気度を見誤っていたのだろう。2月になると、自民党側が折れる姿勢を示した。
東京都議会の議員報酬削減などをめぐり都議会公明党が示している案について、最大会派の自民党が受け入れる方向で調整していることが7日、分かった。自民党都連の下村博文会長が同日夜のBS11の番組で「政策的に一致する方向になるよう自民党が汗をかく」と述べた。(2月7日時事ドットコム)
公明党案で各会派が合意
1週間後の2月14日には、都議会公明党が独自案を発表した。
東京都議会公明党は14日、都議報酬や政務活動費の削減などの条例案を発表した。22日から始まる都議会定例会に提出する。
条例案によると、都議報酬は2割減とし、都議全体で年間約4億4千万円の支出減につながるという。政務活動費は現行の議員1人当たり月額60万円を同50万円に減額。収支報告書や領収書の写しをインターネットで公表する。(『日本経済新聞』電子版2月15日)
議員報酬削減などについては各会派からもそれぞれの案が出されていたが、2月20日、都議会の議会運営委員会理事会が開かれ、公明党案に沿った内容で改革案をまとめることで自民党を含む各会派が合意した。
この日まとまった改革案は公明案をベース。『読売新聞』2月20日)
合意した改革案は公明案がベース。(『産経新聞』2月20日)
各紙の報道を追えば明らかなように、都議会の第2勢力である公明党が具体的な「改革案」を練り上げ、しかも最大会派の自民党と〝訣別〟を宣言してでも、これを貫く姿勢を示して議論を続行させた。
議員報酬削減については、共産党や東京改革議員団(民進系の2会派が看板を掛け替えた会派)もそれぞれ案を出していたが、公明党案をベースに採用することで自民党が合意姿勢を示し、画期的な「全会一致」での可決に至ったのである。
これで、都議会としてもひとつの〝良識〟を示すことができたといえるだろう。
アピール狙いで何でも反対する不毛な〝対決姿勢〟でもなく、実現性のない画餅のような主張でもなく、筋を通し、合意を形成し、その結果、なによりも「政務活動費全面公開」という透明化を全会一致で実現させた、都議会公明党の執念と手腕に拍手を送りたい。
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